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三話:殺し合い合戦 前編

『生贄選びゲームの結果発表です。おめでとうございます。見事クリアです』

 校舎に付けられたスピーカーからも流れているせいか、屋上にいた佐藤たちにも聞こえていた。

『さて、次のゲームが始まる前に個人個人に指令を出します。皆さんの携帯に送られてくるメールをご覧ください』

 そう告げられた瞬間、その場にいた全員の携帯が鳴る。

「なん……で?」

「今更驚いてる暇はないぞ」

 西田の言うとおりだと佐藤は思い、携帯を開ける。

《佐藤 美紀は赤です。5分以内に三号棟1階の生物室に移動してください。時間内に移動できなかった場合は内臓消失してもらいます》

 佐藤には一瞬どういう意味か分からなかった。

 その場にいた全員が同じようなメールを受け戸惑っていた。

(内臓消失って何!? そんなこと起こったら確実死ぬよね!?)

「これって、皆同じところに移動するのか?」

 西田は携帯をまじまじと見ながら呟いた。

「健二、私は生物室だってけど……」

 佐藤は不安げに西田を見上げる。

「俺もだ」

 その一言に少し安心した。

「私は一号棟三階の会議室だって……」

「俺は、生物室」

「生物室と会議室に分かれるみたいね」

 混乱する中で、梅野はそう言って1人屋上を後にした。

(そうだ、早く移動しないとみんな死んじゃう……)

 佐藤がそう思ったように、みんな梅野の移動で気づいたのか一斉に屋上から降りようとはしごへと走り出す。

 その中で、一切動かない菅原がいた。

 菅原は青ざめた顔で携帯を見つめていた。

「はじめやがった……」



『5分がたちました。どうやら移動できなかった人はおられないようですね。では第三のゲームをはじめましょう』

 生物室に佐藤たちが到着して1分ほど立ったときにそれは鳴り響いた。

 生物室には、既に田中や井上、秋山、中島達がたどり着いており、それを見た西田は少し安心をしていた。

『第三のゲームは二つのチームに分かれて行います。生物室の赤のチーム、会議室の白のチーム、それぞれ16人。一時間後多く生き残ってたチームだけが生き残ります。なお同数の場合、ランダムで生存数の半分には死んでもらいます』

「は・・・?」

 誰もが固まった。

『なお、各チームに設定された王が死んだ場合、数に関係なく王が死んだチームの負けとなります。そして見かけ上はどちらかに所属していますがチームの死と関係ない黒が存在し、彼又は彼女はどちらかのチームに紛れております。黒が殺されればゲームはそこで終了となり赤と白のチームは罰を受けなくてよくなります』

(つまり、会議室にいるクラスメイトを殺すか、黒を殺すかしないと私達は生き残れないってこと……?)

 佐藤は体が震えた。

 それと同時に、この狂ったゲームへの恐怖と怒りで吐き気がした。

『黒を暴くもよし、敵チームを皆殺しにするのもよし。生き残る方法はただ一つ、相手を殺すことです。はじめる前に一つ私からのプレゼントがあります』

 そう言われた瞬間、生物室にあったテレビの画面に、赤16、白16 と表示される。

 そして、いきなり生物室の扉が開く。

「え?」

 そこにいたのは第一のゲームで死んだはずの麻田 楓であった。

 先ほど斬られたはずの足も存在し体中にあった火傷のあともない、まるでギルティ・ゲームが始まる前の時間から現れたような綺麗な体の麻田が立っていた。

「あ、麻田さん?」

 井上は驚きながらも名前を呼んでみる。

「みんな……」

 小さな声でそう言った。

 皆が安心し麻田に近寄ろうとした瞬間、その言葉が発せられた。

「みんな……なんで助けてくれなかったの!? 熱かったよ! 痛かったよ! なんで私がこんな目に会わなきゃいけなかったの!? なんで! なんで! なんで!」

「あ、麻田?」

 西田はもう一歩麻田へと近づこうとした。

「来ないで! みんななんか仲間じゃない! もっと生きたかったよ! なんで私が死んでみんなが生きてるの!? みんな……みんな死んじゃえぇぇぇ!」

 ヒステリックに甲高い声が響き渡り、麻田は死んだ時と同じく必死の形相叫び続ける。

 それが止みかけると、肉を刺すような鈍い音がした。

 それが麻田の体の中からだというのに気づくのにそう時間はカからなかった。

「いやぁぁぁぁぁぁ! 痛い痛い痛い痛い!」

 何かが千切れる音が何度も響いてゆく。

「ひゃぃやぁぁあああああああああああ、あ、あ、ぁ」

 目を見開いて背中を逸らした状態で奇声を発した麻田は固まった。

 白い制服を赤く黒く染めあげその中心には赤く染まった明らかに人の体には存在しないもの。

 どこから現れたのか物理的に収まりきらない凶器は麻田の腹を引き裂いて出てきたのだ。

「な、なんだこれ?」

 だれもが分けがわからなくただ呆然と立っていた。

 その間にも、肉を裂いて麻田の中から凶器が飛び出て床に落ちる。

 そして、それが止むと左足が引きちぎれて麻田は転び震えた声でこちらへと手を伸ばしながら呟いた。

「たす……け、て」

 刹那、麻田は死んだ時同様全身から発火し最後の悲鳴を上げて毛一本、骨一つ残らず炎とともに消えそこには血に濡れた凶器だけが残る。

「なんなんだよこれ!?」

『死んだ友との再会、最後の言葉、お楽しみ頂けたでしょうか?』

 いきなりスピーカーからその声は轟く。

(多分、会議室でも同じことが起きているんだね……)

 佐藤はゲームマスターの口ぶりからそう確信した。

「何がお楽しみ頂けただ? 人の死を弄びやがって……」

 西田は怒りを拳に宿し壁を殴りつけた。

『凶器もなしに殺しあうのは不便でしょう? それが私からのプレゼントです。ではこれから一時間頑張ってください』

 マイクを切った音がし辺りが静まり返った。

「と、とりあえず、ルールを整理しましょうか」

 最初に言葉を発したのは以外にも井上であった。

 井上はルールブックを取り出す。

「誰がこっちのチームの王様なんだ?」

 斉藤はいつもの調子を取り戻したらしく気軽にそう質問する。

「それは俺だな。移動のメールに書いてあった」

 田中は包帯で巻かれた右肩を左手で押さえながら答える。

「じゃ、俺らは春時を守ればいいんだな?」

 白井は田中の隣に座り込む。

「なぁ、この中に黒がいるなら出てきてくれ……」

 中島は震えた声でそう言った。

「いたとしても出てくるわけないわ。だって、私達がどうなろうとも黒には影響がないのだもの」

 梅野は静かにそう答えた。

「頼む! じゃなきゃ俺は、味方も敵も全員殺さなくちゃいけない!」

 中島は目を閉じて歯をかみ締めた後、大声で宣言した。

「な、なにを言ってるんだ?」

 西田は中島が何を思ってそう叫んだのかわからなかった。

(そっか、香織ちゃんは白なんだ……)

 佐藤は周りを見渡して中島の彼女である織本がいないことに気づく。

「香織は白なんだ……。俺達が二人で生き残るには黒を殺すしかない……それが誰だかわからない以上全員殺して二人で生き残るしかないんだ!」

「お、落ち着け海渡!」

 白井は立ち上がり中島を押さえようとする。

「俺だって親友を殺したくなんかないんだよっ! だから黒は早く出てきてくれ!」

 中島は白井から離れ、入り口の傍に転がる凶器の中から手ごろなサバイバルナイフを手に取る。

「こ、こっちに黒がいない可能性だってありますよ……」

 井上は田中の手当ての為に付き添いながらそう震えた声で止めようとする。

「そうだな。……俺は田中以外全員を殺した後、白の人間を殺しに行――」

 中島はそこまで言おうとして、菅原のタックルを受けて吹き飛ばされる。

 すぐに起き上がって落としたサバイバルナイフを取ろうとした瞬間、中島の喉元にアイスピックが突きつけられた。

「無駄な抵抗はするな……」

 そういって菅原は、構えていた右手で中島の腹を殴り気絶させる。

「隣の生物準備室にでも縛って置いたほうがいい」

「あ、あぁ」

 すぐに男子が中島を隣の部屋へと運んでゆく。

「俺たちが生き残る方法はただ一つ。田中を守りながら白チームの人間を殺すこと。そのためには殺しに行く人間、守る人間が必要だ」

 菅原はあたりが納まるとそう語りだす。

「どうしても殺さなきゃいけないか……?」

 西田はいつもより小さい声でそう問う。

「あぁ。どうしても だ」

「……だれも行かないなら私が行く」

 梅野は入り口に散らばっている凶器からアイスピックを手に取り、スカートから取り出したハンカチで血を拭う。

「攻めが5人、三号棟の警備が5人、部屋に残るのが5人って感じでどうだろうか? くじ引きかなにかで決めよう」

 そう言い出したのは以外にもこのゲームの王である田中であった。

「くじ引きとかで決めるのはどうでしょうか?」

 井上はそう提案して、生物準備室から串を持ってくる。

「だったら、攻めは男子が行ってよ」

 飛田は他の女子を庇うように前に出てきて主張し、くじ引きが行われた結果、佐藤と西田は警備へとなった。



 三号棟の一階の廊下を端まで進み階段を使って二階に上がって廊下を進み階段を下りて生物室へと戻る、という警備の巡回ルートをゆっくりと歩く佐藤と西田。

 西田の手には護身用の竹刀が握られている。

「……ねぇ。健二、もし私が黒だったら健二は私を殺す?」

 薄暗い廊下を歩く中、佐藤はそんな質問を西田に投げかけた。

「俺には何もできない……でも、もしそうならお前の判断に任せる」

「冗談だよ……」

 佐藤はそっと呟いた。

 一階の端、被服室を越え目の前の調理室の横を曲がり階段へと向かおうとしたその時、それの存在に佐藤たちは気づいた。

 頭を階段の下の段に、足を上の段に引っ掛け、頭から赤黒い液体がどろりと流れて階段を赤く染めあげている。

 階段から落ちたような奇妙な姿で発見されたのは仲間である赤のチームの1人、藤枝 未来(ふじえだ みらい)という女子であった。

「きゃぁぁぁぁ」

 佐藤は思わず叫んだ。

「藤枝か!? しっかりしろ!」

 西田は藤枝の体を持ち上げ階段から下ろして声をかけるが一向に意識を取り戻す気配はない。

 おそるおそる右手首に手を当て脈を図ると、まだ暖かい体が嘘のようにピクリとも動かなかった。

「嘘だろ……」

「健二、これ」

 佐藤は階段の横に血のついた大き目の石が転がっているのに気づく。

「これで殴られたってことかよ……白のチームの誰かに」

「でも、扉は内側から鍵がかかってるみたい……」

 西田は奥歯をかみ締めた。

「とりあえず、すぐに全員にメールで知らせてくれ。二人一組での行動のはずだから藤枝のパートナー……信哉はどこだ?」

 西田はそっと藤枝を壁にもたれさせ、すぐさま二階に上がる。

 二号棟と繋がる渡り廊下への扉が開いており、その場には長髪の男子、加藤 信哉(かとう のぶや)が倒れていた。

「おい! 信哉! しっかりしろ!」

「う、健二か……雅喜が攻めてきたんだ……」

 西田はその言葉を聴きすぐさま辺りを確認した。

(雅喜っていつも読書ばかりしてるあの石田 雅貴(いしだ まさき)がかよ……人が変わるにもほどがあるだろ……)

 西田は加藤を起き上がらせようとしながらも、込み上げる怒りを抑えようとしていた。

「こ、この三号棟は危険だ。あいつら職員室から鍵を持ってきてるみたいなんだ。警備するより戻った方がい、い」

「もう喋るな! しっかり捕まれよ」

 西田は加藤に肩を貸しゆっくりと階段を下りる。

「美紀! 手伝ってくれ。急いで生物室に戻るぞ!」

 西田は佐藤にも呼びかけ三人は生物室へと戻った。

「か、加藤さんどうしたんですか!?」

 待っていたのは井上の驚きの声だった。

「こっちに白のチームが進入してきて襲われたらしい」

 その言葉に皆が驚き、絶望を嘆く。

「落ち着いて聞いてくれ……化学室場所を移して迎え撃つのはどうだ?」

 息を切らせながら頭を抑えて加藤は全員に話しかける。

「あそこは入り口が一つだし、中から鍵を掛ければ二階だしいきなり襲われることもない」

「な、中島さんはどうするんですか?」

 井上は遠慮しながらも聞いた。

「今の状態で離すのは危険だ。置いていくしか」

「それじゃ殺されるかもしれない!」

 誰かが答えた言葉に西田は激怒し反論した。

「た、大変だ! 中島がいない!」

 隣の部屋をそっと除いた男子がそう叫ぶ。

「ますます危険になっちゃったね。ねぇ健二ここは田中君の指示に従わない?」

 佐藤は西田にそう語りかける。

「あ、ああ。それならいいが」

 その言葉を聞いて、さっきまで椅子から動かなかった田中が立ち上がる。

「全員で化学室へ移動する。偵察に4人先に行って誰かが隠れていないか確認しつつ、そのまま全員で向かおう」

 生物室に残っていた男子は武器を取り先行し、女子と田中、一部の男子が箒などの使えそうなものを探して持つ。

 佐藤は偵察として先に進む西田達とゆっくりと移動する田中たちのちょうど真ん中らへんで周りを見渡しながら進んでいった。

赤と白に分かれたクラス。

さぁて黒は誰でしょうね?

黒が死ぬか、生き残るか。

赤が勝つか白が勝つか。

どちらにしても、多くの人間が殺されるでしょう。

同じクラスの人間によって。

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