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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校三年の時間】 美咲の悩みと楽しい日々
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第141話 「一色結衣」

(蒼汰)

 俺がワンピースが好きと口を滑らせたばかりに、結衣の似合わないワンピース選びに延々付き合わされるはめに……。


 結衣に似合うワンピが見つからない中、試着の途中で結衣から呼ばれた。

 カーテンの隙間から顔を覗かせると、首の後ろのホックが外れなかったみたいで、ホックを外して欲しいと言われた。

 脱ぐ途中だったのか、背中が大きく開いていてブラジャーの背中側が丸見えだった。

 全く。結衣のブラとか見ても……水色か。可愛いな。


 俺は調子に乗り、冗談でブラのホックに指を当てながら「こっち?」って言ってみた。

 きっといつもみたいに「死ね!」とか「変態!」とか言ってパンチでもしてくるかと思って身構える。


「そっちは、ここじゃなくて別の場所で外して……」


 ちょっと振り向いて、頬を赤くしながら恥ずかしそうに言われた。

 結衣の予想外の反応に思わずドキドキしてしまい、赤面しながら慌ててワンピースのホックを外した。

 その直後「ばーか。蒼汰、興奮すんな。変態! あと、ブラ見んな!」と言ってパンチを食らった。

 結衣め! また罠にはめめたな! 純情な男子高校生の心をもてあそびやがって……。


 でも、ブラのホックに指を当てた時に、航達の事を思い出して、結衣を選択肢として一瞬だけ意識してしまった。

 今日は会った時から、結衣からいつもと違う良い香がしてきて、女っぽさが増していたというのもある。

 『航の夏事件』から、どうしてもそういう事が気になってしまい、周りの女性を変に意識してしまう様になっていた。

 これは仕方が無いと思うけれど、要注意だ……。


 結局、ワンピースを選ぶのは断念して、食事前に選んだ中から二着購入した。

 その内の一着はレストランで俺が良いと言って却下された服だ。

 何でだよ……。


 ----


 夕方、結衣がスーパーに寄ると言うので、お菓子でも買おうと思い、一緒にスーパーへ。

 結衣はお母さんに頼まれて食材とかを買う様だ。

 一緒に来たのに別々に歩くのも変なので、俺がカートを押しながら買い物をしていた。


「ねえ、蒼汰。夏祭りと花火大会。一緒に行こうよ!」


 結衣がいきなりそんな事を言って来た。

 俺は美咲ちゃんと二人きりで行く予定だから、返事に困ってしまい沈黙してしまう。

 俺が返事をしないでいると、結衣は少し慌てた感じで言葉を繋いだ。


「あっ! 皆でだよ。皆を誘って一緒に行こうよ!」


「あ、ああ。そうだね……」


「私は美咲ちゃん達に声を掛けるから、蒼汰は航達に声を掛けてよ」


「わ、分かった……」


 何とも歯切れの悪い返事になってしまった。

 理由を付けて断っても、当日現地で会ってしまったら厄介だ。

 そもそも、俺と美咲ちゃんの関係がはっきりしていないから困る。

 嫌われてはいないと思うけれど、怖くて告白した事も無いし、美咲ちゃんに他に誰かいるのかとかも聞けていない。

 何とも情けない限りだ……。


 そんな事を思っていると、直ぐ近くの生鮮コーナーに来栖さんがいて驚いた。

 そう言えば夕食の買い物をする時間帯だ。

 挨拶しようかと思ったけれど、結衣は来栖さんの事を見た事がないし、来栖さんもこちらに気が付いていないみたいだから、そのままスルーすることにした。

 そんなタイミングで、結衣が袖を引くから振り向いた。


「ねえ、蒼汰ー。今からどうするのー? 私の家に来てブラのホックを外した続きでもするー?」


「ばっ、馬鹿かお前は!」


 いきなりとんでも無い事を言いだすから、急いで口を塞いだ。

 そしたら手に噛みつかれた。ノラ猫め!


「お前さあ、近所の人も居るかもしれないのに、冗談でもそんな事言うの止めろよ。お前のお母さんに殺されるぞ」


「うわ! 蒼汰がいやらしい事考えてる! 変態、近寄らないで!」


「……」


 聞かれていたら大変だと思い来栖さんを見ると、普通に通り過ぎて行った。

 聴こえて無かった様だ。良かった……。


 結衣には本当に翻弄ほんろうされ続けてしまう。

 困った奴だ……。

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