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二話:生贄選び

クラスの人数が変動しました。

先生含め 35人から第一のゲームでの脱落者は3人です。

現在32人

では、本編どうぞ~


 西田の叫びを打ち消すかのように再び鳴るチャイムの音に西田は苛立ち怒鳴りつけた。

「もう終わったじゃねぇか!」

『皆さん、次のゲームを始めましょう』

「わけわからねぇよ。終わったじゃ……ねぇか」

 いままで一度も泣かなかった西田が泣きながらにそう訴えた。

「このゲームはそう簡単には終わってくれない……」

 そう菅原は呟いた。

「知ったかぶりやがって! お前なんなんだよ!」

 西田は感情的に菅原に当たる。

「健二! 落ち着いて!」

 佐藤が止めようとするが西田は続ける。

「クラスメイトが死んでるんだぞ!? 分かってるのか!?」

「分かってるさ。俺はこのゲームに参加するのは二回目だから」

 その事実に驚き、西田は声が出なくなる。

「えっでも……いままでこんな風に死んだ人が出たんなんてニュースでも見たことがないですよ……」

 思いっきり泣いた後の赤くなった目と小さな声で井上は菅原に訴えかける。

「あぁ、ゲームに関する記憶は勝者以外失われ、ゲームで命を落とした人間は生き返る」

「じゃあ、何も恐れる必要ないんじゃないの?」

「見かけ上、そうであるだけで自分自身は本当に死ぬ。代わりにドッペルゲンガーがその後の自分を演じるんだ」

(つまり自分が自分であり続けるには生き残るしかないと)

「生き残った場合どうなるんだ?」

 だれかが聞いた。

 そして菅原はポケットから一つの人形を取り出して見せる。

「命の残機とでもいえるような物がもらえる」

 菅原のポケットから取り出された人形はピエロのような顔をした照る照る坊主の形をした黒い人形。

 不敵な笑みを浮かべ、額には「1」と描かれている。

「なんだよそりゃ?」

 西田は、まじまじと人形を見たあとにそう言った。

「実際、これを持ってた人が死から蘇ったなんて話は聞いたこともないがな……」

 そういって菅原は人形をしまうと、その辺りにあって椅子に腰掛ける。

『みなさん、第一のゲームのクリアおめでとうございます。 31名からスタートしたこのゲーム、現在28名となっております』

 淡々とそう事実を突きつけられ西田は無意識に歯軋りをする。

『第二のゲームを説明します。一号棟の屋上にある貯水タンクに、右手 右足 左手 左足 生首をそれぞれ違う人間から引き離しそれを入れてください。なお45分後、足りない部位の数だけランダムでプレイヤーが失血死します』

(生首って……死ぬ人間を選べってことなの!?)

「このゲームは簡単だな……」

 菅原はそう呟く。

「ど、どこが簡単なんですか!? これ……確実に1人、下手したら5人も死んじゃうじゃないですか!」

 井上は、泣きじゃくるように菅原に反抗する。

「今、手元に死体が2つある、これで二つのパーツはそろってるからあと3つだ。無論、首は死体からとればいい」

 菅原は淡々と述べる。

「それなら、坂木の死体も使ってやってくれ」

 坂木と仲のよかった男子、坂木が死ぬ寸前まで帰ろうとしていた人の1人でもある武田はそう菅原に頼む。

「これであと二人だ」

「ちょっと、待ちなさい。そんな危ないこと教師として認められません」

 小柄な女性教師はそう全員に言い聞かせようとする。

「先生、今はそういっていられる事態じゃないんです。やらなければまた誰かが死んでしまう」

 そう反論したのは委員長でもある田中であった。

「わかってます……ですから私が生贄になります」

 先生の言葉に皆が凍りつく。

「これであと1人だ。いないと思うが立候補する奴はいるか?」

 誰もが口を開けない。

 なかにはきょろきょろと辺りを見回す者もいれば、うつむき続ける者もいる。

「お、俺が行く」

 静けさを打ち破ったのは田中であった。

「おい、やめろ! お前それ委員長だからやるって言うんじゃないだろうな!?」

「いや、これは自分の決断だ」

 止めようとする西田に、田中は首を横に振る。

「決まったな……どうやって切断するかだが……」

 先へと進めようとする菅原の襟元を西田がいきなり掴む。

「おい、お前! 自分で言ってることがわかってんのか!? 春時が、先生が、どんな気持ちで生贄に自らなろうとしたかわかってんのか!?」

「落ち着いて健二!」

 佐藤は止めようと西田の腕を掴むが、すぐに振りほどかれてしまう。

「自分だけが助かればそれでいいのかよ!? 委員長達がどうなろうといいのかよ?」

「一度本人達が決めた決断だ。そんなことを言ってる間にもタイムリミットは迫ってくる。どうにかして切断する方法を考えないと……」

 あくまでも冷静な菅原を西田は一発殴りかかる。

「俺たちはまだ運の良いほうだ。このゲームにしちゃ簡単すぎるんだよ今回は」

 顔面を狙った拳を左手で受け止め、素早く右手を握り締めて西田の腹部にめり込ませる。

「うぐっ……」

「健二!」

 佐藤はそのまま倒れかける西田を受け止め抱きかかえて後ろに固めた机の近くにそっと避難させた。

「俺たちは最初のゲームでお前たちが出て行った後なにもしなかったわけじゃない。その中で気づいたことがいくつかある聞いてくれ」

 田中はギルティー・ゲームのルールブックと携帯を取り出し、話を始める。

「まず一つ目に、携帯はみんな気づいていると思うが圏外でネットもメールも通話もできない。だが、この空間にいる相手なら……」

 そこまで言って田中が指示すると近くにいた背の高い男子、中島 海渡(なかじま かいと)は二つ折りの携帯を開け数回ボタンを押した。

 すると中島の隣にいたショートボブの女子、織本 香織(おりもと かおり)はスカートのポケットから携帯を出して通話にでる。

「かいくん、聞こえるよ」

「こんな風に連絡が取り合える、メールの方も同じだった。つまり、これを使えば緊急時も連絡がとれる。なにかあったときのために時間があるうちに全員メアドと電話番号を交換しててくれ」

 田中がそういい終えると携帯を出していた二人は携帯を閉じてしまう。

 そして壁にもたれて腕を組んでいた腰のあたりまで髪の毛を伸ばした女子、梅野 朱里(うめの じゅり)は閉じていた目を開いてクラスの中央あたりにいる田中たちの輪に加わる。

「ルールブックの話は私からすればいいのかしら?」

 梅野がそう聞くと田中はうなずいて、皆を見渡す。

「このルールブックは読んだ人なら分かると思うけど、6割方が白紙だった。最初に書いてあったのはギルティ・ゲームの基本ルールと第一のゲーム……“死人狩り”の詳細について」

「白紙……」

 その言葉を聞いて一度目を通した井上はルールブックの中身を思い出す。

「だけど、第二のゲーム“生贄選び”が始まった瞬間、白紙だったページに文字が現れたのよ。“生贄選び”の詳細とルールが……」

 その言葉に、佐藤と井上はかなり驚く。

「ま、紙が黒いから白紙じゃなくて黒紙だけどなー」

 男子にしては小柄な斎藤 章人(さいとうあきと)は静まり返る教室の中でそう呟く。

「茶化さないで」

「へーい」

 斉藤は梅野に睨まれて、一瞬すくむがあまり気にしてないらしく動じたような気配はない。

「まぁその、“生贄選び”のルールの一部にこう書かれているわ。『この場所にあるものだけでは不便である為に、切断アイテムをランダムに設置されている』と。つまり、ここからは携帯で連絡しながら切断アイテムとやらを探さなきゃいけないわけ」

「それなら3人ずつぐらいに分かれて、探しに行こう」

 飛田明里(とびたあかり)はそう提案する。

「先生と春時、それから佐藤と井上は西田を置いてくからここでまっててくれ」

 中島はそういって残るクラスメイトを集めて組を作らせる。

「そういえば、坂木君も必要じゃないのこれ?」

 佐藤は思い出したかのように坂木の名を口にする。

「そうだな……西田もこんな状況だし俺が行くよ。逃げやしないさ」

「……同行しよう」

 委員長の田中がクラスから出ようとすると、いままで無言であった菅原が動く。



 そして、クラスからほとんどの人がいなくなり静まり返る。

 佐藤は携帯を確認し新しくもらったメアドを確認する。

「さ、佐藤さん……なんでこんなゲームがあるんでしょうね……」

 井上は俯きながらも話題をふる。

「これを何処かであのスピーカーから聞こえてくる声の主が閲覧してると思うと一発殴ってやりたいよ……」

「あの人、ゲームマスターさんもこの学校内にいるんですかね……」

「ねぇ、もしそのゲームマスターを見つけて捕まえればゲームはどうなるんだろう」

 佐藤の言葉を聴いた瞬間、先生はすぐさま教室を出ようとする。

「先生! ここを出ちゃダメですよ。とりあえず、怪しい人がいたら捕まえるように全員にメールしますから」

 佐藤は先生の腕を掴みそう説得する。

「そう。ありがとう」

 先生はそう悲しげに答え教卓の前に座る。

「う、うぅっ」

 しばらくして、目を覚ましたのは西田だった。

「健二! 大丈夫?」

「あ、あぁ。みんなは?」

「切断する為のものを探しに行きました……」

 そう答えたのは井上だった。

「とめなきゃ……」

「もう決まったことなの……諦めて。死なないだけましなの。もう誰も死んじゃいけないの……」

 佐藤は涙声になりながらも西田に抱きつき西田を止めようとする。

「わかった……」

 心では納得していないであろう言葉を西田は出す。

 西田はその後無言で考え続けていた。

 自分が田中の代わりに生贄になったほうがよいのではないか? と、だがそれを言う覚悟も度胸もなくただひたすら悩んでいた。

「戻ったぞ」

 不意に田中の声がして西田は入り口に視線を向ける。

 そこには、ぐったりとして全く動かない坂木を背負った菅原と田中がいた。

「死因はおそらく心臓麻痺だ」

 そう言って、菅原は田中から坂木を完全に預かり焼死した二人の横に寝かす。

 そのすぐ後に佐藤、井上、田中の携帯に一通のメールが送られてきた。

「海渡からか。《美術室で見つけた。全員美術室に集合してくれ。琢磨が教室に行って死んで行った奴らを運ぶのを手伝うから教室組は待っててくれ》だとよ」

 田中はメールを読み終えると携帯をしまい、近くにあった椅子に腰掛けた。

「先生……大丈夫ですか?」

「う、うん。大丈夫よ」

 先生はそう答えるが息は荒く目の焦点は全く合っていない。

 先生ほどではないが、冷静を装ってる田中もやけに汗をかいているように見える。

「切り落とすなら足はやめておけ。生存率が下がるからな」

 そう、田中の方に手を乗せて菅原は呟いた。

「おーい。はぁはぁ」

 息を切らしてそこに現れたのは、少し太り気味だががっちりとした体格の日焼けした黒い肌の男子、秋山 琢磨(あきやま たくま)であった。

「来たみたいだな。健二も運ぶのを手伝ってくれ」

 田中にそういわれると健二はしぶしぶ焼け焦げ肉体的な柔らかさを失った渡邉 錬を抱える。

 そして佐藤たちは三人の死体を美術室まで運んだ。



「なんなんですか……これ……」

 井上は思わず声を出した。

 美術室の真ん中には、血のような赤い液体で書かれた不気味な魔方陣の上に二つの大きな柱。

 その金属製の柱の天辺にはギラリと光る刃物が吊り下げられており、下のほうには人の頭が一つ入るほどの穴の開いた二枚の板が柱の間に挟まっている。

 二枚の板の隙間のちょうど上に光る刃物があるというこの形は、まさに処刑器具そのものであった。

「なんでこんなもんが学校にあるんだよ……」

「ほかにもこんなのも……」

 息を呑む西田の元に、普段から優しそうな顔をした男子、白井 信吾(しらい しんご)は明らかに同様しつつ両手で持ってきた大きなチェーンソーを見せる。

「それは、俺と信吾がコンピュータ室前ロッカーで見つけてきたもんだ。ロッカーの中はここと同じで魔方陣が描かれてた」

 背の高い中島は隣にいる織本の手を握りながらそう答えてくれる。

「先生、俺両利きなんで先生は左手を斬ってください。俺は右手を斬るんで」

「じゃ、じゃあ私からやるわ……」

 気づくとみな残酷なものを見たくないのか気づけば美術室に残っていたのは、佐藤、西田、井上、菅原、田中、秋山、梅野、中島、斉藤、先生と10人だけであった。

 先生はゆっくりとギロチンの首を入れる穴に左腕を通してゆく。

「行きますよ」

 秋山は先生の腕が完全に入ったところで、レバーを引いた。

 途端、今までロックされていた刃が落ちスッパリと先生の腕を肩の根元から丸ごと斬る。

「きゃぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁぁぁっああっあああああああああ」

 どこまでも甲高い声が轟き、どばどばと止まることの無い赤い液体が床を染め上げる。

「せ、先生、落ち着いてください! え、えーと、腕を心臓より高く上げてくださいすぐに止血しますから!」

 井上はすぐさま、ゴムバンドと包帯を取り出し先生をギロチンから放す。

 菅原はおもむろに近寄り、体から切り離された血の滴る左腕を持ち上げ、元から美術室にあったであろうブルーシートの上に投げた。

「もうそれほど時間がない……田中いけるか?」

「あ、ああ」

 菅原に声をかけられた田中は明らかに恐怖で体が固まっていた。

 普段お調子者である斉藤はグロさに耐えかねたか、水道の方に駆け込み逆流する胃酸を吐き出している。

 田中はギロチンの刃が上に戻っていくのを確認すると、目を瞑り右腕を二枚の板に空いた穴へと突っ込む。

「さぁ、やってくれ!」

 田中は恐怖を吹き飛ばすかのように叫んだ。

「すまん」

 秋山はそう小さく呟いてレバーを引いた。

 ザクッという音とともに田中の腕は切り落とされ、先ほどの先生の血と滴る田中の血が混じる。

 微妙に色の違う血が混じり、絵の具の上に違う絵の具を混ぜたかのような血の水溜りがゆっくりと大きくなってゆく。

「あ……あぁ、うぐっ……あぁああ」

 田中は叫ばぬよう歯を食いしばるが喉からこみ上げる痛みに答える叫びが少し漏れ出す。

「春時! しっかりしろ! 今止血してやるからな!」

 西田は痛みに耐えかね倒れかける田中を受け止め声をかける。

「海渡! 琢磨! 手伝ってくれ!」

「おう!」

「春時死ぬんじゃねーぞ!」

 西田に呼ばれた中島と秋山はすぐさま包帯を持って駆けつける。

「さ、佐藤さんと梅野さんはこっちを手伝ってください……」

 それは先生を手当てしてた井上は二人を呼び出す。

「わかった。どうすればいい?」

「……そっちより、今しなきゃいけないのはあと3つのパーツを切り離すことじゃないの?」

 手当ての手伝いに向かう佐藤とは真逆に手伝う気を全く見せない梅野は冷徹な言葉を発した。

「そうだな。なら梅野は渡邉の頭を抑えておいてくれ」

 そう菅原が指示すると、いままで遠くの方で壁にもたれて腕を組んでいた梅野はしぶしぶ動き、連れて来られた渡邉の焼死体の頭を固定する。

「いくぞ……」

 ギュイィィィンという音を響かせながら、歯切れの悪い音が何度も続く。

 それは肉を何度も切り裂く音、回転する刃によって斬り進められていく音であった。

 血は少量ずつ静かに傷口から流れ出てゆく。

「次だ」

 菅原は続いて麻田と坂木の足を切り落とす。

 梅野は指示されるごとにそれを手伝うが、既に死んでいる為か斬ってもほとんど血は飛ばない。

 だが斬られていることには変わりなく、切り口は中央に白い骨とそれを包む赤い肉が見える。

 佐藤は急に胃の中の物が逆流してくる感覚に襲われ思わず口に手を当てた。

「ブルーシートに全部のパーツを包んで屋上に行くぞ……」

 そう菅原が言うと、梅野は無言で美術室を出てゆく。

「健二、ここは俺らに任せていって来い。菅原や梅野みたいな何考えてるか分かんねー連中だけじゃ心配だからな」

 中島はそういって西田の代わりに田中の傷口を押さえる。

「佐藤さんも行ってきてください。先生は私がなんとかしますから」

「わ、わかった……」

 気分の悪そうな佐藤を見兼ねたのか井上はそう言った。

 だが、まだ美術室にいたほうがよかったと後悔するとは佐藤も井上も思ってはいなかった。

 美術室から一度、職員室で屋上の鍵を取った後、三階階段にあるはしごを上り、菅原、梅野、西田、佐藤、そして美術室には入らなかった数人の男女が屋上へと駆けつけた。

 そこにあったのは白い円柱のようなタンク。

 だが、周りには悪趣味な赤い絵の具か何かで書かれた魔方陣。

 菅原はタンクに近寄り、ブルーシートを広げる。

 渡邉の生首、田中と先生の腕、麻田と坂木の足が無造作に置かれている光景を見て、佐藤は再び口に手を当て目をそむける。

 悲鳴や怒りの声、さまざまな音が飛び交う中で冷静にいたのは菅原と梅野だけであった。

 タンクの周囲に設置された上部の蓋を開けるためのはしごを菅原は上ってゆき、蓋を開けた瞬間固まった。

「ッ…!」

「どうかのしたのか?」

 それを見て、西田は苛立ちながら菅原に問いかける。

「既に死体が入ってる……。四肢の無い胴体だけの死体が。それにタンクに貯められてる水が赤黒い、下が見えないほどに」

「!?」

(どういうことなの!? それは誰かが誰かを殺していれたってこと? クラスの中に執拗とされてないことを犯して心の中で笑ってる人がいるってことなの!?)

 佐藤は混乱して周りを見渡す。

 菅原ですら動揺しているこの空間、皆が怯え、怒りで心を煮えたぎらせ、悲しみで体を冷たく冷やしている中でただ1人冷静な女がいることに佐藤は気づいた。

「梅野さん、なにか知ってるの?」

「今は気にしなくていいわ。そういう仕様よ」

 佐藤にはその言葉の意味がよく分からず戸惑うばかりであった。

 数分が経過した後に菅原はブルーシートから腕を一本持ち出し、片手ではしごを上ってゆく。

 そして、タンクへとその腕を投げ込むとゆっくりと降りてくる。

 それを見て西田はタンクの方へと向かう。

 佐藤は西田が菅原を阻止しにいくのではないかと思いすぐに追いかけた。

「ちょっと、健二……気持ちは分かるけど」

「分かってる。大丈夫だ」

 西田はそう返してタンクの前に立つ。

「菅原、落ちるなよ。俺が渡してやるから」

 西田はそういって、ブルーシートから残る腕を掴みタンクに近づいて菅原へと渡す。

「……あぁ」

 菅原は相変わらず無愛想なまま、西田から渡されて再び上ってゆく。

 何度かそれが繰り返され最後に渡邉の生首を西田は手に取りゆっくりと手でまぶたを閉じさせる。

「死んでからもこんなことしてごめんな」

 西田はそう小さく呟いてから、生首を菅原に渡した。

 全ての生贄がタンクに入れられ、菅原がタンクの蓋を閉めたところでチャイムが鳴った。

クラスメイトも少しずつ動き出し、死者への冒涜が始まる2話はいかがでしたでしょうか?


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