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華姫  作者: バンブール
序章
4/10

第四話 四人の異能力者

数刻前 森


一機の小型ドローンが、森の上空を音もなく旋回する。

そして、四人の人ならざる者をそのカメラに捉えた。ゆっくりと引き返し、一人の女性のもとに降下していく。

ドローンを片付け、カメラの映像に映された場所へ向かう女性。そこには、年齢も性別もバラバラな四人が確かにいた。

彼らは言い争っている。


「誤解だ…俺たちは人に害を与えようとはしない!」


「いったい何が起きてるんだ…!?」


女性は11.4mm短機関銃M1とこの国では呼ばれているサブマシンガンを構えた。中距離で威力を発揮するこの銃を彼女は着物の少女、ハナに向けて撃った。


「があっ!!!」

 ハナがうめき声をあげる。その腕から、血が滴り落ちていた。

 スレンダーマンたちは周囲を警戒する。


「あなたたちはこの村にとって邪魔なのよ」


そう彼女はつぶやき、もう一度銃撃する。


 彼の背中から、()()()()()()()が伸びていた。

 その触手はハナを弾き飛ばし、銃撃から逃がした後に消えた。

 四人が、小屋の影に身を隠す。


――――現れたか。


彼女もまた、スレンダーマンの特徴については調査済みだった。

そして、ハナの弱点も。

ハナは鬼を倒すほどの強力なエネルギーを体に秘めている。なぜハナがそんな力を持つのかはわからない。しかし、そのエネルギーは()()()()()()()()()()()()()()()()()()つまり、ハナは防御においては人並みということだ。

だから、彼女はまずハナを撃ち、動きを止めた。あとは残る三人をなぶり殺しにする予定だった。

多少驚きはしたが、スレンダーマンの能力発現は予測済みだ。

仕切り直して、もう一度。

そう思ったが、彼女にある暗い感情が芽生えた。


人間を超える者たちの、驚くさまを見てみたい、と。


彼女は彼ら四人の能力の攻撃圏内に入らない位置に姿を現した。

その姿をとらえたハナ、ムクス、ホルンの顔に驚愕の表情が浮かぶ。



「…なぜ」

ハナが言葉を漏らす。

ムクスとホルンは、彼女を恨みがましい目で見つめる。

そして、彼女を知らない様子のスレンダーマンに、海が声をかける。



「フフ…」

「あなたたち、知らないの?」



「私は村長だよ」



ホルンとムクス、二人の異能力者を作った張本人。そして、ハナをこの場に差し向けた女。


彼らを狙撃したのは、ヤツカ村の村長・五十嵐海だった。


「新薬開発のために作ったホムンクルス二体は脱走」

ホルンとムクスを見て海はつぶやいた。

「未知の怪物スレンダーマン、そして鬼を倒す力の持ち主」

スレンダーマンとハナを見やる。

そして、言い放った。

「あなたたちは私の村にとって邪魔…だからここで、まとめて消す」

スレンダーマンがそれに反対する。

「させるかっ!」

海は瞬時にナイフを取り出し、彼に接近する。ナイフの斬撃を間一髪でかわし、彼は海の体に、長い腕による拳撃を繰り出す。海がそれをナイフでいなし、スレンダーマンの漆黒のスーツが裂ける。

それを見た彼に生じた一瞬の隙を見逃さず、すかさず海はナイフを喉元に突き立てる。

「くっ…」


その生死の境に置かれた状況。

刹那、彼の()が覚醒した。


「何っ!?」


海が状況を把握するより先に、高速で彼の背から触手が放たれる。


「はっ!!」

触手に命じ、海のナイフをはじく。

海はサブマシンガンを構えようとするが、それを許さず触手で縛り上げる。


「がはっ…私の完璧な作戦が…」







その後、応急処置で回復したハナが警察に通報。

殺人未遂と銃刀法違反でヤツカ村村長・五十嵐海は逮捕された。


人造人間の少年ホルンと超能力者ムクス、二人は特殊な力の存在を伏せて、孤児院に引き取られた。

学校に通い始め、普通の人間として生活を始めた。


そして、スレンダーマン――――本名、森本日向(ひゅうが)――――彼はいま、外国にいる。

自分と同じスレンダーマンを見つけるため、そして…



人間とスレンダーマンが手を取り合う、平和な世界をつくるため――――




戦いは終わらない…いや、これから始まる。


――あの事件から一か月――

――懲役40年――

――ドローンとサブマシンガンの入手経路――

――組織の関与――


次回 第五話 黄色の男 コウガ

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