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忘却が迷い込む場所
道は枯葉で覆われていた。秋ではないのに、風はまるで季節を弄んでいるかのように、まるで許可も求めずに。颯太は前を歩きながら、時折、誰も自分のことを忘れていないか確認するかのように振り返った。
柚月は傾いた木の前で立ち止まった。名前の紐が結ばれていた。自分の名前を探したが、そこにはなかった。しかし、彼女の声に綴られたような名前があった。
春樹はノートを取り出した。彼女は一言だけ書いた。
「いっぱい」
柚月は彼女を見た。
あなたもそう感じているの?
いいえ。私もそう感じたいの。
彼女は紐に書き込んだ。指で。インクは目に見えなかった。しかし、春樹はそれを見た。
颯太が近づいた。ベルは光ったが、鳴らなかった。
忘却は何かを消そうとした。しかし、できなかった。




