表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始まりの木と言葉が咲く場所  作者: Takara yume


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/60

思い出のカフェで

道は彼らを、地図には載っていないが、まるで彼らを待っていたかのようなカフェへと導いた。中に入ると、テーブルは滑らかな木の板で作られ、音楽は流れていなかった。ただ、名前も聞かずに微笑む年配の女性が一人いた。


メニューには普通の飲み物ではなく、ただ「過ぎ去ったもののために」「まだ傷ついているもののために」「名前のわからないもののために」「何を待つかもわからないまま待つ人のために」といったフレーズが並んでいた。柚希は最後のものを選ぶと、カップの底に「まだ」という文字が浮かび上がった。春樹は「過ぎ去ったもののために」と注文し、本当にあったのかどうかわからない午後のような味だが、それでも笑顔になれると言った。爽太は空いている椅子に腰を下ろしたが、誰も彼を助けなかった。そこには、存在しなかった記憶さえも居場所があったのだ。


カウンターの上には、折りたたまれた紙の箱が置いてあった。柚希は温かみのある一枚を受け取った。「もしあなたがこれを読んでいるなら、あなたはまだ、自分の名前が付けられているとは知らなかった、美しい何かを語ることができるでしょう。」春樹は肩越しにそれを読み、颯太は小さく吠えた。すると、まるで文章がスプーンの間に居座ることを選んだかのように、空気がまるで見えるようになった。


女性は何も聞かずにもう一杯注いだ。「理由も分からずに書く人へ」。柚希はノートに書いた。「今日は自分のことを理解したくない。誰かが私を何と呼べばいいのか分からずに読んでいるかもしれないから、ただ書き続けたいだけ」。


カフェは、飲み物が感情であり、テーブルが沈黙に包まれる場所であることを明らかにした。コーヒーを出す場所ではなく、許可を出す場所だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ