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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 美咲の瞳と三十路のひな
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第23話 「来栖さん」

(蒼汰)

 彩乃先生の車を見送り、俺はわたる龍之介りゅうのすけと共に帰宅の途に就いた。

 二人は疲れ切っていたが、俺の足取りは軽い。スキップ出来そうだ。


蒼汰そうた、元気だなぁ。まあ、お前は結衣と美咲ちゃんと一緒だったから疲れねえか」


「ふっふっふ。まあね」


 ん? 美咲ちゃんなどと気安く呼ぶな。お前は天野さんと呼べ……。


「でもまあ、疲れたけど今日は良い日だったな……やっぱ体操着は神だわ」


 航は何か思い出したのか、ニヤケ顔になっていた。


「おっと、航先生。どの娘が宜しゅうございましたかの?」


「うむ。彩乃先生かのう」


「おい、それは別枠」


「そういう事ならば、二組の……が意外に。あと四組の……」


「航。お前あの状況の中で、どうやってそんなに見て回った?」


「こういう事に関して労はいとわない」


「流石は航先生。感服致します」


「俺は、同じグループの……」


 おっと意外なところで、自称硬派の龍之介が話に入って来た。


「これはこれは、龍之介師匠もお目が高い」


「いやいや、蒼汰殿には敵いませぬ」


 その後も俺たちは「お胸談議」に花を咲かせながら家に帰った。

 男なんてこんなもんだ。


 ----


 家に帰って速攻でシャワーを浴びた。

 もちろん、美咲さまから頂いた『スペシャルギフト』の感触が残っている右腕は洗わなかったぞ。

 もう一生洗わないかもしれない……。


 部屋に戻ると、玄関が開く音がした。来栖さんが来たようだ。

 とりあえずソファーに横になって一息。

 今日の出来事を思い出す。

 もちろん、思い浮かぶのは美咲ちゃんの事ばかりだ。

 時々、結衣の水色のブラとかが混じるが、それは仕方が無い。


 今日は朝からずーーーと一緒にいた。

 美咲ちゃんとひとときも離れることなく一緒にいた。

 二人きりの時間もかなりあった。

 あんなことや、こんなこともあった。


 家に帰ってきて、そばに美咲ちゃんが居ない事が何とも寂しい。

 普段は一人でいても平気だが、今日は凄く寂しい。

 家に帰って来ても、美咲ちゃんが傍にいて欲しい。

 今もこの家に美咲ちゃんがいれば良いのにね……。


『蒼汰君。家でも一緒だね。ウフフ』


『美咲ちゃん。もっと近くにおいでよ』


『蒼汰くん』


『美咲ちゃん……』


 うひょー! 堪らない。

 思わずジタバタしてしまう。

 会いたい。会いたい。会いたい。


「美咲ちゃんに、会いたーい!」


 おっと、声が出てしまった。落ち着け俺。

 今の声、来栖さんに聞こえてないよね?

 いかん、もう少し大人しくしよう。


 ----


「上条さん、お食事が出来ました」


 階段下から、来栖さんが呼んでいる。

 おっと、もうそんな時間か。今日のご飯は何だろう。

 来栖さんは見かけは不気味だけれど、料理上手なんだよな。

 今日のお昼のお弁当も美味しかった。

 そういえば、美咲ちゃんの手作り弁当も食べて見たかったなぁ。

 いかん、また美咲ちゃんの事を思い出しちゃったよ。

 やっぱり、今日の事を思い出すとウキウキしちゃうね!


 勢いよく部屋を出て、階段を一気に下ってダイニングに直行。

 ウキウキが止まらない!


「あっ! 来栖さんこんばんはー!」


「こ、こんばんは……」


「そうそう。お弁当有難うございました。美味かったです!」


「え、ええ。そうですか。良かったです」


「今日はここで食べても良いですか?」


「は、はい? ……ええ、もちろんです」


 来栖さんが何だかキョトンとしてるが、まあ良いや。

 今日の俺はとっても機嫌が良いのだ。


「頂きます!」


「ど、どうぞ……」




 来栖さんは、時々こちらを確認しながら他の仕事をしている。

 今日はり足の様な感じで歩いているけど、普段からそんな歩き方をする人だったかな?

 あの容姿で摺り足で移動していく姿はちょっとホラーだけど、詮索せんさくするのは止めよう。

 とにかく今日のご飯も美味しい。容姿から醸し出される雰囲気とのギャップが凄いな。

 あまり話したことは無かったけれど、今日は話したい気分だ。

 楽しかった遠足の余韻かな。


「あ、来栖さん。今日のご飯も美味しいです」


 お、振り向いたら、何かよろけたぞ。大丈夫か?


「あ、有難うございます……。今日はお疲れかと思いましたので、疲労回復効果が高いと言われる食事にしてみました」


「そんな事まで考えて作ってくれてるんですね」


 おお、来栖さん凄ええ。何かちょっと感動したぞ。


「いつもありがとうございます。俺、食事に気を使ったこと無いから、ちょっと感動しています」


「そ、そんな。蒼ぅ……上条さんに、そう言って頂けると嬉しいです」


「来栖さんは物知りだし、落ち着いていて大人って感じですね」


「いえいえ、そんな事は……」


「そういえば、来栖さんって何歳なんですか?」

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