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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校三年の時間】 美咲の悩みと楽しい日々
129/186

第129話 「私の宝物」

(美咲)

 独りで部屋に居る時に、いつも見ている宝物がある。

 撮影の後で蒼汰君とカフェにいた時に、あのカメラマンさんから送られて来た写真だ。

 蒼汰君が消波ブロックの上に座っている写真、麦わら帽子を顔に乗せて寝ている写真、私が花束を蒼汰君から受け取った時の写真、私と蒼汰君が恋人繋ぎをして歩いている写真だった。

 どれも本当に素敵な写真で、毎日見返してはニヤニヤしてしまう。

 とっても幸せな時間。


 嫌な事が多い撮影だったけれど、こんなに素敵な写真を撮って貰えるなら、やって良かったと思えた。

 昔から優しいカメラマンさんだったけれど、いつの間にか写真を撮ってくれていて、こんなに素敵なサプライズをしてくれるとは思っていなかった。本当に嬉しい。


 ----


 三年生になってクラス替えがあったけれど、希望進路が文系の私たちのクラスは、殆ど入れ替わりが無かった。担任も持ち上がりで彩乃先生のまま。

 最初の日に席決めがあって、くじ引きの結果、蒼汰君とは離れた席になってしまった。

 でも、気が付いたら蒼汰君が強引に席を替わって貰ったみたいで、私の後ろの席に居た。

 そしたら結衣ちゃんも近くに席を移って来て、殆ど二年生の時と変わらない位置関係になってしまった。

 その上、航君や龍之介君、里見ちゃんまで近くの席になって、何だかとても楽し気な雰囲気。

 でも、三年生と言う事は受験の年。

 皆もこれからの進路について、真剣に考える時期だ……。


 放課後、明日の入学式の打合せもあり、生徒会室に集まった。

 お花見から二週間しか経っていないけれど、四人で集まるのは何だか久しぶりの様な気がする。

 お花見の時に途中で用事が入った事を、伊達君と前園さんに謝った。

 二人は全然気にして居なかったみたいで、後から前園さんには二人きりになれた事にお礼を言われてしまった。

 どうやら、あの日二人の間に進展があったらしい。

 聞いてもいないのに、桜の木の下でキスした事を嬉しそうに話してくれた……。

 

 その後、航君や結衣ちゃん達がいつものファミレスで待って居てくれたから、伊達君達も一緒に合流した。

 久しぶりに皆で集まって、ゆっくりと話をしながら過ごす事が出来た。

 ふと思い出すと、私は一ヶ月前には家を退去しないといけなくて、高校を辞めないといけないかも知れないと思っていた。

 蒼汰君のお父さんのお陰で、こうして皆と楽しく過ごす事が出来ている。

 とてもありがたいと思いながら、皆にも嘘をついている後ろめたさも感じていた。

 時々その事を思い出して、不安な気持ちにさいなまれる事がある……。


 ----


 翌日、新入生の入学式が行われ。生徒会役員四人で出席した。

 入学式の後、壇上に上がって挨拶をしないといけなくて、少し緊張したけれど何とかやり切った。

 髪型が変わり格好良くなった蒼汰君が挨拶をすると、新入生の女子から「副会長カッコ良いかも」とか声が聞こえてきて、ちょっとイラっとする。

 入学式が終わった後も、新入生の女の子達からキャーキャー言われていたから、蒼汰君に寄り添って親密アピールをしておいた。

 蒼汰君。これ以上私の悩み事を増やさないで頂戴。


 四月は思ったよりも早く過ぎて行き。気が付くとお昼間の行動が困る長期連休になってしまった。

 でも、私は良いアイデアを思いついて、貸倉庫での時間潰しを、あまり気にしなくて良くなっていた。

 生徒会役員四人での外出を二日。結衣ちゃん達と一緒に皆で集まる事で二日。残りの休日は蒼汰君と一緒に出掛ける計画を立てた。

 つまり、毎日朝から晩まで、ずっと蒼汰君と一緒に過ごす事になる。

 そうして、毎日楽しい時間を過ごす事が出来た。


 でも、皆で集まると進学についての話が多くなり、先行きの見えない私は、なかなか話を合わせられなくて困ってしまう。

 この先、進学を考えて良いのかすら見えてこない……。

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