第1話 チートでチートを増やした
目が覚める。
右腕に重みを感じ、見るとカレンがしがみついてた。
一人で寝床に入ったはずだが、あとから来たんだろうな。
起こさないよう気を付けて腕を抜く。
家を出る。
空気がおいしい。
異世界にきて3日目の朝。
そう、ここは異世界だ。
トイレ中というひどいタイミングで異世界に呼ばれた俺は、大衆の見守る中用を足した。
忘れられない思い出。
……いらないプライスレスだ。
そしてたった二日間の間に人族、魔族、龍族、果ては神領のチート召喚者たちと色々あり今に至る。
本当にいろいろあった。
別に俺が何かしたわけじゃない。
いや、俺が原因の部分もあるのかもしれないがそれは俺の持つ才能が原因だ。
好感の才能、それが俺の才能。
簡単に言えばみんなと仲良くなれる!
悪く言えばみんなが俺に過剰な好意を寄せてくる。
しかもこの才能は自分の意思でどうにもできない常時発動タイプだ。
そのせいか神領の一部に目を付けられ異世界送りにされそうになったが、異世界送りになったのは向こうのほうだった。
俺がやったわけじゃない。
うん、俺のせいじゃないと思う。
だって俺何もしてない。
周りがなんか勝手にやっただけ。
俺、悪くない。
なんて現実逃避をしながら焚火の前に座る。
「おはようございますセージ様」
王宮正統宮女代表イシリア。
その優しい笑顔が俺の心を癒してくれます。
あ、決して熟女趣味とかじゃないです。
おばあちゃんの笑顔ってほら、なんか癒されるじゃん。
イシリアに挨拶をしてあたりを見渡す。
同じく王宮正統宮女のラナナとフェミが朝食の準備をしている。
その様子を見ているのが神領からきた召喚者の女性陣。
ラン、マリアベル、ティテナ、リュシカ、クスリだ。
料理を勉強しているのかな?
テントのほうを見ると入り口前に魔王五指で王魔族代表のマリアスが、同じく魔王五指である剛魔族代表ゴルガを正座させて叱っている。
昨晩、龍領から持ち込まれた酒を飲みすぎて怒られているようだ。
なぜか一緒になって怒られている召喚者のゴードンとハクサン。
なんか知らんがどんまい。
ほかの面々はとあたりを見渡すと草原のほうに魔王五指の残りである知魔族代表スカルファスと獣魔族代表ラオファ、そして淫魔族代表レイシェンがいた。
火事で焼けた草原の地面を耕している。
草原が再生しやすくするためか、それとも畑でも作るのだろうか。
何にしても手伝ったほうがよさそうだな。
「セージ様は休んでてください」
あ、はい。
仕方なく焚き火そばに戻る。
龍族はというと、昨日はオルフェがここに残るということでデノラスたちはみんな山に帰っていた。
オルフェは俺と一緒にやってきた神領の面々が俺を異世界送りにしないかと心配だったようだ。
まあ、いきなりやってきて俺を異世界送りにするとか言ってきたやつの仲間だと思えば心配もするか。
心配かけてごめん。
でもいきなり来たそいつを突然異世界送りにしたのはオルフェだから逆にこっちが心配だよ。
神領のみんなもちょっとおびえてたしね。
そんなオルフェも今は朝食を食べに戻っているらしい。
こっちに来たらもう一度大丈夫って言っておいたほうがいいかな。
理不尽に異世界送りとかしないように。
「おはようございますセージさん」
もっと注意すべき子が起きてきた。
「おはようカレンさん」
カレンの才能である言語の才能。
その本領が昨日発揮された。
神の言語でしゃべる事象はすべて実現するというチート。
そのおかげで俺は異世界送りを免れたのだけど、代わりに俺を異世界送りにしようとしてた一同はカレンが異世界送りにした。
俺は何もしてない。
本当に。
だから俺、悪くない。
そう思わないと罪悪感で悪夢を見そうだ。
「お食事の準備ができましたよぉ」
イシリアが大きな声で呼びかける。
俺は異世界送りになった方々を記憶の片隅に追いやりご飯に集中する。
今日は野菜と肉の炒め物か。
スープか炒め物の2択だから早く調理方法は教えてあげたほうがいいかな。
あと米が食べたい。
あるかわからないけど。
リョウトの手記に載ってないかあとで調べてみるか。
「お米が食べたいんですか?」
カレンが聞いてくる。
というかなんで俺の考えてることが分かったんだ?
「あ!」
あ!じゃない。
「あって何?」
「その、昨日いろいろとランさんたちに話をしてたら覚えたんです……」
覚えた?
どういうことだ。
「あの、わざとじゃないんです。その、本当にランさんたちがセージさんのこと異世界に送ろうとしたり悪いこと考えてないかな?って思いまして。それでランさんたちに聞いてみたんです。えっと……神の言語で」
サラッとチート能力を使ったわけだ。
「ごめんなさい。ただ『頭の中で何を考えてるのか知りたい』って言ったら突然考えてることがわかるようになって……」
「それで?」
「その、生命の書に読心の才能が増えてました」
チートが増えたわけか。
ちょっと待てよ。
それってこういう才能が欲しいとか言うだけで何でも才能が追加されるってことじゃないのか?
「えっと、そうです」
「そうです……ってことはまさか他にも?」
「……はい」
カレンは試しにやってみたいことをいくつか神の言語で言ったらしく、そのすべてが才能として追加されたらしい。
また言い方も重要で『時間よ止まれ』と『時間を止めたい』では前者がいきなり時間がとまり、後者は時間の才能が付与されたという。
さらには『時間の才能はいらない』というと才能が生命の書から消えもう一度願ったら戻ったと。
チートどころの騒ぎじゃない。
やりたい放題か!
「あの、私のこと嫌いになりました?」
いや、心読まれたくらいで嫌いにはならない。
ならないけどちょっと怖い。
カレンが悲しそうな表情をしてすぐ何か言った。
「消しました!読心の才能は消しました!だから私のこと怖がらないでください!」
涙ながらに言われた。
うん、俺が悪かった。
だから泣かないでね。
あ、もう心が読めないのか。
ちゃんと口に出して謝る。
「それでほかにはどんな才能を覚えたの?」
「はい。空を飛びたいで重力の才能、強くなりたいで強靭の才能を覚えました。あとは、その……」
「その?」
「き、綺麗になりたいって言ったら清潔の才能を覚えました」
ああ、美人の才能みたいの期待してたら汚くならない才能を覚えちゃったのか。
でも汚れとは無縁そうな才能でよかったね。
恥ずかしがらなくて大丈夫。
空を飛びたいとか強くなりたいとか発想がちょっと小学生っぽいけど、下手に世界征服とか願われるよりは全然いいしね!
「それと……」
まだあるのか。
「セージさんの子供が欲しいって言ったら……」
え?
「に……にに……妊娠……しました」
……………………え?
目の前が真っ白になった。
初日で早速評価いただきありがとうございます!
評価なしを覚悟してたので評価をつけてもらえただけでも飛び上がる気持ちです。
プロローグとか勢いで16話書いて一気に載せたたもんだから、読み返したら矛盾だらけでした。
すみませんorz
気づいたとこはすべて治しましたので修正前に読んでいたら改めて読んでもらえると嬉しいです!




