時間と移行
木のそばで過ごす時間は、もはやカレンダーではなかった。日々は数えられず、感じられるものだった。結月は時計を見ずに目を覚まし、春樹は影が特定の角度に達するとお茶を淹れ、颯太はまるで目に見えないリズムを体で感じ取るかのように、長く眠り続けた。
この静寂の中、海人が現れた。彼の自転車には長旅の跡がまだ残っており、視線は以前よりも澄んでいた。彼は慌てて来たのではなく、存在感を持って現れた。結月は思わず海人を抱きしめ、春樹はお茶を差し出し、颯太はまるで輪が完成したことを知っているかのように、二人の間に腰を下ろした。
二人は一緒に木のもとに戻った。海人は、海人に会う前に海人の夢を見ていたと告白し、結月は根っこに何年も閉じ込められていたため息を感じた。木は文字を宿しているだけではない。誰も読み方を知らなかった文字の一部が、そこにあったのだ。
夜は決意もなく、しかし新たな目的を持って訪れた。結月は新しいノートを書き始めた。前のノートがいっぱいになったからではなく、彼女の魂のリズムが変わったからだった。夜明けとともに、畳の上に一通の手紙がぽつんと現れた。残してきた以上のものを持って帰ってきたことへの感謝の言葉が綴られていた。柚木は答えた。「私たちは思い出を守り、沈黙を守りました。そして、愛しい木よ、あなたも私たちを守ってくれました。」
木は彼らのためだけに花を咲かせ、時間は計り知れない、ただ共にいるだけであることを示していた。




