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【第一章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大
第二章

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復讐の始まり3

「でも……どうしましょうか?」


 建物の影からキツソウたちのことを覗く。

 幸い向こうは俺たちのことを気づいていない。


 力があるならキツソウのことを力技で捕まえるが、そんなことは厳しくて別の手を考える必要がある。

 手を出せない以上はしょうがない。


 俺としてはこっそり後をつけて、どこに住んでるのかとかとりあえずの情報が欲しい。


「‘ただ……’」


 クリアスに相手を尾行しようなんてどう伝えればいい?

 少し落ち着いたとはいっても、クリアスはまだキツソウのことを睨みつけるように見ている。


「…………じゃあ、追いかけましょう! またどこかで医者としてやってるかもしれません!」


「‘……そういうところ好きだぜ’」


 悩んだ末にクリアスは一つの決断を下した。

 手を出せないことはクリアスも理解したようで、それならばキツソウのことを調べてやろうと思ったのだ。


 クリアスを騙していた時には医者として活動していた。

 同じように医者として何かしているのかもしれない。


 拠点さえ見つけられれば、一人になるタイミングもあるだろう。

 今手を出せなくとも、キツソウのことを調べて狙うことはできる。


 奇しくもクリアスの考えは、俺と考えていることは同じだった。

 不思議な共鳴とも言える。


 時に俺の頭の中を覗いているのではないか、と思うようなこともある。

 なんだかんだと考え方が似ているのかもしれない。


 ともかく、クリアスの考えは俺と同じなので反対することもない。


「‘動き出したな’」


 キツソウたちは一緒に移動し始めた。

 俺たちはキツソウの後を追いかける。


「‘何か話してるんだけどな……’」


「‘聞こえないっすね……’」


 できるなら会話も聞き取りたいところだが、人の雑踏の騒がしさはあまり大きくないキツソウたちの会話をかき消してしまう。

 俺のミミならもう少し近づけば会話も聞き取れそうだけど、あまり近づくとバレてしまうかもしれない。


「‘知られてるってのは面倒だな’」


 クリアスはフードをかぶって顔を隠せばなんとかなるけれど、俺はフードを被っていたら違和感ある存在になってしまう。

 ツノのあるウルフなんて珍しく、キツソウが見れば俺のことに気づく可能性は高い。


 変なゴブリンであるヘルンも目立つ。

 キツソウは気づかないかもしれないが、一緒にいる男たちがヘルンのことを見れば気づくはずだ。


 やはり気づかれないように尾行するためには距離を空けるしかない。


「‘おっと!’」


 キツソウたちが立ち止まる。

 俺たちも歩みを止めて、道の端に寄って気配を消す。


 何か言い争っているみたいだ。


「‘どういう関係なんだ?’」


 キツソウがため息をついて歩き出し、男たちが後を追いかける。

 対等のように見えたのだけど、キツソウの方がちょっと上の立場なのかもしれない。


「‘メルドランギルド……’」


 そのまま尾行していくとキツソウたちはとある大きな建物の中に入っていった。

 表にはメルドランギルドという看板がかけられている。


「‘冒険者ギルドの建物か’」


 見たところ冒険者たちが寄り集まって作ったギルドが使っている建物のようだ。

 建物そのものは意外と大きく、ギルドとしても決して小さくはなさそうだった。


「‘ここで何してるのかな……?’」


 その後、少し待ってみたけれどキツソウもヘルンの復讐相手も建物から出てくることはなかった。

 住んでいるのかまでは分からないが、利用している拠点であることは間違いない。


 あまり建物の周りをウロウロとしていても疑われてしまうので、俺たちは一度宿に帰ることにした。

 キツソウは怪しい連中と関わっている。


 かなりきな臭い。

 この問題は一筋縄ではいかなそうだ。

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