橋としての言葉
市場で、年配の女性が柚月に「still」という言葉が刻まれた石を手渡した。彼女はこう綴った。「この言葉は、私に触れることなく、私を包み込んでくれた。そして私は、この言葉の中に留まることにした」。その後、彼女はノートの中に、約束が書かれた折り畳まれた紙を見つけた。「もしも自分に迷いが生じたら、このページに戻って。ここで、あなたは進み続けると自分に誓った」。春樹は何も聞かずにそれを読み、颯太は鼻で端に触れた。そして柚月は、証人がいない約束でも守れるのだと理解した。
川辺では、誰かが彼女の名前を石に刻んでいた。柚月はそれに触れ、こう綴った。「私の名前は、ただ呼ばれているだけではない。私が忘れてしまった時に、世界が私を抱きしめる方法なのだ」。丘の上の家には、訪れる人への言葉が残されていた。「もし誰かが何かを探しに来たら、この言葉が、彼らが一人ではないことを伝えてくれますように」。
寺では、僧侶が無言で読経していたが、それぞれの音符に隠された言葉が込められているようだった。春樹は、前日に柚木が書いた言葉を詠唱していたと言った。柚木はこう書いていた。「言葉が歌になるのは、誰かが紙の向こう側でそれを感じようと決めたからだ。」
このエピソードは、言葉が橋渡し役であることを示している。アイデンティティと記憶、沈黙と仲間、書くことと歌を繋ぐ橋渡し役だ。




