ある日、ため息と歌声
その日は希望にかなっていた。
ドアのそばの花が花びらを閉じ始めた。死ではなく、休息のためだ。
柚希は近くに座った。颯太もそれに続いた。春樹はオレンジの皮を入れた温かいお湯を用意した。
彼女は茎を撫でた。
「来てくれてありがとう」と彼女は言ったが、悲しげな声色ではなかった。
春樹が飲み物を持ってきてくれた。
そして、帰る時間を知っていてくれてありがとう。
柚木は書いた。
「季節は、消えることなく別れを告げる術を知っている。
記憶にも、それぞれの天気があるから。」
ノートはひとりでに閉じた。
まるで誰かが理解したかのように。
空気が澄み渡り、声は低く、色彩は美しさを失うことなく薄れていった。
柚木は柔らかなスカーフを首に巻いた。颯太は暖かさを分かち合おうと近づいた。春樹は言い訳もせずに火をつけた。
柚木は書いた。
「寒さは痛みを与えるためではない。静寂もまた旅の一部であることを思い出させるために来た。」
火は、誰も理解できない言葉を灯した。
しかし、誰もがそれを感じた。
彼らは季節のノートをめくった。
春には絵が描かれていた。
夏には味覚が描かれていた。
秋には長い文章が書かれていた。冬、行間が空く。
柚木はノートを閉じた。
春樹は彼女を見ていた。
どれが一番好きだった?
何を言いたいのかわからなくても、書けるノート。
颯太はノートの表紙に頭を乗せた。
そしてその日は、誰にも聞かれることなく…
日曜日になった。
ノートには白紙が一枚だけ。
柚木は何時間もノートを空けたままにしていた。
それから彼女は書いた。
「これはまだ存在しない駅のために。
でも、駅はもう私のことも大切にしてくれると知っている。」
春樹は付け加えた。
「過ぎゆく季節もまた、私たちの中に書き記す。
インクではなく、存在によって。」
颯太は吠えた。
一度だけ。
まるでそのページが…
すでに完成していたことを知っていたかのように。
旅は終わらなかった。
でも季節は終わった。
カレンダーではなく。
優しい別れとともに。
柚木はノートをしまった。
リュックサックの中にはなかった。
触れてはいけないけれど、大切にしたい思い出の棚に。
春樹は新たな火を灯した。
颯太は閉じたノートの隣に横たわった。
そして外からは、天気が…
彼は三人の様子を観察していた。
世界としてではなく、物語として。




