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第17話 ユウジの救済

テントに入った俺はまず悲惨なものをみる。


全裸にされ、両手両足を縛られ、口もふさがれたユウジだった。


「え、なんで全裸……ていうかハクサン何もってるの」


「ん?何ってみての通り熱した鉄の棒だぞ。安心しろ、焼いてもすぐ治してやってるから」


いや、何も安心できないんですけど。


というか、え?


思った以上にがちな拷問なんですけど。


ハクサンは南北戦争中にこっちに来たんだっけ?


拷問部隊かなにかだったんですか……。


「とりあえずパンツくらい履かせてあげてもいいんじゃ……」


「何言ってんだよ。こいつが今までしてきたこと考えるとこれぐらいじゃ済まんぞ。それにパンツ履かせたら一番いい場所にこれを当てられだろう」


そういってハクサンが軽い感じで鉄棒をユウジの性別を象徴する部分へ押し当てた。


「ふんんんんんんんん!んんんんんんん!」


あああああああ!


痛い!熱い!痛い!


見てるだけで痛々しいし、匂いもやばい!


「ちょ、やめてやめて!」


ハクサンの鉄の棒を奪い、カレンに神の言葉で傷を治すよう頼む。


さらにユウジの口をふさいでる布をはずす。


「大丈夫か」


「う……うう……殺してやる……絶対お前ら殺してやるからな!」


「なんだとこら、今すぐこっちがお前を殺すぞ」


「ちょ、ちょっとやめて!おちついて!」


ティテナたち女性陣もそんな冷たい目でユウジを見るのはやめてあげて!


なに?長年生きてるとこんな冷徹なことできるようになるの!?


「ひとまず、これ着て」


俺はユウジの縄を解いて着ていた上着をユウジに渡す。


「セージ。優しくしなくてもよろしいのですよ。ユウジはいまだ何もしゃべらないですし、このまま拷問を続けるのが一番ですわ」


「いや、しゃべりたくないならもう無理に聞くのはやめなよ。みんながそんなことするの俺が嫌なんだけど」


「セージ、時には厳しくする事も必要だぞ」


「そうだよ。こんなやつ本当ならさっさと異世界に飛ばしてやりたいくらいなんだから」


「そういうけど、そんなことしたらみんなもユウジ達とやってること一緒だからね」


俺の言葉で気づいたのかみんなが黙った。


「セイジ……礼なんて言わないぞ……俺はお前を絶対に許さねぇからな」


「いいよ別に。許してほしいとかそういうのでやってるわけじゃないから」


「……」


真顔でユウジを見る。


あれ?全然ゆるさぇぞって顔じゃないんだけど。


俺の才能の効果で悪意のある感情を持てないからか?


ユウジの今の感情を見てみる。


(謝、謝、謝、謝、謝、救、救、救、怖、怖、怖)


あ、めっちゃ感謝してるわ。


あとよっぽど助けてほしかったんだな。


それにまあ怖かったろうなあんなことされ続けてれば。


長生きしてると言ったてもう不死身じゃないし、異世界に飛ばされて苦労もしてたみたいだしな。


憐れむつもりはないんだけど可哀そうだ。


「とりあえず拷問はもうなしで頼む。あと悪いけどユウジと少し二人で話をさせてもらっていいか?」


「セージさん。それはだめだと思いますよ」


「そうです。まだ何も聞けてません。拷問を続けるべきです」


「あなた、二人っきりってまさか……」


レベッカとクスリの言いたいことはわかる。


しかしカレン、お前は何を言っている。


「みんなの怒りもわかるけど今は頼む。カレンも変な誤解してなくていいから一緒にお願いしてくれないか?」


「あなたが言うなら……みなさんもいいですよね?」


カレンが言うとさすがに誰も逆らえないよな。


逆らえば神の言葉で何されるかわからないし。


「あなた、私も一緒じゃだめ?」


「少しだけ二人にしてくれ。ちゃんと話をしたいんだ」


「……わかった」


カレンがテントの外に出るとほかのみんなもぞろぞろとテントをあとにした。


「どういうつもりだ?」


「どうもこうもないよ。ユウジにはまず一言謝りたかっただけだ」


「謝る?」


「ああ、俺が直接ではないにしても100年以上異世界を放浪したのは俺にも原因がある。だからごめん。許してくれとは言わない」


「……いや、許すよ」


「え?」


「異世界に送られたのは俺がお前を異世界に送ろうとしたのも悪いからな。それに、拷問をやめさせてくれた。もう不死の才能がないから痛くて……辛くて……この先ずっと続くのかと思うと……うぅ……」


泣き出した。


そりゃ永遠に拷問続くと思えば相当つらいな。


死んだほうがましだと思うかもしれない。


「うっ……うう……すまなかった……」


「謝らなくていいよ。別に俺は異世界に飛ばされてないし、ユウジに直接何かされたわけじゃないんだ」


「本当に……すまなかった」


ユウジが泣き止むのを少し待つ。


泣き止んでから改めて話を始める。


「ユウジ、言いたくないならいいんだけど教えてほしいことがある」


「……なんだ」


「これを人領から持ってきたんだけど、これが何かわかるか?」


「これは……菌領の菌じゃないか。なんで人領に」


「2年前から続いてる飢饉はこれが原因だ。ユウジを覆っていたのと同じだと思って持ってきたんだ。心当たり……その様子だとなさそうだね」


「いや……ある」


「あるのか?」


ユウジが頷く。


「俺が菌領でセイジたちに菌を送り込もうとしただろ。結局誰かに邪魔されたが、その時集めていた菌は相当な量だった。なのに俺の体を覆う程度しかその場に残っていなかったんだろう?」


「リョウトたちの聞いてる限りではユウジの周りには菌がなかったと言ってたな……。確かに残りの菌はどこへ行ったんだろう」


「俺が使おうとしていたのは時空魔法だ。それがなぜか失敗した。おそらくだが時空魔法が半端に影響して菌が過去の人領に飛び火したんじゃないか?」


「なるほど……。その可能性はありそうだな」


それなら今まで長い間飢饉がなかった人領と魔領に突如飢饉が発生したのもうなずける。


「セイジ」


「ん?なんだ?」


「おまえ、時空魔法は使えるのか?」


「いや、使えないけど」


「教えてやる。俺は才能を奪われて何度イメージしても魔法が使えない。だからあの時なぜ失敗したか確かめに行けない」


「え、いいのか?」


「ああ。あの時何があったか確かめてくれ。ただ、一つ注意を言っておく」


「注意?」


「時間を移動してもそれはあらかじめ組み込まれた流れだ。お前が過去にいっても過去は変えられない。俺を止めようとしても無駄だぞ。止めれるならお前が止めたという過去があらかじめあるからな」


「言ってることが難しいな」


「つまりだ。俺が例えば現在ここで水を飲むとする。未来のお前がそれを阻止しに過去に来ても阻止はできない。もし阻止できているなら現在の俺が水を飲もうとするときに突如現れた未来のお前に阻止され水が飲めないからだ。それがないということは未来のお前が過去に来ても水を飲むことを阻止できなかった理由があるということが」


ごめん、頭がこんがらがってきた。


「はぁ……。要するに過去に戻って何をしてもそれが織り込まれ済みなのが今、現在だ。俺が時空魔法を失敗するのは必ず起こるし飢饉も起こる。これは防げない」


「なんとなくわかった」


「よし、じゃあ時空魔法について教える。時素はわかるか?」


「ああ」


「じゃあ話は早い。時素を集めると一部の時間が早く進むだろう?逆に時素がなくなれば時間は止まる。そしてもう一つ、時素はすべてつながっている。そうだな……セイジのいた時代で言うとデータの共有といったところだ」


「共有?」


「そうだ。時素同士は情報をやり取りできる。例えばそこに落ちてる紐に触れている時素の情報を別のところへ移るのをイメージしてみろ」


言われた通りにイメージする。


すると紐が瞬時にイメージ通りの場所に瞬間移動した。


「できたな。それが時空魔法だ。一度見た場所ならイメージができるからいつでも情報の移動ができる。気を付けないといけないのはそこにすでに別の情報があった場合、入れ替わりで元の場所にいくから注意だ」


移す先に何かあればそれが交換で入れ替わるということか。


たしかに、人のいる場所とか指定したら危険だな。


気を付けよう。


「次に時間を行き来する方法だが、時素には今言った空間の情報以外に時間の情報がある。イメージする先の時間情報を明確に意識すればその時間の空間と情報のやり取りができるんだ。だが問題がある。情報交換のさい時間に誤差があるとその分だけ移動した時間が進む。つまり5年分未来や過去に行けば移動した物体も5年分時間が経過するということだ。だから普通は時間移動をしない。するだけでどんどん年齢が進んで寿命が縮むからな」


命魔法と同様デメリットがでかいな。


タイムスリップしたら移動時間の幅の分だけ年を取るのか。


時間移動をデメリットなしにしたいなら不死の才能でもないと無理だろう。


「理解したよ。じゃあ早速行って確かめてみたいところだけど、菌領に行ったことがないから行けないな」


「……そういえばそうだな」


「あ、でもカレンに頼めばいいな。というか時空魔法なくてもカレンに頼めば行けるな」


「……」


ま、まあ時空魔法覚えれたし、いいか。


「えっと、それじゃあユウジはこの後どうしたい?才能もなくなってカレンとかもいるし敵対することはないと思うけど、かといってゴードンたちと一緒に生活するのもあれだろう?」


「そうだな。一緒はさすがに無理だ。向こうだって嫌だろう。敵対するつもりももうないからできるなら人領で生活したい」


「わかった。じゃあマニャに頼んでみるよ」


「助かる」


俺はユウジと一緒にテントを出た。


ゴードンやティテナたちがユウジに冷たい目線を送る。


「話は済んだか?じゃあ拷問の続きだ」


「ちょっと待ってハクサン。それはダメだ。ユウジはもう敵対するつもりもないし色々教えてくれた。もう拷問はなしの方向で頼む」


「すまなかった」


ユウジが土下座した。


その光景をみてハクサンが目を見開く。


他も面食らっていた。


「ほかの大地を隠していたのはアレクと話して相談したんだ。中央の大陸らと違い北地と南地の大陸は危険が多い。何より一か所だけ俺やアレクでも行けなかった場所がある。みんなを危険にさらさないために秘密にしていた。」


行けなかった場所ってのはおそらく本当の神領のことだろう。


ユウジはまだそのことを知らないんだったな。


「信じられませんわ。危険にさらさせないといいつつまだ何か隠しているんじゃなくて?」


その言葉を聞いてカレンが神の言葉を発した。


「嘘じゃない。本当だ。アレクが内心どうだったか知らないが俺は少なくても今言ったとおりだ」


「……いま本当のことを言うように言いましたから真実です」


カレンが言うということは事実に間違いはない。


まだ納得したという表情ではないがマリアベルたちは黙り込んだ。


「なんにしてもユウジはもうただの人間だ。才能だってないんだし、これ以上ひどい目に合わせる必要もないだろ」


「わかりましたわ。では、このあとユウジをどうするつもりですの?」


「人領で生活したいらしいから連れて行くよ。異論があるならどうぞ」


誰も何も言わない。


「それじゃあカレン、帰ってきてすぐで悪いんだけどまたマニャのところまで送ってくれ」


「はい。あなた」


俺とカレン、ユウジはすぐさま人領へ移動した。

昨日も投稿できなかったので今日急いで2話分書きました。

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