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第8話「運営のおしごと “勇者の独立”」

 別れは突然訪れる。

 “サラの姐さんに呼び出された俺たちは、街に迫って来ている大型モンスターの討伐を依頼される。

 そこで新たな力となる武器を渡される。

 それは倒したモンスターの部位を取り込ませることで進化する剣=ハデスカリバーン。

 今や、4体のS級モンスターを取り込んである。

 勇者といえどもすべてが順風満帆なわけではない。大型モンスターと対峙したときに

 パーティーはかつてない苦戦を強いられた。迫り来るモンスターをハデスカリバーンでしのぎ、

 大型モンスターに一太刀浴びせることができた。

 だが、情報が少なすぎた。

 大型モンスターは、突然口から火を吹き、あたりを紅蓮の炎で焼いた。

 クエストは、戦う相手を知ることが勝利の鍵。

 予想だにしない攻撃に、勝利は無いと確信した俺たちは、作戦的撤退を決断。

 ⋯⋯決して逃げたわけではない。

 隣の街で立て直そうと、馬車をものすごい勢いで走らせ到着した頃には、大型モンスターが勇者によって倒されたとのビラが配られていた。

 あの一太刀が効いたのであろう。おそらく⋯⋯。

 これをきっかけにサラの姐さんとは別々の道をゆくことになったが、そこからの俺たちの活躍が止まらなかった。

 サラマンダーの力を取り込んだハデスカリバーンの威力は凄まじく、領主グランゼ侯爵を前にした模擬戦で最強と名高いグランゼ侯爵の剣士を負かすことができた。

 それによって、俺はグランゼ侯爵の騎士団に迎えられ、騎士長にまで登り詰めた。

 グランゼ侯爵は圧倒的な軍事力を武器に領土を拡大してきているお方だ“


 燃え盛る城を見つめるリグラン・ルイード。


 ”グランゼ侯爵に異を唱える貴族がいるという。それはハルム・ウィルトン公爵であった。

 俺は、母ニコラが、ウィルトン公爵と密かに関係を持ち、我が父ルイード伯爵を毒殺したという噂を旅の最中に耳にしたことがあった。

 その話をグランゼ侯爵にすると、ルイード家の再興と旧領回復を大義名分にウィルトン家を攻め落とせとの命が降った。

 それから3日のうちにウィルトン家の城は焼け落ち、ものを言わなくなった父と母と弟との3年ぶりの対面を果たした“


 黒く焦げた人のような3つの物体を嘲笑うような顔で見つめるリグラン。


 “戦いは終わらない。ウィルトン家を失った支配地域では、ならず者たちが蔓延り村々を襲っているという知らせが入った。

 権力の空白地帯、グランゼ侯爵は俺にルイード家の名のもと、速やかにならず者を征伐し、ルイード家の再興を示せと命じた。

 これには意図がある、襲われている村々はかつてのルイード家の領地。ルイードの名を持つ俺が彼らを救い、平定すれば支持も集まり、

 これは侵略ではないことを世に示すことができる。

 グランゼ侯爵はこうも約束してくれた。ならず者が支配する地域を治めれば、かつてのルイード家の領地は俺にくれてやると。

 そうなれば、俺は勇者であり領主になることができる。

 だから俺はこうして今、ここにいる”


 見回りをしていたならず者と思われる男たちが村の中へと入って行くと、リグランは、パーティーに突入の合図を送る。

 “冒険者たちもギルドから村を襲うならず者たちの討伐の依頼が出ていると聞く。だが、悪いなここは勇者である俺たちが先に片付けさせてもらう”


 その頃、薮の陰でシュンを含む冒険者数人が作戦の確認をしている。

「やつらは必ずここを通る。来たところを一気に攻めるぞ」

 頷くシュンたち。

 見張っていた男が「来たぞ!」と、声を上げる。


 内部へと侵入したリグランたちパーティー一行。

「通路か?」と、左右に柱の壁が立ち並ぶ道を走る。

 すると、頭上から矢の雨が一行に降り注ぐ。

「罠か!」

 首に矢が命中した格闘家のダルエイは、その場に倒れる。

「いまだッ!行けーッ!」と、声が響くと前方と後方から男たちが出てきてリグランたちを囲む。

「チッ、囲まれたか⁉︎」

「見つけましたよ。勇者崩れのハングレ集団!」と、シュンは剣先をリグランに向ける。

「何が悲しくて勇者がこんな悪事をしているか知りませんがここで僕たちがあなたたちを倒します!」


 つづく


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