第4話 チートな才能が欲しかった
家の建築が進行する中、まだ挨拶をちゃんと済ませてなかったもう一人の召喚者に挨拶をする。
そう、便所飯の女性だ。
ショートボブの黒髪で綺麗というよりは可愛い系だろう。
胸は控えめなサイズのようだ。
どこ見てんだよって突っ込みは控えて欲しい。
俺と同様で眼鏡をかけている。
言ってなかったけど俺は幼少期から近眼だ。
一時期コンタクトレンズとか付けてたときもあったがアレルギー性結膜炎になって以来眼鏡にしている。
この世界で眼鏡壊れたら替えはあるのだろうか……。
ないかもしれないから大事にしよう。
ともかく、彼女の名前は可憐。
便所飯してた女性の名にしてはいい名前だ。
いや失礼。
便所飯は関係ないよね。
そんなカレンは俺より4つも年下で26歳。
大手ネットショップのお客さ様センター電話対応業務をしていたらしい。
便所飯してた理由は聞かなかった。
なんか触れちゃいけない気がして……。
簡単な挨拶を終えた俺とカレンはオルフェ王に生命の書について教わっていた。
「左手の小指を切りその血で右手に名前を書け。そうすれば生命の書が現れる」
小指切るとかハードル高いな。
痛いのは苦手なんだけど言われた通り小指をナイフで切る。
ナイフはマニャ王が貸してくれた。
破傷風とかなったりしないかちょっと怖いけど綺麗なナイフだし大丈夫だと信じよう。
「っ!」
痛い。
普通に痛いわ!
血が出て来たから名前を右手に書く。
利き手じゃないから書きづらい。
名前は自分の名前ならどんな文字でもいいらしく普通にカタカナで書いた。
すると血が右手にしみこんで消え、不思議なことに気づいたら本を持っていた。
少年漫画の単行本くらいのサイズ。
ほんと不思議。
「その本を読めるのは本人だけじゃ。ほかの者が見ても何が書いてるかは読めないようになっておる。決して書かれている内容をほかの者に教えるでないぞ。また本を読んだ瞬間から才能は有効になる。才能によっては危険なものもあるから詳細をしっかり読んで理解するんじゃぞ」
もちろん。
自分の能力を教えるとか異世界ものストーリーじゃご法度だからね。
元居た世界の知識なんかと比べ物にならないくらい機密情報だ。
早速本を開き内容を確かめる。
セ―ジの書
1ページ目ど真ん中に書かれてた。
俺の名前セイジなんだけど……。
ため息をつきながら次のページを開く。
才能目次
・好感の才能
・射撃の才能
・格闘の才能
・整備の才能
・構築の才能
レベルとかステータスはないのか。
アイテムボックスや鑑定みたいな定番のチートスキルもない。
そも才能が5つってのは多いのだろうか?
「カレンさん。いくつ才能ありました?」
隣で本を見ていたカレンにそっと聞いてみる。
「えっと、7つありました」
負けた。
いや、数じゃない。
質の問題だ!
きっとこの中にチートスキル的なのがあるに違いない。
でも見た感じ好感の才能以外は全部今までの仕事がらみの才能っぽいんだよなぁ。
とりあえず俺はそれぞれの才能のページを読んでいく。
■好感の才能【生誕才能】
熟練度:★★★★★
あらゆる生命に対し、意志に反して好印象を与えることができる
熟練度特典
★☆☆☆☆:嫌悪感を皆無にする
★★☆☆☆:他者を惹きつける
★★★☆☆:すべての言動が許される
★★★★☆:他者があなたを守りたくなる
★★★★★:同性の場合あなたに強い友情を抱く、異性の場合あなたに強い愛情を抱く
■射撃の才能【学習才能】
熟練度:★★☆☆☆
特化:【拳銃】【小銃】
あらゆる射撃能力が秀でる
■格闘の才能【学習才能】
熟練度:★★☆☆☆
特化:【徒手】【短刀】
あらゆる格闘能力が秀でる
■整備の才能【学習才能】
熟練度:★★★☆☆
特化:【車両】【銃器】【電子機器】
あらゆる整備能力が秀でる
■構築の才能【学習才能】
熟練度:★★☆☆☆
特化:【プログラム】
あらゆる構築能力が秀でる
あーうん。
好感の才能ってのがチート感あるかな?
でも何だろう。
ギャルゲーの主人公になる未来しか見えない。
これでファンタジー世界の魔王倒しに行けって言われても倒せないな。
仲良くなって終わるわ。
実に平和な才能だからいいか……。
して残りは好感の才能の【生誕才能】ってのとちがい全部【学習才能】ってやつだ。
つまり後から覚えた才能ということか。
案の定内容を見る感じ今までの仕事から学んだ感じだな。
射撃、格闘、整備は陸上自衛隊で働いてた時の仕事内容だ。
俺は武器科の車両整備手というのをやっていたからな。
んで構築の才能はこの世界に来るまでやってた仕事であるゲームプログラマーが要因だろう。
特化能力とかまんまだしな。
整備の才能の【電子機器】は自作でパソコン組んでたからかな?
なんにしても使える【学習才能】はぱっと見で格闘だけなんだが。
銃やら車やらこの世界なさそうだし、パソコンもないのにプログラム構築なんてできないだろう。
格闘以外は完全にハズレなのでは……。
【学習才能】に関しては熟練度特典ってのがないし「秀でる」としか書いてないからどう秀でるのか全く分からん。
「セージさんの才能はどうでした?」
カレンが自分の才能を読み終えたのか聞いてた。
「うん。5個だけ。うち3つはこっちの世界じゃ使えそうにない才能だった」
「そうですか。私もあまり役に立ちそうになくて……」
そう言ってカレンは自分の持ってる才能を教えてくれたので俺も教えた。
カレンの才能は言語の才能、調理の才能、擬態の才能、健康の才能、交渉の才能、裁縫の才能、治療の才能の7つ。
言語の才能が【生誕才能】で能力としてはあらゆる言葉を理解できるそうだがこの世界に来てからみんな同じ言葉だから効果がよくわからないと。
調理は料理が好きだからで、擬態は特化が【フェイスメイク】ということで化粧から得た才能。
健康は調理に合わせてカロリーや栄養バランスを勉強してたからみたいで、交渉はお客さ様センター電話対応業務から。
裁縫は趣味でコスプレ衣装を作ってたそうだ。
カレンのコスプレ姿……ちょっと見てみたい。
最後の治療は看護学校に行ってたそうだ。
なぜ看護師にならなかったのかは聞かないでおこう。
それぞれの【学習才能】の特化は次の通り。
・調理の才能【焼き物】【煮物】【揚げ物】
・擬態の才能【フェイスメイク】
・健康の才能【栄養】
・交渉の才能【対話】【文通】
・裁縫の才能【衣服】【小物】
・治療の才能【応急処置】
役立ちそうにないとは言いつつも調理、健康、裁縫は日常で役立ちそう。
擬態や治療は戦いでは何かと役立つかもしれない。
龍が守ってくれるから今は役立たないかもだが。
交渉も商売とかするなら有用だ。
俺なんかよりもよっぽど良いラインナップだと思うんだけどなぁ。
ともかくこれで俺とカレンは才能を得たわけだ。




