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第6話 切れた

「これはいったいどういうことだ」


カンライがあたりを見回して驚く。


そりゃそうだ。


ザドムの街は氷漬けになっている。


「早く溶かさなきゃ!」


「しかし街全体が凍っているぞ……どうやって」


「カレンさんの力を借りれませんかセージさん!」


「カレンなら確かに何とかできるかもしれない」


「じゃあ……」


「でも、まだ生きてる人がいるとは正直思えない」


すぐそばに転がる氷漬けの人間を見る。


どう見ても死んでるだろう。


仮に街を溶かしたとしても生きている人間はいないだろう。


全員を生き返らせることもできるが、前と違ってカレンの力に頼るはだめだ。


「それじゃあこの人たちを見殺しにするんですか!?」


「よせラン。もう死んでるんだ。死者をむやみに生き返らせるのは命への冒涜というものだ」


「でも……」


ランの気持ちはわかる。


俺も救えるなら救いたい。


救える術もある。


でもそれはカレンに無理をさせているかもしれない。


さらに菌領の菌の件もある。


なんでもかんでも神の言葉に頼ってはいけないと学んだ。


だからなるべく使わせたくない。


危険な力を持った召喚者と対峙でもしない限りは。


「溶かすのは俺がやってみるよ」


「セージがか?」


イメージする。


魔法の訓練は2週間ずっとしてきた。


できるはずだ。


日も落ち暗い夜の空に大きな炎が出現する。


大きく、さらに大きくなるよう魔素を周りからかき集める。


ここ最近の訓練で俺の魔法熟練度は★★★★まで上がった。


魔法が使える距離は10kmまで広がり、この街全体を覆うことができると思う。


炎を広げ、そのまま街全体を覆う。


熱い。


しかし街を一気に溶かすためだ。


我慢。


「ラン、俺らの周りの熱を遮るぞ!」


「わかった!」


二人のおかげで熱さが引いていく。


それに反して街の氷は次第に解けていく。


「いいぞ!あと少しだ!」


完全に解けきる前に、突如炎が消えた。


「なに!?どうしたセージ!?」


「……誰かが魔素の操作を妨害してる」


誰だ?


この街を凍らせたやつか?


どうする……もし向こうのほうが魔法の扱いにたけていたら。


いや、きっとそうだ。


この街を凍らせるほどなら相当の使い手だ。


まずい、向こうの姿は見えないが向こうはこちらが見えているかもしれない。


ランたちが周囲の魔素を操っていたからいいがもしそうでなかったら今頃まる焼けか、はたまた氷漬けになっていた。


「ラン!カンライ!周囲の魔素を操作し続けて!」


「え!?わ、わかったわ!」


どこだ、どこにいる?


魔素はイメージが大事だ。


こちらを狙うなら必ず見える位置にいるはず。


俺は周りを見わたしその姿を探る。


「いた……」


ここから見える中で一番高い建物の上に人影が見える。


その数4つ。


四人もいるのか?


人影が増える。


嘘だろ…。


「9人……」


3対9は分が悪すぎる。


一度逃げるべきだ。


だが街を見捨てるのか?


いや、もう誰も生きては……それでも……。


「くそ!」


イライラする!


どうすればいい!


9人の人影がこちらをあざ笑っているように思える。


「な、なんだ!?」


「誰かが攻撃してきてる!」


俺らの周りに炎や氷、雷が生まれては消え始める。


目的は?


なんでこんなことをしてくる?


何者だ?


わからないことだらけでイライラが増す。


落ち着いて考えろ。


「セージ!どうする!?」


「セージさん!?」


だめだ、逃げるにしても攻撃されてる状況じゃ時素の操作も止められているかもしれない。


一度どこかに隠れないと。


「二人とも、そこの建物に逃げ込む!」


目の前にある平屋の入り口を魔法で爆破する。


「行くぞ!」


周囲の魔素を操りつつ建物に駆け込む。


「っ!」


「きゃああ!」


中に入って俺たちが目にしたのは、日常生活を送っていた最中であろう家族の…氷漬け。


さっきまでのいら立ちが一転、胸が悲しみでいっぱいになる。


なんで……。


なんでこんなことができるんだ?


人か?魔族か?それとも他の種族?


どうして……。


「どうしてこんなことができるんだ……」


静かな、怒り。


苛立ちも悲しみも通り越した、圧倒的怒り。


産まれて初めてかもしれない。


これほどの殺意を覚えたのは。


「ゆるさない……あいつらを……絶対に!」


体中が熱い。


怒りが満ちる。


体中に力があふれてくる。


なんだ?


この感覚は…。


ふと、右手を見たらそこには真っ黒に染まり、長い爪の生えた悪魔のような手があった。


「ひ……セ、セージさん……」


「セージ、そ、その姿……」


どうでもいい。


今はもう、あの9人以外のことは考えたくない。


俺は怒りの感情に身を任せ叫んだ。


「ぶっころしてやるぅううううう!」


叫び声が空気を震わせる。


俺は入ったばかりの平屋を出る、と同時に体が炎に包まれた。


かと思えば今度は両足が地面から氷付き、頭上に雷が現れ全身を貫く。


普通なら死んでると思われる魔法攻撃でも全く痛みを感じない。


9人がいるほうを見る。


建物の上にいた影は明らかな動揺を見せている。


手を振り回しながらなにやら話し合っているようだ。


だが、関係ない。


俺はジャンプした。


届くと思ったからだ。


実際届いた。


建物まで数百メートルはあったはずだがひと飛びで距離をつめ、かつ建物の上にたどり着いた。


9人を少し飛び越しての着地。


立ち上がりざま振り返ろうとすると再び魔法攻撃の猛襲。


だが、全く何も感じない。


体にまとわりつく氷もまるでクッキーのように砕きながら振り返る。


「ひぃあああああ!」


「ば、化け物!」


「あ、あああ」


「お……終わりだ」


そこには全力でおびえる9人の人間の姿があった。

仕事が忙しく昨日の分の更新が遅れてしまいましたorz

とりあえず1話ですが夜にもう一話載せれたら載せます。


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