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華姫  作者: バンブール
第一章
6/10

第五話 黄色の男 コウガ

 事件の被害者の一人、村人のハナは、スレンダーマンの青年・森本日向を見送るため、ホルンとムクスを連れて海沿いの町の港に来ていた。

「これがアメリカ行きの船…」

 ハナはその船の大きさに圧倒される。ホルンとムクスも開いた口が塞がらない。



 そして、あの事件から一か月が過ぎた。時がたつのは早いものだ。あの事件…村長が、いや、()村長が引き起こした一連の事件のあと、村長は逮捕・起訴された。そして、事件の裁判が行われようとしていた。検察は被告の五十嵐海に懲役40年を求刑。現在彼女はジッカ村の施設に勾留されている。

「私は、より良い村づくりをしたかっただけなんです…」

 などと、白々しい嘘をつく村長に、ハナはどこか怪しさを感じていた。


 ハナは、事件の解決に協力したという事で、前村長・五十嵐海との面会を許可された。彼女には聞かなければならないことがあった。

「アンタか」

 薄暗い面会室の奥に、五十嵐の姿があった。以前と違い、囚人服に身を包み、髪も結ばずぼさぼさのみすぼらしい姿に変わっていた。

「今日は何の話だ?」

 村長としての誠実さも威厳もなくしたぶっきらぼうな口調で彼女が聞く。

 ハナはどう答えたらいいか戸惑った。というのも、面会の目的はある調査だからだ。

 彼女が起こした犯罪。その裏に、大きな組織、またはヤツカ村が絡んでいるのではないか。

 ドローンとライフル銃の入手ルートが不明であることに違和感を覚えたハナは、独自に調べを進めているところだった。彼女の裏に何がいるのか…それを突き止めるのが、ハナの目的だった。それを悟られてはまずい、とハナは気を引き締め、慎重に言葉を選ぶ。

「あなたが使ったドローンと銃について、話が聞きたい」

「あん?単刀直入だねぇ、つまんないの」

 彼女の挙動を探る。焦りや不安よりも、余裕が見て取れた。

(どういうこと?彼女はいま、勾留されていて絶体絶命の状況のはずなのに…この態度、まさか!)

「遅かったね、気付くのが」

「!!!!!!!しまった!」

 爆音が鳴り、面会室の壁が破壊される。警備していた警察官がたおれ、粉塵で辺りの視界は閉ざされてしまう。

「くっ…やっぱり、脱出の機会をうかがっていたのか…」

「それと同時に、あんたを仕留める機会もなァ!」

 そこには、組織の戦闘員と思しき男たちが立っていた。サングラスに黒いスーツだが、並々ならぬ気迫を感じる。雇われの殺し屋かもしれない。

 ハナはすっと立ち上がり、男らを挑発する。

「私の強さを知らないの?鬼も私がやっつけたんだよ?…かかってこい」

 戦いの構えをとり、男たちの反応を探る。すると、男の一人が距離をとり、銃を取り出す。

 そして、ハナの頭部、脳天を正確に狙い発砲した。流れるような一瞬の射撃に、ハナは微動だにせず立ち尽くしていた。

 次の瞬間。

 足を地面に叩き付け、ハナが気を放つ。周囲の空気が振動し、地面が揺れ、銃弾を腕で絡め捕り後ろの壁に払った。

「何だ…!?何が起こった!」

 男たちの顔に焦りが浮かぶ。多くの修羅場を潜り抜けてきた男たちの直感が訴える。

 この少女は、バケモノだと。


一方、その場所に近づく一人の男がいた。金髪に、黄色のTシャツの、黄色の男だ。彼は、足早に、ハナが戦う刑務所に向かっていった。






謎の男コウガが、ハナと男たちの戦いに介入。果たして、その思惑とは。

次回 第六話 混戦

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