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【第一章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大
第二章

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やるべきこともある

「この町の近くにもダンジョンがあるらしいので、行ってみましょうか」


 俺の目的は人に戻ること。

 そしてクリアスの目的は妹のカリンを人に戻すこと。

 

 キツソウを捕らえればカリンを戻す方法が見つかるかもしれない。

 ただ戻す方法を知っているとは限らない。

 

 それならばキツソウが何も知らないことも前提に動いておかねばならない。


「お金は大事ですからね!」


 俺の目的はともかく、クリアスの目的はお金があれば叶えられる可能性がある。

 ジェレインに手紙は出したが、すぐに届いて、すぐに返事が来るものでもない。


 当然ながら手紙の返事があるまでは暇となってしまう。

 メルドランギルドもキツソウも、ただ聞いて回るだけではこれ以上情報を得るのは難しそう。


 だからといって世知辛いもので、生きてるだけでも腹は減るし、寝る場所だって必要になる。

 宿に泊まって飯を食うだけでもお金は減っていく。


 そこでクリアスは、ちょっと冒険者として活動することを決めた。

 要するに日々の生活費ぐらいは稼ぎたいなと思ったのだ。


「‘まあ、必要だもんな’」


「‘自分も頑張りますよ!’」


 俺も賛成だ。

 ただ食べて寝るだけは暇だし、体も鈍りそう。


 動くことでキツソウたちにバレるかもしれないというリスクはあるものの、やっぱりお金は大事なものなのだ。


「ラクさんも文句なさそうですし大丈夫ですね!」


「‘別に俺だっていつも否定してるわけじゃないだろ?’」


 クリアスを正しく導いてあげる必要がある。

 ちょっとばかり天然で、ちょっとばかり世間知らずなところがあるから否定的な態度でどうにか伝えようとしている。


 文句と言われると心外だ。


「あっ、怒んないでくださいよ!」


 俺のムッとした細い目に気づいたのか、クリアスは慌てた顔をする。


「ラクさんがちゃーんと考えていることは分かってますよ! 私に足りないところをフォローしてくれてるんです!」


 まあ伝え方が限られる以上、文句ありげな雰囲気でどうにかするしかないことはしょうがない。


「あっ、ため息つかれました!」


 俺は大きなため息を一つ。

 判断を手助けしているとクリアスが認識してくれているのなら、まあいい。


「‘そろそろお前の実力も見せてもらいたいしな’」


「‘自分っすか?’」


「‘そうだよ’」


 基本的には人型タイプの魔物で、荷物持てそうだからという理由でヘルンは選ばれた。

 しかしだからといって、戦いにおいて何も期待されていないわけでもない。


 戦えるならもちろん戦ってもらう。

 その方がこれからも楽になる。


「‘ふっ……任せといてくださいよ、アキニ’」


 ヘルンはなんか良い顔をする。


「‘自分、ヘルンっすよ?’」


「‘んー、そうだな’」


「‘そんじょそこらのゴブリンとは訳が違うってところ見せてやりますよ’」


「‘……もう不安になってるのは俺だけか?’」


 いかにもできます、みたいな雰囲気を出しているけれども、できますという感じがあればあるほどなんだか不安である。

 そんじょそこらのゴブリンとは違うのかもしれないが、今のところウルサイという点以外でそんじょそこらのゴブリンとの違いは見えていない。


「‘まっかせといてくださいよぅ! アニキに自分がいてくれてよかった、って言わせてみせますから’」


「‘まあ、期待しておくよ’」


 ダメそう。

 そんな言葉を飲み込んで、俺はひとまずやる気を燃やしているヘルンを守ることにしたのだった。

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