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第2話 襲撃

ランちゃん、今どこにいるの?


スカルファスの話を聞いて私は正直やっぱりなと思った。


カンライ。


最初から世界を統一するとか言いながら侵略を考えていたようなやつだ。


ランちゃんとは同じ故郷らしいけど、それ以外であいつのことを好きになる理由が私にはわかんない。


でもランちゃんが幸せになるならと二人を送り出したけど、やっぱり間違いだった。


止めるべきだったんだ。


もし、ランちゃんの身に何かあったら……あいつを絶対に許さない。


そもそも男なんて信用ならない。


私の生まれた場所でも男は狩り以外では一切役に立たない。


料理や子供の世話など狩り以外のほぼすべてが私たち女の仕事だ。


なのにいつも偉そうにしている。


だから私は男が嫌いだ。


でもセージは嫌いじゃない。


優しいし偉そうになんてしない。


ゴードンやハクサンもそうだけど、あの二人は馬鹿だと思ってる。


「情報を聞いてきたぞ」


ゴードンが帰ってきた。


頭をすっぽりと覆うフード付きのローブを身にまとっている。


私やマリアベルたちも同じ格好。


肌の色や髪色が人領では目立つから。


見た目だけで異世界人だとばれてしまう。


それにカンライに見つからないようにしないといけない。


今、私たちはガドランの街にある宿の一室にいる。


なるべく人目につかないよう、交代で一人ずつ外に出て情報を収集している。


「ルノーレス商会というところに最近怪しい動きがあるらしい。商会倉庫の一つを貸し出ししていてそこに毎夜人が集まってるとか」


「乗り込んでみるか?俺らの才能をうまく連携させれば容易だろう」


「確かにそうかもしれませんわ。でも危険はなるべく少なくすべきですわ」


「ランがいれば計略の才能でいい作戦がつくれるんですがね」


みんなが黙る。


ランの才能、『計略の才能』は瞬時に状況を把握して適切な作戦をたてることのできる才能だ。


たとえ1対1万でもその才能があれば勝利する作戦を作れる。


「ランちゃんは今いない。私たちでできることを考えなきゃ」


「そうだな。クスリの才能で全員眠らせるのは?」


「私の才能ならできる。けど材料がない。相手の数もわからない。眠らせる薬をばらまいても防ぐ術がないと私たちも寝るかもしれない」


クスリちゃんの才能は『薬物の才能』。


あらゆる物質の成分を理解しどんな薬でも作ることができる。


「俺の才能は相手を見てないと意味がないし、ハクサンの才能は戦闘向きで今回みたいなこっそりやるのには向かないな」


ゴードンの才能は『先見の才能』対象を見ることで1時間先程度まで未来の行動を見ることができる。


ハクサンの才能は『弱点の才能』肉体的、精神的な弱点を見抜く力があり弱点であれば相手の記憶すら知ることができる。


「レベッカさんの才能でその場にいる全員を誘導することは?」


「私の才能は集団には有効ですが個々には意味を成しません。もし集まってるのが烏合の衆なら効果は薄いです」


レベッカの才能は『組織の才能』集団に指示を出して誘導することができる。


兵隊なんかにはとても有効だけど、今回の相手に効くはわからない。


「マリアベルやリュシカさんの才能も隠密向きではないですね」


マリアベルの才能は『気品の才能』でその気品で相手は気圧され接触をすることができなくなる。


絶対服従とまではいかないけどある程度の位が低い相手には命令することもできる。


リュシカの才能は『変温の才能』で自身の体温を自在に変化でき、熱さや冷たさは意味ない。


「じゃあ私がやる」


「確かにティテナの才能なら潜入は容易でしょうけど、バレた時が危険ですわ」


「そうだぜ、見た目は変わっても中身は変わらないんだろ?なり替わったやつしか知らないことを聞かれたら終わりだぜ」


「大丈夫。うまくやるから」


私の才能なら入り込むのはすぐ。


『野生の才能』。


それが私の才能だ。


動物と意思疎通ができたりその力を発揮したり。


何よりその動物の見た目に変化することができる。


そう。


人間でもなることができる。


私の才能なら商会倉庫に集まる人間に成りすまして入ることができる。


夜になって宿屋を出た私たちはルノーレス商会が管理する倉庫そばに到着した。


「いいか。何かあったら叫べ。俺たちがすぐ助けに行く」


「わかってるって」


「気を付けてくださいまし」


「うん、行ってきます」


あらかじめ倉庫に向かおうとしていた男を捕まえ、クスリが作った眠り薬で眠らせておいた。


その男に変化する。


正直男に変化すのは嫌だけど仕方ない。


これもランちゃんのため。


私は倉庫へ向かった。




「あなた、どうしたの?」


「ああ、ティテナ達がどうなったか気になってね」


正直不安しかない。


召喚者組の問題だと言われはしたものの、みんなとは一緒に生活する仲だし心配だってする。


「やっぱり行くべきかな」


「でも、ティテナさんたちは任せろって」


「そうなんだけど」


焚火の周りをうろうろする。


うん!


決めた!


やっぱり気になるし行く!


文句言われたら謝ればいい。


なんもしないで不安になるより、行って安心したほうが俺の精神に良い。


「よし、人領に行ってくる」


「私も」


「いや、カレンは待ってて。ここのみんなに何かあったら困るし、万が一、ランさんが戻ってきたらその時伝えに来て」


「……わかった。気を付けてね」


「ああ」


時空魔法でガドランの街へ移動する。


マニャと会った広場に到着。


さて、ティテナ達はどこにいるだろう。


すでに夜だから周りは暗く、ところどころたいまつの灯りがついているだけ。


人の姿もほとんどない。


感情の才能があるから悪意を持たれることはないだろうけど、一応強盗とかには注意しよう。


「この時間なら宿屋とかかな。でもどこの宿屋だ?なんも考えずに来ちまったな」


参った。


一回戻ったほうがいいかな。


いや、逆に夜のうちにみんなをこっそり見つけて安心して帰ったほうがいいか。


こうなれば一軒一軒宿屋を見ていくか。


そんなわけで探した。


探しまくって8件目。


それらしい宿泊者が泊っている宿を発見した。


しかし部屋はもぬけの空だった。


どうやらどこかへ行っているようだな。


どこだろう……。


宿を出ると外が騒がしくなっていた。


「反乱だぁあああ!」


誰かが叫んだ。


反乱?


なんだ反乱って。


「どうしたんですか?」


走ってる人を呼び止め聞く。


「え、あ、ルノーレス商会が反乱を起こしたんです!町の南のほうで戦いが起きてて……あなたも早く逃げたほうがいいですよ!」


そう言って再びどこかへ走り出す。


街の南か。


よし、行くか。


街の南へ俺も走りだす。


南に向かえば向かうほど悲鳴やら逃げ惑う人々が増えていく。


「何が起きてるんだ?」


そして俺の目の前で一つの家族が襲われようとしているのを見つけた。


「家族には手を出させんぞ!」


「死ねぇ!」


妻と娘だろうか。


それを背にして剣を構える男性の前には3人のいかつい男。


助ける!


俺は瞬時に炎魔法をイメージし3いかつい男たちを燃やす。


数秒で水魔法を出して消火。


殺しはしない。


「大丈夫ですか!?」


「あ、あんたがやったのか?助かった!」


「何が起きてるかわかりますか?」


「わからん!急に襲ってきたんだ!」


ふむ、襲ってきた目的はなんだ?


街を攻め落とすことに意味はあるんだろうか?


俺はさらに南に向かいつつ道中襲われている人を助け、明らかに悪人らしい人物たちも半焼けにしていった。


「火事だぁあああ!」


うん、またどっかで聞いた展開だな。


騒ぎを起こしてるやつらが火を放ったのか?


叫び声が聞こえたほうに向かう。


大きな倉庫らしきものが燃えていた。


そのそばに数名の人影が見える。


あれは……ティテナ達か?


7つの人影に相対するように3つの人影。


7つのほうは近づいたらティテナ達だと分かった。


そして相対する3つの影。


あれは、カンライにラン?


あと……誰だあれ。


そこには知らない女の子が一人立っていた。

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