12/27
家に帰るところ
午後は色を変えた。空はオレンジ色にも青にもならなかった。懐かしさが絵を描くことを決めた時のような光景だった。
颯太は何も求めず、目的もなく歩き続けた。柚月はもうノートを持っていなかった。まるで、縛りのない約束を背負うかのように。
春樹は優しく歌った。それは歌ではなかった。記憶に似た一節だった。
「恐れずに歩む時、恐れはまだあなたを去っていないことを思い出して。ただ、順番を待っているだけだ。」
柚月は微笑んだ。
悲しい。でも、それが真実だ。
春樹は彼女を見た。
時に、真実は必ずしも幸せである必要はない。
柚月も彼を見た。
それでも、誰かを幸せにすることができる。




