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第5話 リョウトの手記と才能の発揮

才能(タレンタム)を得た俺とカレンはオルフェ王からいろいろ世界についてを教わることにした。


この世界の常識というやつだ。


「この世界についていろいろ教わりたいのですが」


オルフェ王は快く引き受けてくれた。


「何から教わりたい?」


「ではまず太陽は見てわかるのですが月はありますか?」


「あるぞ、小さき青い月と大きな緑の月があり、最初に小さき青の月が昇り、それが沈んだら緑の月が昇る」


え、月が2つもあるのか。


しかも同時じゃなくて別々で昇ると。


さすが異世界。


時計で1日の時間を確認したいが残念なことにこの世界に来てからスマホがつかない。


今時スマホで時間を確認するから腕時計なんてもちろんもってはいない。


カレンは職場のデスクにスマホを置いていたそうだ。


つまり時間の計測はできないから体感で感じるしかなさそうだ。


「時間の計測は無理か」


「ん?時間とな。そういえばあの男が時間やらなんやら書いた手記を残してたはずじゃな」


そう言ってオルフェ王は山に一気に飛び立ち、数分後戻ってきた。


戻ってきたオルフェ王の手には一冊の手記が握られていた。


俺とカレンは手記を受け取り早速開いてみた。



~リョウトの手記~


1983年の1月の日本という場所から僕はこの世界に来た。


この本は新たにきた異世界人のために残した。


日本語で書いているから読めるのはおそらく同郷の者だけだと思う。


どうかこの知識を悪用せず平和のために活かしてほしい。



そう始まった手記にはこの世界のあらゆることが記されていた。


1日は28時間。


太陽の刻が12時間、青い月が8時間、緑の月が8時間。


季節による変動はなし。


それぞれの季節は1つの季節が約50日で450日ほどで1年となる。


太陽の時刻に変化がないのに季節が変わるのは神領に住む神が季節を入れ替えているから。


世界は神領、霊領、巨領、龍領、獣領、魔領、人領の7つに分割されている。


世界の中央には左に傾いたようなピーナツ型の大大陸があり最北に魔領、その南西に龍領が、ピーナツのくびれのような部分から南が人領でさらに最南端に霊領がある。


魔領と龍領から西の海を越えた先に小大陸がありそこが獣領。


反対に東の海を越えると3つの小大陸といくつもの群島がありそこが巨領。


龍領より南西に海を渡ると中大陸がありそこが神領となっている。


過去神領を除く6つの領で領土をめぐった争いが起きたが、リョウトは才能の力と神領の協力を得て争いを収めたらしい。


残念ながら才能の内容には書かれていない。


そのほか各領の特徴や食べられる植物や動物の情報。


色んな種族についての情報が記されている。


「すごいなこの人」


心からそう思う。


一人で異世界に来て世界を平和に導き、あまつさえ俺たちのような後から来る人のための準備までしている。


実に立派な人間だ。


手記をさっと読み通し終えると太陽がいい感じに沈みかけていた。


家の建築はどうなったのだろうとあたりを見たらトイレがあったところに家ができていた。


丸太を組んだだけの平屋ではあるが二世帯住宅のように入口が2つ。


俺のつがいではないという言葉にマニャ王とマンス王が気を利かせて分けてくれたようだ。


残念とか微塵も思ってない。


うん。


中は広く10畳ほどの広さだが地面は土のまま。


床という文化がないのか、それとも床板を作れなかったのか。


入り口そばにちゃんと壁で仕切られたトイレがあり、対角にあたる部屋の隅には盛り土されたベッドのようなものに草が敷き詰められていた。


原始的な家屋だが作ってくれただけありがたい。


カレンのほうも対称ではあるが同じ形式の部屋だった。


「「ありがとうございます」」


俺とカレンはマニャ王とマンス王、そしてそれぞれの兵たちに頭を下げて礼を言った。


「急ごしらえだから石畳にできなくてすまんな。戸も作る道具がなかったので吹き抜けだが許してほしい」


マンス王が頭を下げるがとんでもない。


オルフェ王に命令されたとは言え一日で雨風しのげる寝床を作ってもらえたのは本当にありがたい。


「家を建て終わったようじゃな。では人の王と魔の王よ。帰れ。そして二度とこの地に近寄るな」


いや、ひでぇなおい。


もうちょっと労わってあげてよ。


それから近寄るなって、どっちにもいろいろ教わりたいことがあるんですが。


「あの、龍王様。できれば王様と魔王様からいろいろと学びたいことがあるので今後もお付き合いをしたいのですが」


「む?そうか。おぬしがそういうならいいだろう。ただし異世界の知識を教えるのはダメだぞ。あとわしのことはオルフェでよい」


えらいあっさりと許可が下りた。


出会ったときは異世界の知識、ダメ、絶対な感じだったのに。


名前呼びまで許してきたし。


あ、才能(タレンタム)の効果か!?


好感の才能に俺の言動全部許されるって書いてあったような……。


試してみるか。


「えっと、ありがとうございますオルフェ様。しかし王様と魔王様には家を建てていただきました。できれば戦争のきっかけになった飢饉の解決など異世界の知識で何とかなるなら何とかしてあげたいのですがダメですか?」


「うぬぅ。仕方ないの。人の王と魔の王よ。異世界の知識を悪用すれば直ちに滅ぼしに行くからな。善行以外で使わぬようにせよ。それからセージよ。様はつけんでよい。おぬしなら敬語も使わんでよいわ」


許された。


まじかよ。


敬語もいらないとかどんだけ高感度上がってんだ。


「セージ殿、わしらのためにオルフェ様に口添えいただき誠に感謝いたす」


マニャ王が跪いた。


「われらのつまらぬ争いに巻き込んでこの世界へ呼び出してしまった事改めて謝罪する」


マンス王まで跪いた。


それを見てた兵士たちが次々跪く。


なにこれ怖い。


慌てて立つようにお願いした。


それだけでマニャ王もマンス王もなんと心優しいと大喜び。


どんどん好感度が上がって恐ろしい。


「わしらにも敬語は不要じゃ。どうか友としてこれからも仲良くしてほしい」


止まらない高感度アップ。


両王から友の証として敬語不要と名前呼びをお願いされた。


さらに俺を守るべく兵士を10人ずつ付けるとか言い始めた。


いやいや、俺もカレンもすでに龍が1匹づついるから!


「ならば当面の生活を補助するために使用人としてでも……」


熟練度特典の「他者があなたを守りたくなる」効果か?


オルフェ王も対抗して龍をもう2~3つけると言い始めてる。


なんじゃこりゃ!


一気に効果発揮しすぎだろに!


ふと困り果ててカレンを見たら頬を赤らめてこちらを見ていた。


『同性の場合あなたに強い友情を抱く、異性の場合あなたに強い愛情を抱く』って書いてたっけか……。


嘘だろおい!


どんだけだよ!


え、これどうにかできないの!?


慌ててズボンに挟んでいた生命の書(リブロ・ヴィーテ)をとり、好感の才能の説明を見る。


『あらゆる生命に対し、意志に反して好印象を与えることができる』


もっかいよく見る。


『意志に反して好印象を与えることができる』


さらに見る。


『意志に反して』


ジーザス!


これ俺の意志じゃどうにもできないじゃねぇか!


え!?ずっとこのままなのこれ!?


なんか効力切れる条件とかないの!!!?


「セージよ。護衛に龍を倍置いゆくぞ。今日はもう夜が来るでな。また明日改めて参るぞ。今日の食べ物は人の王が用意してくれるそうじゃから安心せい。それじゃあまた明日の」


オルフェ王はそう言ってほかの龍とともに山へ飛んでく。


「われらも一度自国に戻り準備をしてまた来る。それまでそなたらの使用人に我が側近を5人置いてゆく故許されよ。ではまた会おう」


マンス王はそう言って兵士たちとともに去っていく。


いや準備ってなんの?


「セージよ。食料は家に運んでおいた。わしも一度戻らねばならぬ故済まぬが使用人として儂の世話役をしている3人を置いてゆく。戻ってきた際に改めて新たな世話役を連れてこよう。しばし待っておれ」


マニャ王も兵士とともに去っていく。


後に残されたのは俺とカレンに龍族が4頭と魔族が5人、人族が3人。


無言で見つめあう。


「セージ様。何か御用はございませんか?」


世話役の一人が俺に期待のまなざしを向ける。


「とりあえず……自己紹介しましょうか……」


あっという間に去っていった王たちを恨めしく思いながら俺は自己紹介を始めた。

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