表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始まりの木と言葉が咲く場所  作者: Takara yume


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/60

最後の朗読

午後は、もう少し長く居座ろうとするかのように、ゆっくりとした流れになった。木の枝にはまだ文字が残っていたが、今は誰かがそれを読み上げるのを待っているようだった。

柚月は祭壇の前に座り、ノートを開いた。彼女は何かを書こうとしていたのではなく、すでに空気に刻まれているものに耳を澄ませていた。春樹は小さなランプに火を灯し、颯太はその傍らに腰を下ろした。鐘の音が柔らかな音色を奏でていた。


蓮は今朝咲いたばかりの葉っぱを一枚手に取った。サインはなく、ただこう書かれていた。「ここまで来たのなら、君はもう私たちが守っているものの一部だ」。彼女はゆっくりとそれを読み、静寂もまた、まるで参加したがっているかのように応えた。


柚月はノートにこう書いた。


「手紙は読まれても終わりではない。聞く人の息づく伴侶となるのだ。」


風が開いたページを揺らし、それぞれの文章がそれぞれ異なる読者を求めているようだった。春樹は、記憶の中に既に居場所を見つけているので、行き先を必要としない言葉もあると付け加えた。颯太は、言われたことが全て理解されたことを確認するかのように、一度吠えた。


夜はゆっくりと更けていった。木はランプの光に照らされ続け、文字は花びらのように散り続けた。誰もそれを拾い集めず、片付けることもなかった。なぜなら、文字はすでに木の中にあったからだ。


その日、彼らは最後の朗読が終わりではなく、移行期であること、言葉が書き記されなくなっても残る記憶への一歩であることを悟った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ