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君がいるだけで-12
低い雲が空を覆って、北風が吹き出した。枯れ枝の多くなった緑道の植え込みの間を、犬を連れた少女が散歩している。遠くからそれを見つけた二郎は、駆け寄りながら犬の名を呼んだ。
「メリー」
犬は耳を立てて振り向き、尻尾を振って二郎を迎えた。二郎は少女と犬に追いついた。
「…ジロー君」
「やぁ。やっぱりそうだった」
理江子は、息せき切って近づいてきた二郎に戸惑いを隠せなかった。しかし二郎は犬のほうに目を遣っていたので気づいていないようだった。
「遠くだったけど、すぐわかったよ。リエちゃんとメリーだって」
「メリーもすぐわかったみたいね」
「こいつ、愛想がいいな、いつも」
二郎はしゃがみこんで犬をさすってやった。犬は尾を振って顔を二郎の顔に寄せてなめようとしている。くすぐったがりながらも、やめさせようとしない二郎の笑顔に、理江子はほっとした気分になった。
「いつも今頃散歩?」
「んん。もう寒くなってきたから少し早くにしたの」
「そうか、お前も寒いもんな」
二郎は楽しそうに犬の頭を撫でている。
「ジロー君は、……今日は、およばれじゃなかったの……」
「え、あぁ、うん。いま、帰り」
「今日は歩いて?」
「うん。ずっと緑道通って帰ってきた」
「…そう。…楽しかった?」
「ん、…まぁね」
「……そう」




