FILE5〜合流〜
その女性はどこまでも続くかとも思える無機質な道を走っていた
カッカッカッカッカッカ
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
広い
広すぎる
「もう、こんなことならアリスかジジイにしっかり聞いておくんだったわ。」
今更の事に軽い自己嫌悪を抱いたが
(どうせ今度も聞かないんだろうな)
やっぱり反省はしていなかった
「とにかく、早く行かないと・・・」
不覚にも敵の陽動に引っかかってしまい、(実際は考えずに一人突っ走った結果だが)
はぐれてしまった彼女は、先ほどの大きな力の元に向かう事にした。
おそらくアリスもジジイも向かうところは同じだろう
「あんな大きな力・・・いったいどんなサイズのSKをとったのかしら?」
当然の疑問
ルークSKをとったアリスでさえあんな力は出せない
じゃあ誰が?アレックスではないことは確かだが・・・
「あ〜っ、もう!考えるのはヤメヤメ、行けば分かる!」
もともと考えるタイプではなかった彼女は、
脳を働かせることより足を動かすことにした。
「ん、見えた! あそこは・・・第八研究所!」
そう言うと彼女は担いでいたレールキャノンを構えた
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「じゃあな、愚民」
どうする? 考えろ、考えろ、考えろ!!
まずこいつに勝つのは無理だ
なら逃げろ、でもどうやって?
自分の体はこの化け物の腕に貫かれている
「───しかし、せっかくだ、もっと俺の力を見てから逝け」
「それは、、、楽しみね」
普通なら時間を稼ぎたいところだが
出血の激しさからそうもいかないようだった
(少なくともこの手を離せれば逃げられるはずよ・・・)
そんなことを考えていると、人の足跡が聞こえてくる
やがて足跡は止まり、今度は大きな電子音が聞こえてきた
「ふん、来たか」
「?」
アレックスの見る方向でレールキャノンの発射音とともにドアが粉砕する
「残念だがここまでのようだ。下手に俺が力を使ってあいつに死なれても───困るのでな───」
そう言うとアレックスは糸の切れた人形のように倒れこむ
その2〜3秒後ドアの外から突っ込んできたのは
「アレックス!! 大丈夫!?」
レイナだった
「化け物の次は増援? ついてないわね・・・」
「ア、アレックス・・・まさか、あなたがやったの!?」
もはやレイナは傷ついたアレックスしか見えていなかった
たとえ、下腹部に大きな穴の開いた人間が居ようと
「あなた、私たちの仲間に何をしたの?」
「・・・」
「ねぇ、答えて いや、答えろ」
おそらく彼女からも殺気が出ているのだろうが、
化け物の殺気のせいで感覚が麻痺しているため、実際はわからない
「ありがとう」
「え?」
「あなたのおかげでこの化け物の手を離せたわ。」
「化け物?ふざけないで!」
「フフ、まぁあなたもこの化け物に殺されないようにね?」
そう言うと彼女から暴風が巻き上がった
「!! くっ待て!」
彼女が叫んだ時のはすでに消え去った後だった
「・・・もう居ないか。 そうだ! アレックス!!」
どうやら息はしている ただ、体の損傷が激しい
「アレックス!? アレックス!?」
「・・・ロクサス」
「え?」
「ロクサスはどこだ?」
起きて初めに呼ばれた名前が自分ではないことに腹が立ったが
「今ここに居るのは私とアレックスだけよ」
「逃げられたか・・・うぅ」
「大丈夫?」
「このくらいならいつものことだろう?それよりそこにおっさんが居ないか?」
アレックスが指を指したその先には少しこげた白衣の中年が倒れて居た
「もしそいつが死んでなかったら詳しい話はそいつに聞いてくれ 俺は・・・寝る」
「ちょ、ちょっとまだ寝ないでよアレ───ス ア─────」
レイナが何か言っていたが、アレックスの耳には聞こえない
そして、アレックスは心地よい闇に身を落としていった