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第16話 絡まれた

カレンたちと人領の街を歩き始めて5分ほど。


人の街だし、急に召喚されたり、龍王が保護しにきたり、自称神が現れたりなんて急な問題は起きないだろう。


そう思っていた。


でも人通りが少なめの路地裏に入ったら早速問題が発生した。


「おいてめぇ。魔領のやつだろ?なんでこんなところに居やがるんだあぁ?」


いかつい3人組に絡まれた。


戦争は終戦したとは言えまだ情報がいきわたってない人もいるのだろう。


ここは穏便に済ませたい。


「だまれ下種が。私は魔王五指が一人、知魔族が長スカルファスですよ」


「あぁ!?知るかぼけがぁ!」


穏便なんてなかった。


3人組は容赦なく殴り掛かってくる。


殴りかかってきた一人目のこぶしを華麗に躱したスカルファスがわき腹に素早く一撃を決める。


続けて二人目に素早く接近。


今度はみぞおちにって、えぐ!


動揺してる三人目がこぶしを構えようとした時にはすでに遅く、スカルファスが接近からの足払いをし相手は転倒。


そこに続けて踵落としを顔面に……痛い!見てて痛い!


1分ほどで絡んできた相手は全員地面で呻いていた。


これはさっさとこの場を離れ……られない。


指を鳴らしながらどこからやってきたのかさらに7人ほどが俺らを囲む。


「えっと、ちょっとま……」


「やっちまえー!」


一気に襲い掛かってきた7人もスカルファスの返り討ちにあう。


俺とカレンは見てるだけ。


「くそっ!なんてやろうだ」


「応援を呼べ!」


3人をたたくと7人に増えた、も一度たたくと30人に増えたってビスケットよりひどいよ!


気づいたら退路は完全に断たれ、今度は武器も持った連中まで来た。


「貴様ら、武器をもつということは覚悟はできてるんでしょうね」


「やれ!!」


いや、やっちゃダメ。


ああ……なんという。


目の前にいる数名が燃えた。


悲鳴を上げながらもだえ苦しんでる。


さらにあとを追うように数名が燃え、相手はさらに激昂。


修羅場と化した。


俺は慌てて水魔法で燃えた人たちの消化をするが、次から次へと連中は燃えていった。


全員が一通り焼け倒れたのちスカルファスが一言。


「ご無事ですかセージ様?」


いや、ご無事じゃないのは向こうだ。


「やりすぎ!」


いそいで生きてるか確認する。


うん、生きてはいるようだ。


「何事だ!」


兵士がたくさん来てまた囲まれた。


事情を説明しなければ。


「あの!話を……」


「捕らえろ!」


「セージ様に危害は加えさせん!」


兵士も燃えた。


事態が終息したのはやってきた兵士30名ほどをブルー程度に焼いた後だった。


兵士と一緒にやってきたマニャが俺たちをみて兵士を一喝。


俺が事情を説明し、スカルファスに謝罪させた。


絡んできた連中は知らなかったとはいえ王の客人に手を出したとのことで捕まった。


なるべく罪は軽くするようにマニャにお願いする。


「兵たちはみな治療を済ませたのち謹慎させよ。それから今回あっさりと負けたものの訓練は倍にしろ」


すまない兵士さんたち。


でも次からは話を聞いてから捕えようとしてね。


まああれだけ焼けた人が倒れてれば、とりあえず捕らえろってなるかもだけどさ。


「セージよ。迷惑をかけたな」


「いえ、こっちこそごめんなさい」


「セージ様。わたくしも出すぎた真似をして申し訳ございませんでした」


「いいって。守ろうとしてくれたのは素直にうれしいから」


「セージ様……」


感動して泣かないでくれ。


あ、泣き止んだ。


無意識に感情操作してしまったか。


めんご。


とりあえずスカルファスは置いておこう。


「マニャ。もう食料周りの対応は済んだの?」


「おっとそうじゃった。途中で呼ばれてこちらへ来たのじゃった。悪いがまた戻るぞ」


「いや、こっちこそ本当にごめん。仕事の邪魔をして」


「なに、これも王の仕事じゃよ。セージたちはまたしばらく街を見学するとよい。今度は誤解されないように兵士をつけよう、おい」


「はっ!」


いかにも手練れですという雰囲気の老兵士2名を護衛につけてくれた。


改めて街の見学を開始。


街の雰囲気はまさに西洋ファンタジーといった感じだ。


石造りの家々が立ち並び、ゲームの世界の住人みたいな人たちが行き交っている。


ちなみに路地裏に入ってしまったのは道をよくわかってなかったからで、老兵士たちに頼んで道案内や街について教えてもらった。


ここは人領最北西にある国で名をガドラン。


マニャたちといた広場を中心に5つの大通りがあり、今歩いているのはそのうちの一つ。


国内で取れる特産品を販売している商店街だ。


食べ物系はさすがに飢饉のためほとんどの店が閑散としていたが、鉱石や薬、雑貨屋などをいくつか見て回った。


なにか買ってみたいなと思ったがお金がないことに気づき、本当に見て回るだけ。


食料は龍領、魔領、人領の方々が支給してくれるから困っていないが、なにか入用になったらちゃんと働いて買おう。


食べ物も本当はちゃんと買いたいけど飢饉を解決してからだな。


「待たせたなセージよ。では畑へ案内しよう」


仕事を終えたマニャが来て俺らは街の外へ。


街のすぐ隣には広大な畑が広がっている。


そして一目でわかる異変。


「あなた……これって」


「うん……」


俺の知ってる疫病とはちがうが、俺はそれを知ってた。


ユウジの体を包んでいた白カビのような菌が畑一面を覆っている。


「マニャ。持ち帰って調べてみたいから何か袋をもらえないかな?あと掘るもの」


「用意させよう。おい」


老兵士が近くに見える小屋に走ってゆく。


「しかし持ち帰ってどうする気じゃ?」


「同じ菌に包まれた人がちょうど家にきてね。その人にちょっと聞いてみるよ」


「なんじゃ菌に包まれた人とは……」


「ああ、話せば長いからその話は今度来た時に。ともかく原因を知ってそうな人に心当たりがあるから聞いてみるよ」


「うむ。頼んだぞ」


小屋から戻った老兵士から袋と鍬を受け取り菌を採取する。


「これでよし。それじゃあ俺たちは戻るよ」


「もう行くのか。今晩くらいゆっくりしたらどうじゃ?街で宴の用意をさせるぞ」


「ありがとう。でもイシリアさんたちも心配してるだろうから戻るよ」


「そうか、気を付けて帰れ……と言いたいところじゃが、カレンの瞬く間に帰れるのじゃったな」


「うん。何かわかったらまた来るよ」


そう言ってカレンのほうを見る。


カレンがすぐ神の言葉を発し周りの風景は一瞬で自宅のそばの草原になった。


「おかえりなさいませセージ様!お怪我はございませんか!?」


イシリアがすぐに気づいて駆け寄ってくる。


「大丈夫だよ。マニャの目の前に移動したしね。怪我もないよ」


「それはなによりです」


ほっとしたような顔をするイシリア。


心配をかけたようでごめん。


「あの、そちらの袋は?」


「ああ、これは疫病になった畑の一部。そうだ、ティテナたちはどこにいる?」


「まだテントにいらっしゃるかと」


拷問……まだやってるのか……。


俺はスカルファスと別れ、カレンと一緒に召喚者組のテントへ。


うめき声は聞こえない。


まさか殺しちゃったとか……いや、さすがにそんなことはしないだろう。


しないよな?


「セージだけど入っていい!?」


大きな声で呼びかける。


「おう、ちょうどよかった。入れよ」


ゴードンがテントの入り口から顔をのぞかせて手招きする。


俺はカレンと一緒にテントに入った。


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