第7話 泣いた
「龍王オルフェ様の側近、緑龍デノラスです。セージ様を守護します」
「龍王オルフェ様の側近、桜龍ギディアです。カレン様を守護致します」
「デノラス様が配下、ザルバハです」
「同じくガナオル。セージ様をお守りします」
龍族は4頭。
3頭が緑色でうちデノラスには2本の角が生えている。
ザルバハとガナオルは似ているがガナオルの右目には深い傷跡がある。
他の龍に引っかかれたのだろうか。
これが無かったら正直見分けがつきそうにない。
性別は分からん。
色合い的にギディアだけ女性っぽそうだ。
「獣魔族代表、魔王五指が一人ラオファ」
「淫魔族代表、魔王五指が一人レイシェン」
「剛魔族代表、魔王五指が一人ゴルガ」
「知魔族代表、魔王五指が一人スカルファス」
「王魔族代表、魔王五指が一人マリアス。我ら魔王五指があなたの使用人としてお仕えいたします」
いや、魔王五指ってなに。
マンス王が確かに側近って言ってたけど、え?
四天王的なポジションの人たちなんじゃないの?
そんな大事な人たち使用人にって正気か。
獣魔族代表はミノタウロスという風貌。
ファンタジー感あるわー。
淫魔族は……目のやり場に困る。
その服あまりにもぎりぎりというかもうほとんど紐ですよねそれ。
剛魔族はアメコミのハ〇クそっくり。
ただ色が緑じゃなくて赤い。
これで角が生えてれば鬼っぽいのだが。
知魔族はTHE悪魔という感じ。
背中にコウモリの羽みたいなのがあり賢そう。
そして王魔族はまんま魔王の親戚かな。
背中から黒い翼、額からは2本の角、肌は黒めの茶色で目は黄色に赤い瞳まで全部一緒。
違うのは自己主張の激しい胸。
すごく、大きいです……。
見ての通りレイシェンとマリアスは女性だ。
「王宮正統宮女代表、イシリアです」
「王宮正統宮女、ラナナです」
「同じくフェミです」
こっちも代表をさらっと置いていったんかーい。
頼むから次来る時までに好感の才能の効果が切れててほしい。
切れるかわからんけど。
じゃないとこんなお偉いさん方おいてかれても扱いに困りすぎる。
イシリアだけ老婆であとはカレンに年が近そうだ。
いや、年下かもしれない。
「改めましてセイジです。こちらはカレンさんです。よろしくお願いします」
俺がお辞儀をすると龍族はひれ伏し、そのほかは跪いた。
お願い止めて。
俺の精神がごりごり削れる。
とりあえず全員立ってもらっていいっすか。
ほんと勘弁してください。
「セージ様。今一度お伺いいたしますが何か御用はございませんか?」
イシリアが笑顔で言う。
家は建ってるし食料もある。
やることといえばなんだろう?
あ、全員の寝る場所がないな。
それと水。
暗くなり始めてるし明かりも欲しい。
それらをイシリアたちに伝える。
するとスカルファスの手が突然燃え上がった。
「明かりは大丈夫です。水もいつでも出せます」
魔法だ。
すごい。
いや俺も召喚魔法で連れてこられたけど改めてみるとすごいな。
俺も使えるようになるかな。
あとで聞いてみよう。
「寝床については野営の準備がございます。龍族の方たちは……」
「問題ない。その辺で寝る」
ラナナがデノラスを見るとそう答えた。
全部解決。
「セージ様。他に御用はございませんか?」
「えーっと。もう暗いしあとはご飯食べて寝るくらいかな」
「かしこまりました。ではお食事の用意をいたします」
イシリアがラナナとフェミを連れて俺のほうの家に入っていく。
スカルファスたちは薪を集めだし焚火の準備していた。
デノラスたちは何処かへ飛んでいく……御飯食べに行ったのかな?
カレンはイシリアたちの手伝いに向かったがすぐに帰ってきた。
「休んでてくださいって……」
うん、色々ありすぎて疲れたし一緒に少し休もう。
俺はカレンと一緒に用意された焚火の前に腰を下ろした。
先に座っていたマリアスがめっちゃガン見してくる。
なんだろう、気が休まらん。
というかなんでマリアスだけ薪集めしてないの?
もしかして魔王五指の中でもお偉いさんとか?
もしくは魔王の娘か……ありえるな。
とりあえず見られてると気になるから声をかけてみるか。
「えっと、どうかしました?」
「!?すみません!!!」
マリアスが顔を赤らめてそっぽを向く。
ああ、好感の才能の影響か?
ちらっと横を見ればカレンもこっちガン見してるし、もうこれ気にしたら負けか。
ため息をつきつつ焚火の炎を眺める。
ちょっと癒される。
焚火の音っていいよね。
小さい頃、親に連れて行ってもらったキャンプを思い出す。
そうだ……もう親や兄弟、友達や職場のみんなと会えないのか。
急展開すぎて全然気にも留めてなかったが気づいてしまった。
そう考えたら悲しくなる。
カレンは大丈夫だろうか?
「カレンさんは兄弟とかいるんですか?」
唐突の質問にカレンは一瞬驚いたみたいだったけどすぐにハッとなって焚火を眺めた。
「妹が一人。……でも、もう会えませんね」
やってしまったね。
聞いたらだめだろ、俺の馬鹿野郎。
「ごめん」
「いえ、セージさんも同じですから。それに今じゃなくてもきっと後で気づいて悲しく……なっでまぢたぁぁぁああ」
盛大に泣かせてしまった。
釣られてなのか、俺も目の前がゆがんで見えて……ううぅ……嗚咽が漏れちゃう。
きっとマリアスとか泣きじゃくる俺やカレンを見て戸惑ってると思う。
でも今は気にせずに、泣こう。
ネット小説とか読んでるとき、異世界に行ってみたい、なんて最初は軽く考えてた。
現実世界で仕事してるだけの人生より楽しいし、元の世界に帰れなくても問題ないって。
でも、実際に異世界にきて、家族や友達に二度と会えないってことがこんなにも悲しいなんて。
涙が全然止まらない……。
食事の準備を終えたイシリアが、泣いてる俺とカレンを見つけ、優しく抱き寄せてくれるまで俺たちは泣き続けた。
泣いた後はみんなでイシリアたちが作ってくれた夕食を食べる。
気を使ってか誰も何も言わずにモクモクと食べていたが、静かに食べてるとまた涙が出てきた。
カレンも同じように泣きながら食べていた。
夕食を食べ終わるころデノラスたちが帰ってきて、泣いてる俺とカレンをみて他のメンバーを威嚇し始めたのですぐに誤解を解いた。
誤解を解くのと泣き疲れから、俺は何も言わずに家の中に入って寝床で横になる。
「セージさん。今日だけ一緒に寝ていいですか」
見れば入口に両目を真っ赤にしたカレンが立ってる。
きっと家族に会えなくて寂しいのだろう……俺も正直寂しい。
だから黙って寝床の端によりカレンが入れるようにし、壁の方を向いて寝た。
すぐ背中にわずかな温かさを感じ、そしてすすり泣く声が聞こえた。
俺もまた声が出ないように泣いた。




