私と長男の感覚の違い
じーっと観察した結果、どうやら私と長男では感じ方が違うらしい。
前にも述べたように、手を触られることを嫌います。手を繋ぐということが出来ませんでした。外出の時は、苦労したなあ。
それと、物凄いくすぐったがりで、不用意に触ると怒ります。
音にも敏感で、大きな音を嫌がります。寝るときに響く時計の針の音も嫌がった。
感覚が物凄く鋭敏なようです。調べてみると、感覚が鋭敏すぎて痛みすら感じるらしい。
なのに、私は何とか手を繋ごうとしていた。
ごめんね、あなたにとっては苦痛だったね。
決まったルールや予定から、外れることを嫌います。
さあ、出掛けるよ。なんて言ったら、さあ大変。
まず出掛けることは無理。
事前に、いつ、どこへ、何のために出掛けるよと伝えておくと、すんなり出掛けられます。
予定外の出来事は、不安や恐怖に繋がるようです。
出掛けたら出掛けたで、今度は帰りたがりません。自分のやりたいことをしてしまわないと、次へ移れません。気持ちを切り替えるのが苦手なのです。
急に言われてしまうと、どうやら気持ちの動きが激しくて制御出来ないみたいです。不安感に囚われて、パニックになってしまう。
これも、いつ、どうして帰るのかを伝えておいてからカウントダウンをします。数字にすると、分かりやすくて安心するようです。
やりたいことが時間内に片付かない場合は、これこれをしたら帰ろうねと、具体的に示して気持ちの区切りをつけられるようにします。
自分からぶつかっておいて、ぶつかったものに対して物凄く怒ります。これは見え方の違いです。
一度、長男と遊んでいて、ふとブロックで遊びたくなり、別室へ取りに行きました。
そこでは次男が座ってオモチャで遊んでいて、次男の向こう側にブロックがありました。
長男は真っ直ぐブロックへ向かい、手前にいた次男にぶつかってこけました。で、癇癪を起こして次男を押し倒したのですが、話を聞いてみると、次男が突然現れて長男をこかしたんだ!と言うのです。
次男は最初からいたのに。
どうやら目的のものだけが見えて、他は認識から消えるようです。
同じことはよくあって、長男はよく机やら物やらにぶつかっては、転けました。その度に癇癪を起こして、ぶつかったものをバンバン叩いたり投げたりしていたけど、ほー、そんな理由があったのか。
次男は最初からいたんだよ。机も最初からあるよ。でも、取りたいものがあったら、何処かへ消えちゃったように見えるんだね。転けて痛かったね。
痛いのは嫌だから、何かを取りに行くときは、ちょっとだけ止まって確認しよっか。
これを伝え続けました。
この時、思った以上にあっさり納得しました。いつも通り、癇癪を一時間くらいは続けてからでないと、駄目だと思っていたのに。
なんとなく、ピーンときました。これ、いける。
大事だったのは、最初の長男の感覚への共感。これをやった時に、感情の落ち着きが早かった。
その後の提案。
あくまで提案。こうしなさい、は駄目。
他にも、言うよりも図で説明したほうが分かりやすいらしい。
なるべく数値化した方が、理解しやすいらしい。
とにかく観察し続けていると、長男の気持ちが解ってきた。急に怒りだしたように見えるあの癇癪は、全部理由がある。私たちの普通とちょっと違うけど、長男にとっては普通の理由が。
だとすると、今まで長男も苦しかったろうと思いました。
きっと長男にとっては、私が言っていることの意味が解らない。何で自分の主張が通じないのか解らなかったんだろう。
だって長男にとっての普通と、私にとっての普通は違う。ずっとすれ違っていて、もどかしかった。お互いに。
徐々に長男を理解していって、繰り返し長男の気持ちを聞いて、逆に私がどう感じたのかを伝えて、少しずつ長男も私を理解してくれて。
そうして、私と長男は互いを理解しあっていきました。同時に家族へも毎回伝えました。こんな時に、こんな理由で長男はこう感じて、私はこう伝えたと。
どうせなら、理解者は沢山いた方がいい。
そうすればこの子は独りぼっちじゃなくなるから。
独りじゃなければ、例えいつか私の手から離れて、一人で歩き出したとき、困難にぶつかっても、乗り越えられると思うから。
子供が一人でいきていけるように育てる。
親の役目は、そういうものだと思うのです。




