睡眠は休憩ではなく会話だった
夜は急なこともなく訪れた。
柚月は何も考えずに横たわった。颯太は彼女の足元にいた。春樹は隣の部屋にいたが、すぐ近くにいた。
天井が語りかけた。
言葉ではなく。
まるで夢の一部になりたいかのように、きしむ音で。
柚月は初日のホームに戻ってきた夢を見た。
しかし、それは同じではなかった。
今回は、誰かが彼女を待っていた。
颯太ではない。春樹でもない。
ノートを手に、言葉のない歌を瞳に宿した誰か。
彼らは近づいてきた。
そして、彼女の名前を呼んだ…
忘れてしまいそうになったその時…
村はゆっくりと目覚めた。空は慌てず、屋根は微動だにせず、挨拶を囁くように聞こえた。颯太はすでに立ち上がり、今日がただの日ではないと知っているかのように、ゆっくりと廊下を歩いていた。
ユズキは赤いリボンをかろうじて結んだノートを抱え、階下へ降りていった。ハルキは敷居の脇で彼女を待っていた。太陽はなかなか地平線に沈まないようだった。
「今日は誰かが君のことを覚えているだろう」と彼は言った。
「誰だ?」
「君はまだ知らないだろう。だが、彼らはもう君のことを覚えている。」
宿屋の主人は二人に古い封筒を手渡した。名前も日付もなかった。
中には、黄ばんだ紙切れが1枚入っていた。
「名前は叫ばれない。魂が恐れることなく応えるまで、ささやき合うのだ。」
ユズキはそれをノートにしまった。ポケットではなく、書かれていない章の中に。
ソウタは吠えた。
一度だけ。
そして、村の別の場所で、誰かが顔を向けた…
理由は分からずに。




