表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 美咲の想いと美麗の矜持
112/186

第112話 「言ったわよね?」

(美咲)


「あ、話は変わるのですが……」


「え、ええ」


「来栖さんって、好きでも無い男性が、目の前で他の女性と、その……抱き合うみたいにイチャついていたら、どう思います?」


「別に何も思いません」


「ですよね。じゃあちょっと気になっている男性だったら?」


「うーん。ちょっと嫌です」


「じゃあ、好きな男性だったら?」


「泣いて諦めると思います」


「もし、それが勘違いだったら?」


「どうしてそんな事をしたのか、理由を聞きます……」


 完全に私の事だ……。

 ”理由を聞きます”って、私、言っている事としたことが全然違うわね。


「ですよね」


「……」


「これ見えます?」


 蒼汰さんが、私に左頬を見せた。


「大分消えたけれど、勘違いで思いっきり叩かれて、真っ赤な紅葉マークが付いていたんですよ」


「……」


「これって、どういう意味なんですかね。やっぱり分からないや……」


 はい、蒼汰君。全部私が悪いんです。返す言葉もありません。深く反省しています……。


「えーと、蒼汰さん。私のつたない恋愛経験じゃ分かりませんが、その叩いた方は、蒼汰さんの事が大好きで、気が動転して、そんな事をしてしまったのではないかと思います」


「えっ?」


「違うかも知れませんが、そんな気がします」


 私はズルい女。

 ちゃっかり自分のフォローを入れてしまった……。


「そ、そうかなぁ。そうなのかなぁ。だったら嬉しいな」


「き、きっとそうですよ。ははは……」


 結局、蒼汰さんの片思いの相手が誰なのかは聞き出せなかった。

 次から次へと敵が出て来るわね……まったく。


 ----


 蒼汰さんとお父様に、バレンタインデーのチョコをお渡しして、今日のお仕事は終了。

 蒼汰さんは「一緒に食べませんか?」と言って、今日貰ったチョコレートを食卓に持って来た。


 チョコの包みは三種類。

 ひとつが結衣ちゃんので、もうひとつが私から、あとひとつが例の人ね……。

 でもね、蒼汰さん。バレンタインデーのチョコを、他の女性に食べさせるって、ちょっとダメだと思うわよ。

 まあ、結衣ちゃんのと例の人のチョコを、私がひとつ残らず食べてしまっても良いけれど……。


 蒼汰さんは、私のチョコを最初に開けてくれて、嬉しそうに食べてくれた。

 やったー。嬉しい!


「……」


 でも、蒼汰さんが微妙な顔をしているわ。

 どうかしたのかしら?


「これ、凄く美味しいけれど、ぐにゅぐにゅして食べにくいかも……」


 蒼汰さんの感想に、私の嬉しい気持ちは何処かへ飛んで行ってしまった。

 でも、頑張って盛り返さなきゃ!


「そ、蒼汰さん。そ、それは生チョコといって、そう言う食べ物ですよ」


「そ、そうなんですか?」


「そ、それに、ちゃんと冷蔵庫に入れていれば、そんなに柔らかくなるはずは……」


「え? これは冷蔵庫に入れていないとダメなんですか?」


 ……ねえ、蒼汰君。

 私、渡す時に「帰ったら冷蔵庫に入れてね!」って言ったわよね。

 言ったわよね?

 言ったかしら?

 言ってないかも……。


 今日は色々ごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=489571759&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ