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だっさーwww

「見学来てくれたんですね」


 俺達が要塞戦の感想なんかを話していると、お兄ちゃんLOVEこと火雷利香が話しかけてきた。


ダーク「よ、お疲れ。惜しかったな」


お兄ちゃんLOVE「全然惜しくないよ。全く歯がたたなかったもん!」


ダーク「そっか」


エリナ「お疲れ!頑張ったわね」


お兄ちゃんLOVE「あ、エリナさんも来てくれ・・・と言うか、自由同盟の皆さんで見学に来てくれたんですか?」


団長「いやあ、ダーク君が見学に行くっていうものだから、ついみんなで行こうかってなっちゃってw」


お兄ちゃんLOVE「そうでしたか。楽しんでもらえたなら嬉しいです」


 そう言ってお辞儀をする利香。

 利香と自由同盟の面々は、以前団長宅で直接会う機会があったので、一応実生活でも顔見知りとなっている。


 それにしても、ホントこいつは兄貴と違って常識人だよな。

 俺との再会時こそ最悪だったが、その後のこいつの言動はまさに常識人。

 あれか?非常識な兄貴をずっと見て育ったから、反面教師になってたのか?


「あれ?あそこでラブちゃんと話してるのエリナちゃんじゃない?」


「あ!ほんとだ!おーい!エリナちゃーん!」


 俺が下らない自説に没頭していると、そんな声が聞こえて来た。

 ふと見ると、結構な数のお兄ちゃん大好き!ギルドのヒーラー達が、姉貴の周りへと集まっている。

 知らない奴が見たら、この集まりは一体何なんだ?思うだろうが、話はお兄ちゃん大好き!と一緒に、ブラックアウトのローザ要塞に攻めた時まで遡る。


 俺達自由同盟と、桜マスター率いるBMA,そして利香のお兄ちゃん大好き!この3ギルドが手を組んで黒乃さんのBMAに戦いを挑んだのはちょっと前の事だ。


 実は、お兄ちゃん大好き!ギルドのメンバーからは、当初俺達はあまり期待されていなかった。

 まあ、何か嫌味を言われたとかではなく、自由同盟とBMAの役割が、「サポートのサポート」だった事から、それは伺い知ることが出来た。

 姉貴と燈色は回復と補助クラスだったので、メインの戦闘員の補助と言う重要な役割につくことが出来たんだが、序列は下位の方だったと思う。

 その流れが変わったのは、里奈の回復魔法の回復量が半端じゃない事に気付かれた時だった。


 里奈は、ヒーラーとしては珍しい「INT型」だ。

 大抵の人は、MP量と回復量のバランス重視型なんだと。


 INT型は、自分の生命力ポイントと魔力ポイントを犠牲にして、知能を高めたヒーラーの事だ。

 マジックポイント(MP)とヒットポイント(HP)は低くなるが、マジックポイント消費量は極端に少なく出来るし、ヒールの回復量は大幅に増える利点がある。

 その反面、INT型を使うには中の人の操作スキルが重要になるらしい。

 HPやMPは平均以下の量だからね。


 で、戦闘中の姉貴からのヒールを受けた奴がその回復量にびびり、要塞戦終了後に姉貴に尋ねた所、INT型であることが判明。

 しかも、MPの自然回復を促す「漆黒シリーズ」を装備している事も話したらしく、お兄ちゃん大好き!ギルドのヒーラー達から、質問攻めにあっていたんだ。


 それ以来、自由同盟の・・・と言うか、姉貴の株がぐーんと彼らの中で上がっている・・・というわけだ。

 たまに「助っ人に来れないか?」という話もあるらしいが、カルニスクを(一応)狙っている身としては、それはまずいだろうという事で、実現していないんだけど。

 まあでも俺としては、お兄ちゃん大好き!が他の要塞に攻めるときくらいは助っ人参加してもいいんじゃないかなとは思っている。

 勉強にもなるだろうしな。


「やあ、ダーク君も見学に来てたのか?」


 俺が姉貴と、姉貴を取り巻いている人たちをぼーっと眺めていると、そう声を掛けられた。

 声の主は、カシオペアサーバーに3人しか居ないと言うレベル100以上のプレイヤーしか変身できない「黒騎士」の格好をしていた。


ダーク「お久しぶりです黒乃さん」


黒乃「ひさしぶりだなダーク君」


 声の主は、このローザ要塞の主である「ブラックアウト」ギルドの幹部である「黒乃」さんだった。

 カシオペアサーバーに3人しかいないレベル100プレイヤーの一人で、中の人はパソコンショップTSUKUNEの店員さん「一条美琴」さんだ。

 ちなみに、姉貴のパソコンは黒乃さんから購入したものだが、姉貴は「黒乃」さんが「一条さん」であることは知らない。


ダーク「それにしても相変わらずの強さですね」


黒乃「そうかな?」


お兄ちゃんLOVE「ホント、全然可愛げがないですよね!」


黒乃「まあ、誉め言葉として受け取っておこう」


 ちなみにお兄ちゃんLOVE、つまり利香も、黒乃さん=一条さんであることは知っている。

 ちょっと前に、3人でオフ会みたいなのもやったしな。


黒乃「しかしエリナさんは凄い人気だな。うちのギルドのヒーラー達も集まってるし」


ダーク「え?あ、ほんとだ」


 黒乃さんと話している間に、いつの間にかブラックアウトのヒーラー達も姉貴の周りに集まってきており、結構な集団になっている。


黒乃「以前エバーラングが、うちのギルドのヒーラー達に「自由同盟にINT型が居たんだよ」と話した所、ギルド内で盛り上がってな」


ダーク「そんなに珍しいもんですか?INT型は」


お兄ちゃんLOVE「そりゃそうですよ。普通は狩りに行く事も考えて、それなりのHPを有したうえで、MPとMP回復の一番良いバランスを試行錯誤してバランス型にするわけですから」


黒乃「だな。INT型にするという事は、HPとMPの最大値を犠牲にして、回復魔法の威力とMPの回復値を最大にするわけだ。ボス戦なんかでは、少ないHPが原因で死ぬことが無いように立ち回らなければいけない」


ダーク「はあ。面倒そうなこだわりですね」


黒乃「ダーク君もあるのだろう?そういったこだわりが」


ダーク「え?俺ですか?別にないですよ」


黒乃「いやでもエバーに聞いたが、なんでも黒を制するという目標が・・・」


ダーク「うわあああ!ないから!そんなのないですから!」


 くそー。姉貴の話からとばっちり受けちゃったぜ。

 エバーの奴余計な事言いやがって!今度文句言ってやる!




エリナ「ぷっはー!疲れた!」


団長「お疲れエリナちゃん」


アッキー「お疲れー!凄い人が集まってたねー」


エリナ「なんか、INT型が珍しいみたいで、色々聞かれちゃった」


 ようやく解放された姉貴が、ギルドチャットに戻って来た。

 俺や団長はとっくに解散してたんだが、姉貴の周りから人がいなくなる感じしなかったからなあ。


 それにしても、INT型ってだけであんなに人が集まってくるなんて、今後のヒーラーはINTが主流になるのか?

 以前コボルト要塞でも同じように人が集まってたもんな。


ダーク「なあ師匠。今からヒーラー作るなら、やっぱINT型がお勧めなの?」


エリナ「うーん、おすすめはしない」


ダーク「へ?なんで?」


エリナ「万人向けじゃないもの。私は自分で考えてINTにしたけど、そうじゃなかったらバランス型が一番使いやすいわよ」


ダーク「じゃあなんであんなにINT型について聞きたがる奴が多いんだよ」


エリナ「そりゃ珍しいからでしょ。今や主流はバランス型なのに、なんでINT型やってるのか、同じ職業なら聞きたくなるんじゃない?」


 ああ、それはなんかわかる気がする。

 一番良いステータスがわかってるのに、あえてそれ以外を選んでいるのには何か理由があるの?って思っちゃうかも。


 あれ?じゃあなんでこいつはINT型にしてるんだ?


ダーク「なあ。なんで師匠はINT型にしたの?」


エリナ「そんなの決まってるじゃない」


ダーク「なんだよ」


エリナ「みんなと同じじゃつまらないからよ」


団長「おお!エリナちゃんカッコイイね!」


ヒイロ「さすがですエリナさん」


ダーク「ええ?そんな理由でINT型なの?」


エリナ「何よ文句あるの?」


ダーク「いや文句はないけど・・・」


エリナ「じゃああんたは何で体力型にしたのよ?」


ダーク「そりゃあ、これが一番狩りにも要塞戦にも有利だって聞いたから・・・」


エリナ「つまりそこに「自分の意思」は無かったわけね。だっさーwww」


ヒイロ「すみません、私も言われるままにキャラを作りました・・・」


エリナ「あ、ヒイロはいいのよ!ダークは人の事に口出すからダメなのよ」


 かあああああああああああああああああああああああああああああああああ!

 くっそむかつく奴だぜ!

 しかし、正論なので言い返せん!


 そんな楽しいひと時(俺以外)を過ごしている時だった。


「センジンさんがログインしました」


 情けない話だが、みんな固まっちまったよ。

 団長を除いてな。

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