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音楽は永続性を持つ
これはエピソード「夜」に該当します。
柔らかな光が差し込む午後が訪れた。春樹は古いフルートで和音を奏で、結月は見ずに音符を書き、颯太は風が音符に合う時だけ吠えた。メロディーは作られたのではなく、発見されたのだ。結月は歌った。「世界が私たちを邪魔しなくなった時、私たちは音色を奏でる」。春樹は驚いて歌を止め、颯太は振り返って横になった。
その後の数日間、結月は子供の頃から聞こえてきたようなメロディーを口ずさんだ。シンプルな歌詞はこうだ。「私はここにいる。あなたが私を見なくても、私はあなたの中でまだ演奏している」。歌は必ずしも生まれるものではない、と彼女は書いた。時には、歌は私たちに、決して去らなかったことを思い出させてくれる。
雨の中、結月はこう書いた。「説明を求めずとも抱きしめてくれる歌がある。そして、聞かれる前から抱きしめてくれる歌もある」。春樹はフルートの音を自然に響かせるよりも長く持続させ、言葉にされなかったすべてのことを理解した。
このエピソードは、歌うことは残ることであり、音楽は言葉では表現できないものを保持し、すべての音符は共有された記憶であることを示しています。




