休題~涼宮光の異世界日記①~
かなり短め。
ちょっとした説明回?
◆異世界一日目◆
涼宮香として転生してることに気づいた。これから色々あると思うから日記をつけておこう。
オレはまあ川で溺死したらしい。今まで意識はなかったが、とある人物を見て覚醒した。そこで乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生してることにも気づいた。
キャラはゲーム内女子嫌われ者ランキングぶっちぎり一位の涼宮香。白銀の髪と赤い瞳の、猫のようなつり目の少女。ぶっちゃけ厨二病の重症患者っぽい見た目。眼帯あったら泣いてた多分。
かなりイタイ容姿に加えて香はデッドエンド一筋しかない可哀想なお嬢様。困った。
そこでオレは取り敢えず家族関係の改善、あとは素のオレを外に出す方向でいこうと決心。
素のオレを出すのは令嬢らしくないことを理由に婚約者をつくらないため。家族関係の改善は秀斗と仲良くするのを目標にしてみよう。
秀斗は香の兄で乙女ゲームの攻略対象者でもあるんだけど、本編だと孤高のクール系キャラだった。
原因は香による父親の独占。
母親は香を産んだときに亡くなったらしく、母親似の香を父親が溺愛し、誰にも構って貰えずに寂しい幼少期を過ごした挙げ句、人と馴れ合えないボッチ…もとい孤高の男が誕生してしまうようだ。
そんな秀斗のルートは三つ。
一つはハッピーエンド。悪役令嬢・涼宮 香の妨害を受けるも揺らがぬ心で愛を貫き通し、香の不正やら醜態を世間の皆様にお知らせ。香は父親にも見放され、部屋に隔離という名の軟禁をされる。
で、何か吹っ切れちゃった香は自殺し、主人公と秀斗は結婚が認められて微笑み合う素敵なスチルでおしまい。めでたしめでたし。
二つ目はノーマルエンド。友人としてこれからも宜しくってな感じで幕切れ。香は何だかんだで涼宮家から追放されて自殺。
微妙な終わりかただと姉貴がぼやいてた気がする。
三つ目、これが最悪なバッドエンド。周囲の反対を押しきれず香の邪魔も抑えきれずに主人公は殺され、愛に狂った秀斗は『君がいない世界など堪えられない』と香を道連れに死を選ぶ。
もちろん主人公とのあれこれを阻止するつもりはサラサラない。ただの予防というか保険のようなもので、万が一にも殺られそうになるようなことがないように神様にお祈りする毎日…はやいとこ素を晒してしまいたい。
◆異世界二日目◆
朝からドリルが重たい。寝癖は付かないけどもはやドリルが寝癖のように思えてくる。なんとこのドリル、シャワーを浴びたあとでも形が崩れないという呪われたドリルなのだ!
昨日はこれからの方針を書いた。それに付け足して、今日から運動を始めようと思う。
香は貧弱もやしっこお嬢様で、このままだとかなりヤバい。まず屋敷の外に出ない引きこもり体質らしく色白で筋肉がほぼないヒョロヒョロ女子、ご飯も大した量は食べれない。
これではオレに近づかないんだ。オレは体育会系陸上女子だったから走りたくて堪らないのに、数歩走った(走ったとも言えない)ところで力尽きた。
腹筋背筋腕立てを毎日十回からスタートして、学園入学までにモヤシを脱却してやる!
◆異世界三日目◆
屋敷で働く侍女数人に陰口を叩かれる。嫌われているとは知っていたけどここまでとは思わなかった。なんとオレを前に臆すことなく悪口、悪意ある言葉の数々。チビだから分からないだろうという考えが丸わかりだった。
『お父様~、いったい生きるゴミってなんのことかしら~』って大声で話したら焦ったひきつり顔で止めてきたからちょっとスッキリした。
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◆異世界二ヶ月目◆
秀斗の紹介でマーフィーさんに会う。マーフィーさんは秀斗の家庭教師、おもに低級魔法や中級水属性魔法を教えているらしい。父上に脅し(?)を掛けてオレも教えて貰えることになった。
水属性魔法は攻撃、防御は勿論、回復も出来る万能の魔法。他の属性には回復魔法はないから、水属性魔法が使える人物はわりかし重宝される。
オレは早く水属性魔法の回復魔法をコンプリートして、自分に掛けられるようにしたい。そしたら疲れたところで魔法を掛けて回復して、長時間の運動も出来ることだろう。
それから友達ができた。パール・ドラニカル、屋敷で働く侍女で同い年の女の子だ。四歳で働くとは中々やるな。
こっちの世界で初めての友達だし、絶対に大切にしたい。
①があるなら②もあるはず。
時々挟んでいきます。