忘れることが脅威ではない場所
夜明けは、いつもと違う光をもたらした。
暖かく。
安全になった。
結月は橋へと歩いた。
最初の日に渡ったのと同じ橋だ。
彼女は立ち止まった。
春樹が彼女のそばに来た。
僕たちは、このことをいつか忘れられると思う?
結月は水面を見つめた。
もしかしたら。でも、もし忘れるとしても、それは私たちの心のどこかで、このことを覚えているからだろう。
春樹は彼女の肩に触れた。
そうすれば、僕たちは一つになる。
颯太は待つことなく橋を渡った。
そして、聞いたことのないメロディーが二人の後を追ってきた…
でも、どこかで聞いたことのある音だった。
結月はノートを開いた。
ノートはいっぱいだった。
すべてのページ。
すべての隅。
春樹は彼女を見た。
これからどうするの?
彼女は微笑んだ。
またノートを始めなさい。
春樹はリュックサックから新しいノートを取り出した。
彼はそれを彼女に渡した。
颯太は近づいた。ベルは光ったが、鳴らなかった。柚木は最初のページにこう記した。
「これは続編ではない。より大きな何かの一部であったことを思い起こさせる、もう一つの始まりだ。」
太陽が昇った。
影がシルエットを浮かび上がらせた。
そして世界は…
まさにあるべき姿で回り始めたようだった。




