手紙
池へ続く小道で、柚月は平らな石の上に置かれた折りたたまれた手紙を見つけた。「君の名前は知らないけれど、君の歩き方を見ていると、愛はまだ道を見つける術を知っているんだと思えた」。春樹は手紙が自分に似ていると言い、柚月はそこに書かれた言葉に自分自身を重ね合わせたかのように、それをノートに書き留めた。
その夜、彼女は送らなかった返事を書いた。「多くの人が口に出さないことを言ってくれてありがとう。私も、確信を持たずに歩くことさえ美しいと信じて、ここをさまよっています」。春樹は許可も得ずにそれを読み、手紙は去る必要はなく、ただ存在するだけでいいと確信した。
若い木の根元で、二人は文字のない、ただ丁寧に折りたたまれた紙の手紙を見つけた。それを開くと、風が吹き、浮き彫りになったメッセージが浮かび上がった。「何も言うことがないなら、ここで言わなくても僕のことを想っていい」。柚月は、何も言わないことも出会いだと書いた。
その後、二人は畳の上に手紙を広げ、円を作った。春樹は色別に並べ、颯太はうやうやしく匂いを嗅いだ。その中に、ずっとそこにあったかのような手紙が出てきた。「もし誰も自分に手紙を書いてくれないと思ったら、手紙の中には何年もかけて辿り着くものもあることを思い出してほしい。そして君は…そんな道の一つなんだ。」柚木は静かに泣き、春樹は彼女と歩いたことも手紙だったと書き、颯太は輪の真ん中に横たわり、部屋は生きた手紙になった。
古い書斎には、散らばったページが柚木について書いてあった。「君がもう知っていると思って書くこともある。でも、それでも言うよ。沈黙にも、手紙による友情が必要だから。」春樹は、誰かが彼女に手紙を書いてくれたとコメントした。あまりにも彼女を愛していたため、自分の名前も忘れてしまったのだ。
このエピソードは、ある啓示を凝縮している。手紙には受取人が必要ない。なぜなら、読者自身が答えとなり、手紙という言語は、書き手と受け取り手の間の静かな出会いだからだ。




