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【第一章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大
第二章

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変なゴブリンの目的2

「‘あいつ……バカで…………自分には逃げろって……’」


 変なゴブリンは膝を抱えて焚き火を見つめる。


「‘繋がりが途絶えて……自分は一人に……なったっす’」


 風もないけど焚き火の炎は揺れる。

 寂しさと怒りとを瞳に浮かべている変なゴブリンを見れば、契約者との関係が良かったことは分かる。


「‘そうか……ただほぼ叶わぬ夢だと思ってくれ’」


「‘なんで!’」


「‘問題が山積みなんだよ’」


 俺は軽くため息をつく。

 変なゴブリンの話は理解できる。


 気持ちも分かるし、復讐したいというのも否定するつもりはない。

 ただ、そう簡単な問題ではないのだ。


「‘そもそもお前は復讐したい相手よりも弱いんだろ?’」


「‘うっ……!’」


 俺の言葉に変なゴブリンは痛いところを突かれたような顔をする。

 そもそも、強かったのなら契約者を失うことはなかった。


「‘それは……そうかもしれないですけど……’」


 変なゴブリンは悔しそうに拳を握る。

 弱かったから逃げろなんて命令をされて、契約者を失う羽目になったのだ。

 

 契約が途切れた後も戻れば、復讐ぐらいはできたかもしれない。

 でもそうしなかった。

 

 フラフラと人里離れたところを彷徨っていた。

 復讐するだけの力がないと自分でわかっているのだ。


「‘うぅ……’」


 変なゴブリンは涙目でうなだれる。

 優しく諭してやることもできるが、そんなことでは変なゴブリンのためにならない。


「‘それにだ……俺は事情を理解したけど肝心のクリアスには伝わらないからな。なんだその顔芸?’」


 そう言われてみれば確かに。

 驚きや困惑が混じる、そんな感じの変な顔を見せられて俺は顔をしかめる。


 俺に話が通じるからといって、クリアスにも話が通じるわけじゃない。

 これが二つ目の問題だ。


 たとえ俺が復讐に手を貸すと決めたとしても、行動の主導権はクリアスにある。

 クリアスが何も知らなきゃそのまま旅を続けることになるのだ。


「‘まあ、話は聞いたぞ’」


「‘そーいうことっすか!?’」


 単純な事柄ならともかく、複雑な意思決定をクリアスに伝えることはほぼ不可能だ。


「‘騙されたっす! 契約解除を申し入れます!’」


「‘クリアスに言ってみろ’」


「‘つーじないんですよねぇ!’」


 非常に賑やかなやつである。

 からかっていて楽しいな。


「‘まあできる限りのことはしてやるよ’」


「‘本当ですか、アニキ!’」


 旅の目的を復讐に設定することはないが、話を聞いた以上心のどこかに変なゴブリンの復讐話は留めておく。

 今のところ、何ができると聞かれても何も思いつかない。


 ただ頭ごなしにできないと押し付けるつもりもなかったのだ。


「‘うぅ〜! アニキは優しいっすね!’」


「‘ええい! 抱きつくなバカ!’」


「‘うげっ!’」


「……なんだか仲良しさんですね。ちょっと嫉妬しちゃいます」


 結局何も解決していないのだけど、とりあえず味方になってくれたことが嬉しいのか変なゴブリンが飛びついてきた。

 俺は尻尾で変なゴブリンを叩き落とす。


 そんな俺と変なゴブリンの様子を見て、クリアスはつまらなそうな顔をしていたのだった。

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