第4話 感情操作した
すさまじい光景だ。
ランたち3人の上空に雷が鳴り響いたかと思えば炎に代わり、今度はティテナ達の周りが一気に燃え上がる。
その炎は一瞬で氷に代わり、今度は氷ごと岩がランたちを襲う。
その岩とほぼ同時にゴードン、ハクサンがカンライに切りかかり、ティテナがランのほうに突っ込んでいく。
ティテナの両手両足は獣のように長い爪が生えていた。
才能の効果だろうか。
レベッカたちは魔法をかけあっているのだろう。
あいての女の子は抵抗しているのか苦しそうな表情を浮かべながら立ち尽くしている。
どうする?
状況はわからないがあの女の子が敵なのは確かそうだ。
しかし女の子だ。
いきなり攻撃するのもどうかと思う。
だとすればやはり話し合いたいが、あの状況で話を聞いてくれるだろうか?
いや、できるはずだ。
俺の才能なら相手の感情をしり、抑えることができる。
よし、まずはカンライたちの感情を見てみよう。
先にカンライから。
(殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺)
殺意しかないが……。
ラ、ランはどうかな?
(殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺)
だめだこりゃ。
操られてるのかな?
だとしたらあの女の子が?
(殺、殺、殺、殺、謎、恐、倒、私、私、私、私)
うーん!
こっちもだめだな!
とりあえず落ち着かせるべきだな。
よし、感情を操作して全員から殺意を奪う。
そして代わりの感情を与える。
この感情なら間違いなく全員の行動を止められる。
精神的にも肉体的にも。
「え、あ……」
「なん……なんで今」
「くっ……まじかよ」
便意。
全員の動きが急速に鈍くなる。
集中できないのか魔法も掻き消えた。
よし、成功だ。
みんなの前に歩み出る。
こういうときってかっこよく出れればいいんだけど。
みんなお腹を押さえて悶絶してる。
俺はともかくみんなは悲惨な状況だ。
「セ、セージ……お前……この」
「セージ……なんでここに……いますの……」
「セー……ジ……なにしたの……」
「あ、ごめん。戦いを止めるために全員の感情をちょっと操作した。その、便所行きたくなるように」
「っ!ふ、ふざけないで!何なのよあんたら!なんで邪魔するの!?」
「えーとごめん。カンライやランはともかく君はだれ?」
「クリスティーナっていう諸悪の根源……気を付けてセージ!召喚者みたいだから……あと、早くこれ何とかしてよ!」
「あ、ごめんティテナたち、今すぐ解くからとりあえず攻撃はなしね」
クリスティーナね。
召喚者か。
無領にはいなかったメンツだけど今日来たばかりとかか?
なんにしてもとりあえず君たちはもうちょと便意我慢しててね。
「ふぅ……いや、ほんとまじでいろいろやばかった」
「レディとしての尊厳を失うかと思いましたわ。いえ、それ以前に人として生きていけなくなるかと」
「セージ……あれはない」
「いや、本当にごめん」
「それともセージさんはそういう趣味がおありで?」
「まじかよ、俺らのそういうの見たかったのか?」
「だから本当にごめんって。それからそんな趣味はないから。それより、このクリスティーナって子はなんでこんなことを?」
危機を脱した顔をするティテナ達から事情を聴く。
「うん。一番になりたかったと。なんで一番になりたいの?」
「っうぅ。なんでって、私が一番になりたいからよ!」
「一番になってどうするの?」
「どうもしないわよ!私が一番ならそれでいいのよ!」
「うん、で?それになんの意味があるの?」
「い、意味なんてないわよ!うぅ!」
「意味もないのに一番になりたいの?なんで?」
「うっうるさいわね!早くこのおなかの痛みを解除しなさいよ!」
「そうだね、質問にちゃんと答えたらいいよ」
話をちゃんと聞かない子は嫌いなんだ。
便意二倍行っとくか。
「はうぅう!もう……もう……だ……」
あ……やりすぎたか。
まあ俺も人領と魔領の軍隊に見守られながら用を足したからそれに比べれば全然だよ。
ははっ!
「えぐい……セージ。怖い」
「容赦ないな……」
「女の子になんてことをするんですの?」
「やっぱりそういう趣味が……」
いや、ユウジの○○に熱した棒あてて拷問してたほうがひどくね?
号泣してるクリスティーナ。
ランとカンライが正気を取り戻したのか急に悲鳴を上げだした。
もちろん便意で。
「ぐぉおおおお!な、なんだこれは!」
「え、な……なに!?これ……」
「ランちゃん!」
ティテナがランに飛びつく。
「ふぇぇええ!だ、だめ!」
あ……。
便意止める間もなく散った。
カンライは……あ、そっちも限界だったか。
すまん。
とりあえず漏らした3人からどういう事情か聞かないといけないけど、先にやるべきこともある。
「ゴードン、ハクサン。街で兵とかに襲われてる人たちがいるんだ。助けに行ってくれ。クスリ、レベッカ、リュシカはけが人の治療を。ティテナ……はランを、マリアベルはそっちの女の子をお願い。俺はカンライの対処する」
「突然やってきて……いえ、いいですわ。皆さん指示に従いましょう」
「セージ、そいつらを任せたぜ。そいじゃ行ってくる」
「カンライの拷問をするなら俺に任せてくれ」
いや、任せねぇよ!
絶対にだ!
とりあえず街の救援はこれでよし、あとはこの子だが、どうしたものかな。
「セージ。ランちゃんは大丈夫みたい」
「カンライは?正気か」
「あぁ……なんで……こんな」
すまんな。
だから泣くな。
「とりあえずこの場を移動しようか」
「でも、どこにいきますの?」
「とりあえず自宅に行く。才能の内容は知らないけど封じるためにもカレンに頼むしかないでしょ」
「でも、カレンちゃんにそんなことさせないようにしてきたんじゃないの?」
「ああ、でも仕方ない。これ以上被害出たり話ややこしくなるのも嫌だしね。カレンには俺が謝るよ」
そう言って時空魔法を使う。
景色が一瞬で変わり俺、ティテナ、マリアベル、ラン、カンライそしてクリスティーナが自宅の前に移動する。
「おかえ……だれ、その子」
あーカレン。
顔が怖い。
「召喚者らしいんだけど、なんか世界征服しようとしてたみたいで。悪いんだけどカレン。この子の才能を使えないようにしてくれないか?」
「いいですけど、なんでその子漏らしてるんですか?」
「あー。それはあとでちゃんと説明する」
敬語が怖いな。
ちゃんと説明しないと異世界飛ばされちゃうかも……。
「……わかった」
神の言語を発するカレン。
「ありがとう。それじゃとりあえず着替えさせたほうがよさそうだな。ティテナとマリアベルは二人をよろしく。俺はカンライを着替えさせてくる」
「わかった」
カンライを家に連れていき俺の服を渡す。
汚れた服は袋に入れて密封。
あとで燃やそう。
「服のサイズ大丈夫?」
「ああ、すまん。こんな醜態をさらすなんて」
「いや……うん。気にしないほうがいいよ」
俺のせいだから。
むしろごめん。
着替えを終えた俺とカンライが家を出るとカレンが笑顔で待ってた。
うん、説明ですね。
カレンに必死に説明した。




