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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校三年の時間】 掛け違う気持ちと本当の想い 
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第125話 「どうしても知りたくて」

(蒼汰)

 美咲ちゃんの撮影がある日曜日になった。

 今日は親父も来栖さんも用事があるらしく、朝早く出かけてしまったから家には俺しか居ない。

 そして、独りでいると美咲ちゃんの事が気になってしまう。

 あいつとまた恋人みたいにしているかと思うと胸がチクチクするし、撮影の後もあいつとイチャイチャするのかと思ったら、絶望的な気持ちになって来る。


 でも、今までの事を思いだしたら、俺にもワンチャンあるんじゃないかとか思ってしまい、どうしても二人の関係を知りたくて、美咲ちゃんに直ぐに会いたくなってしまった。

 普段は誘う事とかできないけれど、今日は撮影が見たいとか言えば、変じゃないかも知れないと思いメッセージを送ってみた。

 撮影の途中だったら永遠に返信は来ないだろうと思ったけれど、直ぐに返信が返ってきた。


「本当に! 嬉しいな! 場所はね……」


 思った以上の好反応に、俺は飛び上がって喜んでしまった。

 撮影場所は隣町の海岸だ。バスに乗れば直ぐだ。

 俺ははやる気持ちを押さえながら、速攻で頭を洗って、美容師に教えて貰った方法で髪をセットする。

 美咲ちゃん待っていてね! バシッと決めて、直ぐに行くからね!




 結局、髪を三回も洗い直して、何とか整った……。

 慣れない事をするもんじゃない。

 予定より一時間も遅れてバスに乗る事になってしまった。


 バスの行先は、いつも美咲ちゃんが乗っていく方角だ。

 ここからしばらく綺麗な磯浜いそはまの海岸線が続き、隣町に近づくと砂浜が見えて来る。

 この砂浜越しの景色はとても綺麗で、沿道にはリゾートホテルやリゾートマンションも建っている。

 同じ並びに、お洒落なレストランや喫茶店、マリンスポーツのお店があり、夏は砂浜沿いに海の家がオープンして、沢山の観光客や海水浴客で賑わう。


 お花見の日に続き今日も天気が良くて、バスから見える景色はとても綺麗だった。

 そう言えば、美咲ちゃんは隣町に住んでいると言っていた。

 この辺に住んでいるのかと思うと、家が知りたくて堪らなくなる。

 帰りに送って行くとか言って、家まで付いて行っちゃおうかな……なんて。

 俺は外を見ながらニヤニヤしていた。

 きっと気持ち悪かったと思う……。


 バスを降りて、教えてもらった撮影場所に行くと、もう撮影が始まっていた。

 邪魔をしない様に、少し離れた消波しょうはブロックの上に腰掛けて、撮影を黙って見ていた。

 撮影は始まったばかりの様で、まだまだ時間が掛かりそうだ。


 今日は天気も良くて温かいので、水平線をゆっくりと移動して行く貨物船とかを眺めていたら、だんだん眠たくなって来た。

 ブロックの形に合わせて上手に寝転んで、少し昼寝をした……。


 ----


「蒼汰くん」


 誰かに呼ばれて目が覚めた。

 最初、逆光で誰だか分からなかったけれど、その人の陰に入ったら顔が見えて、天使の様に綺麗な女性がいた。もちろん美咲ちゃんだ。


「来てくれてありがとう。嬉しい」


 そう言って、飲物と麦わら帽子を渡してくれた。


「まだ時間が掛かりそうだから、ごめんね」


「全然。俺が勝手に押しかけただけだから、気にしないで」


「蒼汰君。今日は久しぶりにセットが決まってるね! 美容院に行った日以来じゃない?」


「うん、まあ……。え? 美咲ちゃん何で知ってるの?」


「あ、あ、あゆ、ゆ、結衣ちゃんに聞いたのよ。凄く格好良い髪型にしたって。うん、凄く似合ってるよ!」


「ああ、そっか。結衣に聞いたんだ」


 話をしていたら、美咲ちゃんを呼ぶ声がした。


「じゃあ戻るね。また後でね!」


 美咲ちゃんは撮影に戻って行った。

 今日の美咲ちゃんは、この綺麗な海が似合う凄く素敵な格好をしていた。

 やっぱり今日も綺麗過ぎる……。


 美咲ちゃんが戻る姿を見ていたら、例の八神が俺の方をじっと見ていた。

 もし、あいつが美咲ちゃんと付き合っているのなら、後で文句を言われそうな気がする……。

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