表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の好きな人は派手で地味目で美人でブスで  作者: 磨糠 羽丹王
【高校二年の時間】 魅かれる心と邪魔する香り
100/186

第100話 「これだわ!」

(美咲)

 結衣ちゃんがうらやましかった。

 バスに乗って直ぐに隣から居なくなったと思ったら、蒼汰君と一緒に空いている席に移動して、何の躊躇ちゅうちょも無く膝枕で横になっていた。

 結衣ちゃんが蒼汰君と大の仲良しなのは分かっている。

 でも、余りに密着する姿を見て、二人の関係を疑ってしまう。


 席に帰って来る直前も、蒼汰君とキスした様に見えた。

 やはり蒼汰君のお相手は、結衣ちゃんなのかも知れない。

 蒼汰君とデートするときだけ、あの香りのする香水を付けているのかも……。

 そんな事を考えると、胸が締め付けられて悲しくなる。

 嫌な想像をして落ち込んでいたら、結衣ちゃんが笑顔で帰って来た。


「ヤバー。蒼汰のズボンにヨダレ垂らしちゃった。お詫びにほっぺにチューして逃げて来た!」


 笑いながらそんな事を言うから、また混乱してくる。

 結衣ちゃんが蒼汰君とどんなに仲良くしても、誰もとがめない。

 前園さんも結衣ちゃんを意識している感じはしない。

 前園さんが例のお相手だとしたら、とても不公平だと思う。

 私が蒼汰君と仲良くすると、二人から咎められている気がする……。


 帰りの新幹線も、気が付いたら結衣ちゃんは居なくなっていて、最後尾の席を対面シートにして、蒼汰君の目の前にあたりまえの様に座っている。

 私も行きたかったけれど、他の女の子が横に座って話しかけて来たから行けなかった。


 話していた女の子が席に戻ったから、振り向いて見てみたら、行きと違って何だか静かだった。

 気になって覗きに行くと、結衣ちゃんは蒼汰君の上着を膝に掛けて貰っていて、グッスリと眠っていた。

 蒼汰君もうたた寝しているみたいだったから、コッソリ横に座り二人を観察してみた。

 寝ている二人は何だか平和で、イライラしていた自分が馬鹿みたいに思えて来る。

 色々な考えが浮かんで来て、もう何が正解なのか分からない……。


 ----


 車内アナウンスで目が覚めた時、私は蒼汰君にもたれかかって寝ていた。

 偶然じゃなくて、眠くなってきた時に自分で蒼汰君の肩に寄り掛かったから……。

 蒼汰君も起きていて、私が目を覚ました事を知っていたけれど、私を押しのけるでも無理に起こそうとするでもなく、黙って肩を貸してくれていた。


 多分あと十分位で終点に到着する。

 到着したら、蒼汰君は私の傍から消えてしまう。

 例のお相手と直ぐに会うのかも知れない。

 私はまた独りぼっちだ……。

 寂しくて涙が出て来たから、顔を上げられなくなってしまい、そのまま少し待って貰った。

 蒼汰君。甘えてばかりで、ごめんなさい……。


 皆が降りる準備を始めて、周りが賑やかになってきた。

 このままだと、周りの人に見られて蒼汰君に迷惑が掛かってしまう。

 頑張って起き上がって、蒼汰君にお礼を言って荷物を取りに席に戻った。

 その後、結衣ちゃんが戻って来て一緒に降りる準備をした。


 準備をしながら、ここ数日の事を思い出していた。

 思い出してみたら、私の修学旅行の思い出は蒼汰君一色。

 お風呂以外の全ての時間を蒼汰君と過ごしていた気がする。

 そういえば、お風呂も一緒に入ったわね……足湯だけど。

 そう思うと、少し嬉しくなって元気が出て来た。




 駅からの帰りのバスには、蒼汰君と結衣ちゃん、それと航君が一緒に乗っていた。

 先に航君と結衣ちゃんが降りて、蒼汰君がいつものバス停で降りて行った。

 蒼汰君に手を振りながら、次に蒼汰君の家に行く日の事を考えていた。


 アルバイトを休む日が、修学旅行の日程と全く一緒だとあれだと思ったので、わざわざ明日の土曜日も休みにしたから、行くのは三日後になる。

 うーん。長いなぁ……失敗した。


 家に戻ると、当たり前だけれど誰も居ない。

 みんなとずっと一緒に居たから、余計に寂しくなってしまう。

 蒼汰君や他の人と会えるのも、蒼汰君の家に行くのも、三日後の月曜日。

 それまで、この寂しさに耐えきれる自信がない。

 どうしよう……。


 それから寂しさを紛らわす方法を考えていたら、ある考えが閃いた。これだわ!


 私はひらめくと同時に、ワクワクしながら、急いで準備を始めた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=489571759&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ