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僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校三年の時間】 掛け違う気持ちと本当の想い 
121/186

第121話 「モデルの天野美咲」

(美咲)


「良いわね! この娘、凄く良いわ!」


「でしょ! 撮影決定ね!」


 私は訳が分からなかった。


「ねえ、撮影ってなに? 何の事?」


「今ね、ここで雑誌の撮影やってるのよ」


「それで?」


「来る予定だった娘が急病でキャンセルになって、代役を探してる最中でね。それがどこの事務所に問い合わせても、急な依頼だから全然見つからなくて困ってたのよ。そこで美咲が登場ってこと」


「ごめん。もう、モデルとかやって無いし。忙しいから無理だよ」


「うわっ、そこを何とか。ちょっとで良いからお願い。もちろん正規のモデル代も出るから」


「いや、無理だよ」


 藍君と女性からお願いをされていたら、撮影スタッフのカメラマンが近づいて来た。


「おお! 美咲ちゃん。久しぶり!」


 声を掛けて来た人は、私がモデル時代に色々お世話になったカメラマンさんだった。

 その方からもお願いされてしまって、本当にお世話になった方だったから、撮影の依頼を断れなくなってしまった……。


 蒼汰君は困った様な顔をしながら、トイレから出て来た所でこちらの様子を伺っていた。

 本当に申し訳なかったけれど、事情を説明して少し待って貰う事にした。


 撮影の内容は、雑誌記事のレンタカー会社とのタイアップ企画で、ドライブデートの訪問先のひとつが満開の桜での下でのデートシーンだった。

 待機していたメイクさんに化粧を直されて、直ぐに撮影が始まる。

 カメラマンさんの指示に従って立ち位置を決めて、要求されたポーズをして撮影されるだけ。

 でも、デートシーンの撮影なので、手を繋いだり少し抱きしめられたりという感じでのポーズばかりになる。

 蒼汰君に見られているのかと思うと、凄く嫌だった……。


 短時間でという話だったけれど、ワンシーンを残した状態で、結局一時間以上かかってしまっていた。

 ふと、蒼汰君が待っていた場所を見たら、蒼汰君は居なくなっていた。

 前園さん達との待ち合わせ場所に行ったのだろう。

 独りで取り残された気がして、とても寂しかった……。


 その後、三十分ぐらいで撮影は終わった。

 急いで待ち合わせ場所に行こうと思ったら、蒼汰君が戻って来てくれていたのだ。

 私は嬉しくなって、駆け寄って蒼汰君に謝った。


「美咲ちゃん凄く可愛かったよ。流石だね。昔モデルさんをやってたなんて知らなかったから、本当に驚いたよ」


 そう言ってはくれたけれど、何となく嫌な思いをさせてしまった感じがしていた。

 そして、伊達君達とは別行動になったので、お昼ご飯を一緒に食べに行こうと話していたら、例の女性が来て、昼食を食べながら来週の日曜日の撮影について打ち合わせをするので、この後もついて来るように言われたのだ。


 私は今日の事しか聞いていなかったので、これからの打合せも次の撮影も断ったけれど、途中で相手が変わるのは問題になるので、次週の撮影と今からの打ち合わせも来てもらわないと困るという事で、女性やスタッフからお願いされてしまった。


 話を聞いていた蒼汰君は気を使ってくれたのか「自分は適当に帰るから、美咲ちゃんはお仕事頑張って」と言って帰ってしまった。

 折角、蒼汰君と素敵な一日を過ごしていたのに、私のせいで台無しになってしまった……。

 立ち去る蒼汰君の背中を見て、寂しくて悲しい気持ちになる。


 そんな時に、藍君が私の手を引いて打合せ場所に連れて行こうとするので、直ぐに振りほどいた。

 それでも懲りずに、腰を抱えて来たり腕を組んできたりするので、その度に強く拒否して打合せ場所に移動した。

 只でさえ不愉快なのに、これ以上嫌な気持ちにさせないで欲しい……。

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