第4話 嘘からでた真実
リョウトが手記を見ながらぶつぶつとつぶやいている。
そして唐突にパン!と手記を閉じ、こちらを向く。
「うん。やっぱりそうだな。間違いないよ」
「というと?」
「どうしてもわからないことはアレク様……じゃないな。アレクのやつに教わったんだ。まずさっき言った季節の入れ替わりだ。普通、地軸の傾きで季節が発生するのは元の世界の常識だよね?ただそうなると太陽の昇る時間に本来ずれと周期がある。でもこの世界にはその時間のずれや周期がない。なのに季節の入れ替わりがあるんだ。アレクに聞いたときはアレクがやってるといったからそのまま信じたけど、実はそうじゃない。おそらくだけど、この世界は太陽、月も含めて季節の違う空間を行き来してるんじゃないかってこと」
「なるほど、季節の違う空間を周期的に太陽や月ごと含めて移動してるから太陽の上る時間や月の時間が変わらないのか」
「そういうこと。あともう1つアレクがついた嘘がある。世界は神領、霊領、巨領、龍領、獣領、魔領、人領の7つに分割されている、というところだ」
「ほかにもまだ大陸があると?」
「うそ!信じられない!」
ランたちも驚きの声を上げる。
「ランさんたちは基本、神領の外に出なかったんだよね?実はそれを隠すためだったんじゃない?」
「まさか……でも、あり得るな」
「確かにね」
「同じ神領内にいてもずっと一緒だったわけじゃないですし、アレクたちが何かやっててもわからないですわね」
憶測の域を出ないけど可能性はあるだろう。
だとしたらなぜ隠してたのかってのはちょっと気になる。
「なんにしても他に大陸がある可能性はあるんですよね?」
「おそらくだけどね。少なくても1つは絶対ある。なぜなら僕はアレクのところである生き物を見ているんだ」
「生き物?」
「ああ、昆虫だよ。それも馬鹿でかいカブトムシみたいなやつ。ただ角は8本という普通とは違う昆虫」
「その昆虫が他の大陸の存在とどう関係が?」
「アレクはそれを作ったと言ってた。でも聞いてる感じだとそんな生き物を作る才能は誰も持ってなさそうだ。というか生命を生み出せるのなんてそれこそ本当の神だけだとおもう。だけどアレクはただの召喚者。ならその昆虫はどこから来たのか?少なくても僕とオルフェがみてきた各領にはいなかった」
つまりその昆虫を持ってきた見知らぬ場所が存在する可能性がある。
召還の可能性も捨てきれないが召喚者に厳しいアレクたちがそんなことを進んでするとは思えない。
それともまだみんながいない頃に召喚したとか?
それだったらランが知ってそうなものか。
可能性は低いな。
となるとやはり別の大陸から持ってきたというのが濃厚だろう。
「でかい昆虫……そういうのばかりいる大陸があるとして呼び名はとりあえず虫大陸としますか」
「うう、想像したら気持ち悪いです」
「はは。なんにしても想像の域を出てないから実際に探してみないとだけどね」
「私たちもそんな場所があるなら見てみたいわ。それになぜ隠していたのかも気になる」
ランの言う通り、なぜ隠していたのかが気になる。
人が何かを隠す理由は簡単に考えると3つ。
1つは大事なもの。
1つは大事ではないが見られると都合のわるいもの。
1つは危険だから。
一番厄介なのは最後だな。
単純に危ないからという理由で隠してたら探しに行くのはやめたほうがいい。
だが当人が虫を1匹連れ帰ってリョウトに見せてることを考えると危険は少ないのか?
わからないな。
こればっかりは考えても仕方ないか。
「あ、あなた……ほかの大陸があるかわかればいい?」
ぶっこむタイミングもうちょっと考えてカレン。
照れるくらいなら言うんじゃない。
でもそうか、カレンがいればすぐわかるかもしれない。
「ああ。できそうか?カレン」
「やってみる」
カレンが神の言語を発する。
地球儀が目の前に現れた。
正確には地球ではない。
この世界が記された異世界儀だ。
そしてそれを見てすぐにリョウトが指さす。
「この大陸たちを僕は知らない」
今いる大大陸よりはるか北。
異世界儀には3つの中大陸が記されていた。
そしてそこにはこう記されていた。
『蟲領』『妖領』『機領』と。
「3つも知らない大陸があったのか!?」
「ちょっと待って。もしかして裏にも……うそでしょ」
驚くゴードン、そして裏をみたランがさらに驚く。
そこにはさらに2つの大大陸と文字が記されていた。
『菌領』『神領』と。
「神領!?どういうことだ!俺たちのいたところが神領じゃないのか?」
ハクサンがランから異世界儀を奪い取り神領と思っていたところを確かめる。
そこには『無領』と書かれていた。
「無領って……どういうこと?あそこは何もないってこと?」
「普通に考えればそうなるな。というかアレクたちが作った建物以外あそこは植物も何もない大地だったろ」
「信じられませんわ。私たちはもとから何もないところで神のまねごとをしてたんですの?」
「本当の神領が別にあった。だからアレクは隠していたんですね」
「なぜ隠した?俺たちに知られると何か不都合があったということか?」
「自分が神を気取るために隠してただけの可能性が高いと思います」
ランたちがそれぞれの考察を重ねるが答えは出そうにない。
リョウトにちょっとした確認のつもりだったんだけど、とんでもない発見をしちゃったな。
とりあえずここでうだうだ言ってても仕方ないだろう。
「結局自分たちの目で見に行ったほうが早そうだな。とりあえずリョウトさん。教えていただきありがとうございます」
「いや、お礼なんていいよ。僕も驚いてるしね。で、どうするんだい?見に行くのかい?」
「そうですね。見に行きたいところはやまやまなんですが字面から察するに危険な感じもするんで、今すぐはいかないほうがいいかなと」
確かにと頷くリョウト。
危険というのもあるけど、実際は準備が全くないからだ。
いきなり新大陸へ行くにしてもどうやって海を渡るとか、行った先に魔物より危険な生物がいたらどうするとか、食事とか。
そういった色々を想定した準備が全くない。
なので今すぐいかない、というよりは今すぐいけないが正しい。
いや、カレンの一声で全部解決する気はするけどね。
「後は先に人領と魔領の飢饉問題を解決してあげたいってのがあるのでそっちを優先したいですね。新大陸探索とかは時間がかかりそうですし」
そう。
何にしてもまずは飢饉問題だ。
俺が異世界送りにされそうになった要因の一つでもある飢饉問題。
これを解決してあげるのが先決だ。
「飢饉なんて起きてるのかい?それは確かに何とかしてあげたいところだね」
「ええ。なんで新大陸を見に行くのはその問題が解決してからがいいなと」
「そうかぁ。じゃあ僕とオルフェは先に見に行ってくるね!」
「え?」
「ほら、オルフェは時空魔法が使えるから遠出してもすぐ帰れるし、一度行った場所はすぐ行けるんだ。だから二人で久々の旅行に出かけてくるよ」
そういえばそうだった。
時空魔法便利だな。
「あ、あなた!私も!私もできる!」
うん、わかってる。
カレンも好きな場所移動できるの知ってるから。
でもそうじゃないんだ。
冒険のロマンってのがあってね……。
「それじゃあオルフェ。さっそく行こうか」
「う、うぬ。でも、その、あなたを背に乗せるのは久しぶりだから、水浴びしてからでよいか?」
「ふふ。オルフェはいつだって綺麗だから大丈夫だよ」
「き、綺麗だなんてそんな……恥ずかしい」
「照れるなよ。本当のことだろう?」
うるせぇ!
さっさと行けちくしょう。
そんな夫婦円満見せつけられてもこっちは迷惑だ!
「せ、セージ。私もきれいかな?」
ほらぁー。
もうこれ綺麗以外の言葉言ったら異世界飛ばされちゃうよきっと。
「もちろん綺麗だよ(清潔の才能あるしね!)」
カレンには()の文字が見えたのか頬を膨らませている。
いや、見えてないよね?
見える才能なんて持ってないよね?
ちょっと不安になるわ。
「そうだカレン。もう一人呼び出して欲しい人がいるんだけどできるかな?」
「今度はだれを呼べばいいの?」
「ちょっとまってね」
俺はいまだあーだこーだ言っているランたちを呼んだ。
「ランさん。ランさんの思い人って言ってた人の名前は?」
「え!?な、なんで突然?」
「いや、異世界送りにされたんだよね?別世界の人も呼び出せるのかの実験も兼ねて、呼ぶならランさんの思い人かなって。さすがにアレクとかユウジを連れ戻すと面倒なことになりそうだし」
「確かにそうだけど……でも、あの人は……」
「世界を統一しようとした?って話だよね。それなら大丈夫。考えがあるから」
「……カンライ。それが名前です」
すぐにカレンが神の言葉を発する。
そして俺たちの前に一人の男性が現れた。
昨日何気にテンション上がって6話まで実は書いちゃってたりしてます。
勢いのまま書いたので矛盾がないかだけチェックしたら順次載せてきます。




