第二次世界大戦は止められるか
結論から言ってラインラント進駐自体を防いでも世界大戦は止められないと考える。ラインラント進駐を防ぎ、英仏が強い態度で臨んだとしても東欧には力の空白があり、さらに日本やイタリアという拡張主義国、さらにイデオロギー対立があるソ連など核兵器という抑止力がない世界では大国間の全面戦争や紛争を確実に防ぐことはできないからである。
しかし、いくつもの事件を改変し大きな歴史の流れを変えれば戦争の規模を抑えて世界大戦に発展しない可能性があったのも否定はできない。
ラインラント進駐をとめた場合の話をする。
方法は前述した通りであるが、ラインラント進駐阻止には問題もある。
まず単純な軍事占領ではドイツは軍事力の差でラインラントを抑えられることで工業力の大半を握られ、身動きが取れなくなるだろう。しかし、これまでも険悪であった両国の関係が悪化し、いずれ正当性を失うラインラント占領の後にはドイツ国民の英仏への憎悪しか残らない。全面戦争の抑止力となる核兵器の登場までに戦争になる可能性も高く、ドイツ国内でも軍拡や外貨不足を解決する手段がなくなるため、諸外国はドイツを暴走させないために軍事的抑制と経済支援の両立という『飴と鞭』を上手く使い分けなければいけないと考える。
しかし、ナチス政権は旧領奪還や東方進出が出来なくなるため、ナチスは目的を失い軍拡をやめることで財政的余裕が生まれ、外貨不足にも一定の改善があると考えられる。よって失業者問題と債務問題を解決し、貿易が正常な状態に戻ればドイツは侵略せずに経済成長を続けていたと考えられ、経済大国になっていったかもしれない。
さて、ここで問題になるのがドイツを防いだとしても、日本・イタリア・ソビエト連邦が未だ健在であるということだ。
日本は最初に東亜・太平洋戦争として除外したが、ドイツの西方電撃戦がなければヴィシーフランスが生まれることもなく、仏印進駐もなくなりフランスの積極的平和主義により南進論やそれに伴う日米衝突は避けられるかもしれないが、援蒋ルートは遮断できないので日中戦争はさらに泥沼化し最悪北進論をとりソ連と交戦するかもしれない。
イタリアだが、拡張先を失う。ギリシャやアルバニアしかないため、平和を乱し地中海に閉じ込められるよりはよほど追い詰めない限り戦争にはならないだろう。
ソ連は圧倒的人口と自給自足が可能な資源をもっており、ドイツが攻めていない世界では確かに被害がなく国力は増すが、その分軍事技術は発達が遅れ、戦勝大国としての地位を得ることもなかったと考えられ、さらに最も重要なのは、一国社会主義を掲げるソ連は大国の味方がいなかったことであり、不確定の部分も多いがスターリンの死後に権力集中は効力を失っていき、緩やかに衰退もしくは変化すると考えられる。