どこに泊まるかは間違いではなかった
小道は小さな丘へと続いており、半円状に並べられた石のベンチがあった。標識も、何の兆候もなかった。ただ、説明の必要もない存在がそこにあった。空は淡い青と白の間で、まるで感情を言葉にできないかのように揺れていた。
柚月は何も聞かずに腰を下ろした。春樹は彼女の隣に座った。颯太はまるで埋もれた記憶を探すのが日課であるかのように、木の根を嗅いだ。
「理由もなく、ただ気持ちいいから、どこかに留まったことはありますか?」柚月は尋ねた。
春樹はすぐには答えなかった。ポケットから枯葉を取り出した。
「ええ。でも、帰るたびに、残っていればよかったと後悔していました。」
柚月はノートを開いた。何も書き込まず、ただ開いたままにしていた。まるで窓を開けて新鮮な空気を取り入れるように。
「そして今は?」
「今はここにいたい。安心感のためではなく、そうすればどうなるか怖くないから。」
颯太は二人の間に横たわった。ベルがそよ風と調和してチリンチリンと鳴った。
柚月は目を閉じた。
彼女を去らせるものは何もなかった。
彼女をここに留まらせるものは何もなかった。
でも、初めて…
そうするのは間違いではなかった。丘の斜面に、古い郵便受けのある木造の小屋があった。塗装は色あせ、郵便受けはまるで届かなかった手紙を何度も受け継いできたかのように、傷だらけだった。
春樹は旅の初めから折り畳んで持ち歩いていた一枚の紙を取り出した。
まだ誰を待っているのか分からなかった頃に書いたものだ。
結月はそれを読んだ。名前も日付もなかった。真ん中に一文だけ。
「私がここにいるのは、始め方を知っているからではない。言葉にならない理由が、君にあるからだ。」
彼女は紙に触れた。颯太が近づいた。ベルがゆっくりと振動した。結月はリュックサックの中から白紙を探した。そしてそれを破り取った。
そこにはこう書かれていた。
「まだ答えは欲しくない。疑問を抱えたまま、傷つくことを恐れずに歩けると知りたい。」
春樹は両方を郵便受けに入れた。
そして鍵をかけずにドアを閉めた。
まるでどんな風でも彼らを吹き飛ばす価値があるかのように。




