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第18話 霊領が攻めてきた

なんということでしょう。


カレン、ユウジと共にマニャ王の前に移動した俺が見たのは燃える街だった。


この世界火事多すぎじゃない?


「セージ!?なぜここに!いや、そんなことはどうでもいい!今すぐ逃げよ」


「な、なにがどうなって?」


「霊領が攻めてきたのじゃ!」


「は!?」


よく見ると燃える建物の上などに見たことある生き物がいる。


精霊馬だっけ?


ん?上に何か乗ってる。


耳が長くとがってる。


エルフ?


「きけ!人間ども!貴様らが盗んだ!もしくは殺したのは女王様が大切にしていた精霊馬だ!言い訳は聞かぬ!おとなしく滅びよ!」


盗んだ?殺した?


どういうことだ?


え、まさかと思うけどオルフェが持ってきた精霊馬のことじゃないよね……。


「マニャ、精霊馬をって言ってるけど……」


「知るわけなかろう!霊領への無断立ち入りは禁じておる。それに精霊馬は高位魔法を使う、並大抵のものは捕まえるのはおろか逆に殺されるじゃろう」


あ、オルフェが持ってきたので確定っぽそうだ。


「ごめんマニャ。多分龍王だ。俺のご飯だって言って持ってきた」


「な……?」


「カレン。火を消せる?」


俺の質問にカレンは神の言葉で答える。


火が突然消えて霊領の面々が困惑してる。


「霊領の方たち!私の名前はセージです!少し話を聞いてもらえますかぁ!」


俺の大声に気づき集まり始める。


その眼には殺意が……込められてないな。


感情の才能ありがとう。


とりあえず集まった連中全員に冷静になってもらいたい。


感情操作で落ち着いてもらおう。


「セージとやら、話とはなんだ」


ひと際大きな精霊馬にのった鎧騎士の女性が言う。


エルフなのに鎧着るんだ。


というかこういうのって普通女性じゃなくて男性じゃないのか?


他の面々も女性のようだけど……。


それにエルフは騎士というより魔法使いのイメージなんだが。


エルフ騎士なんて同人誌でオークに……おっと話をしないとな。


「あなたたちの精霊馬をですが原因は人領のものではありません。ですから攻撃するのをやめてもらえますか」


「では誰がやった」


「ええっと。非常に申し上げにくいのですが、龍王です」


ざわついてるな。


そりゃそうだ。


「嘘を申すな!生きたいがための言い訳にすぎぬだろう!」


「いや、嘘じゃないです。少しだけ待ってもらえますか?今連れてきますので」


「へ?」


カレンに頼んでもいいが、この場から俺とカレンの二人が同時に離れるのはまずいな。


なにかあったときに止められない。


ユウジもいるけど今はただの人間だし。


「カレン、ちょっと行ってくるからここで見張ってて」


「え、あなた。わたしも行く」


「いや、何かあったら止められるのはカレンだけだから頼む」


「……はい」


「ユウジもすまないけどちょっと待ってて」


「わかった」


俺はイメージをふくらまし、リョウトの家の前へ時空魔法で移動する。


「ふふ。あなた。そんなに見つめられると我は恥ずかしい」


「もう長い間寂しい思いをさせたからね。今度はずっと君を見続けてあげるから」


「あなた…」


やめて恥ずかしい!


俺が来たことに早く気づいて!


咳払いすべきか?


いや、邪魔するのも悪いか?


いやいや、そんな場合じゃないんだった。


「げふんげふん。お取込み中のところごめん。急用なんだけど」


「ふぁ!?」


「セ、セージ?」


ほんとごめんな。


とりあえずオルフェに人領で起きてる事を説明する。


「うぬぅ……」


「ダメじゃないか、オルフェ。これはちゃんと謝らないとだね」


「すまぬセージ。我が直接出向いて謝罪しよう」


「頼む。じゃあ移動するよ」


「ん?セージは時空魔法できたの?」


「ああ、ユウジに教わった」


「はぁ!?ユ、ユウジってあの?どういうことだい?」


「まあその辺含めてあとで説明するからとりあえず人領に行こう」


時空魔法を使いオルフェ、リョウトと共にマニャたちが待つ人領へ移動。


突如現れたオルフェに霊領の面々だけでなく街の住人もパニックになった。


「静まれ!我は龍領を束ねる龍王オルフェ!人領のものよ!そなたたちに危害は加えぬ!おとなしくせよ!」


相変わらずの強引っぷりだけど静かにはなった。


「霊領のものよ、話はセージに聞いた。うぬらの女王の精霊馬を殺したのは確かにわしじゃ。直接謝罪をするため来た。女王はどちらにいる」


「わ……私です」


見れば小ぶりの精霊馬に乗った幼女がそこにいた。


え?


女王ってこんな小さな子供だったの?


いや、エルフっぽいし何年も生きてて年上とか?


「すまなかった」


オルフェがおずおずと頭を下げる。


その様を見て女王は……泣き出した。


「ごわいぃよぉおお!ダラナぁあぁあ!だづげでぇええ!」


うん、中身も子供だわ。


オルフェが号泣する王女みてたじろいでるな。


「も、申し訳ございません龍王さま!女王陛下!泣き止んでください」


「びゃああああああん」


話が進まないな。


感情操作で恐怖心を取り除き落ち着かせる。


「……えぐ……っうぅ」


急におとなしくなった女王にダラナと呼ばれた例の鎧騎士が驚いてる。


「すみません。感情を操作して落ち着かせました」


「か、感情の操作?」


「ええ。ひとまず話を進めましょうか。死なせてしまった精霊馬ですが今すぐお返しいたします。カレン」


カレンが頷いて神の言葉を発すると目の前に精霊馬が1頭現れた。


現れた精霊馬は状況に戸惑っているが女王を目にするとすぐに駆け寄っていった。


「ヤサン?……ヤサン!ダラナ!ヤサンが生きてた!」


喜んでる。


よかったよかった。


しばらくそのままでいてもらおう。


「ええっとダラナさん……でよろしいですか?」


呆けてるダラナに声をかける。


びくってなったからよっぽど衝撃的だったんだな。


いや、まあそうだろう。


今殺したって言ってたのが目の前に現れればよくわからんわな。


「あらためて人領へ危害を加えるのをすぐやめてください。ここは最北西の街であなたたちは東から来たんですよね?道中の街にも攻撃をしたんですか?」


「い、いや。道中の街には攻撃していない。人領の王が魔領と戦争をすると聞いたので直接王へ報復するためここへ来た。ほかの街は抵抗しないなら傘下に加えるつもりだった」


「そうですか。ならよかった。マニャ、街の被害を確認して教えて。けが人や死者がいるなら連れてきて。オルフェは連れてきておいて悪いんだけど、霊領の女王が怖がるから少しそっちで待ってて。リョウトはオルフェ慰めてやって。カレンとユウジはけが人たちの手当てをお願い。ダナンさんについてはこの後どうするか話しましょう」


「な、なんなんだお前は一体」


「ただの人間です」


まあ龍王に魔王に人の王のお友達ですけど。


「ではダラナさん。この後ですがどうするおつもりですか?まさか龍領に攻め込むなんてことはないですよね?」


「まさか!誰がそんな自殺行為をするか。誤解も解けた。我々は霊領に戻る。人領へはむやみな攻撃をしてすまなかったと思う。後日改めて謝罪とお詫びの品を送らせてもらいたい。


「そうですか。それならよかった。くれぐれもまた攻め込むようなことはしないでください」


「も、もちろんだ。すぐに領へ帰還する」


ダナンは慌てて撤退を指示し、王女を連れて帰っていった。


よし、これで霊領のほうはいいな。


カレンたちは指示通りけが人の手当てをしてる。


マニャは兵士たちに指示を出して街の情報やけが人を集めてるな。


「オルフェ、リョウト急に呼び出して迷惑かけたね。もう平気だよ」


「いや、わしがそもそもの原因じゃからな。すまなかったセージよ」


「俺のためにしてくれたことなんだから何も悪くないよ。リョウトと一緒にもう龍領に帰って休むといいよ」


「うぬ、しかし良いのか?霊領の者たちが何か言ってこぬか?」


「大丈夫。ちゃんと話はつけた。龍領にも攻め込むつもりはないし人領にも謝罪するって。だから安心して」


「わかった。本当にすまなかったなセージ」


「ありがとうセージ。今度はゆっくり遊びに来てくれ。ただ突然家の前にくるのだけは避けてくれるとありがたいかな」


「はは、ごめんごめん。じゃあまたね」


オルフェの時空魔法で二人は帰っていった。


よし、俺もけが人の手当てを手伝おう。

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