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天井が意図せず秘密を隠していた場所
宿は簡素だった。温かい畳。障子のかかった窓。低いテーブルに、すでに湯気の立つやかんが置いてあった。
係の女性は何も聞かずに二人を迎えた。
「迷子でなければ、いつでも泊まれますよ」と彼女は言った。
春樹は荷物を整理もせずに置いた。颯太は、ここが自分の部屋だと分かっているかのように、ドアのそばに横たわった。柚希はノートを開いた。何も書かず、ただ空気に身体を包まれた。
彼女は二階に上がった。階段が、まるで段数を数えるかのようにきしんだ。
二階の屋根の下に、彼女は箱を見つけた。小さな木製の箱だ。彼女はそれを開けた。
中には宛名のない手紙が入っていた。
一通にはこう書かれていた。
「もしこれを読んでいるなら、それは私たちがあなたのことを忘れていないからです。名前は知らないけれど。」
柚希は微笑んだ。なぜなのかは分からなかった。
しかし、彼女は天井が壁よりも多くのことを知っていると感じました。




