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【第一章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大


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セカンドパートナー3

「‘あぶねぇ!’」


「‘えっ!?’」


 俺のファイヤーボールは最初に飛び出してきたものにはかわされたものの、その後ろから飛び出してきたものに当たった。


「私も!」


 他にも草むらから飛び出してくる。

 クリアスは俺に続けてファイヤーボールを放った。


 草むらから飛び出してきたのは、足が八本ある奇妙な形をしたイノシシであった。

 あんなのもあんのかと驚く。


 まだ四足歩行でよかったかもしれない。

 足八本もあるなんて気持ち悪くて仕方ないだろう。


 ただそんなことよりも俺が気になったのは、声が聞こえたことだった。

 知らない声。


 少年のような声だなと思ったのだけど、ただなんだか不思議な聞こえ方をした。

 言葉じゃないのに、なぜか理解できるのだ。

 

「‘いてて……くそっ……’」


 八本足のイノシシは俺とクリアスのファイヤーボールに焼かれて倒れる。

 追いかけてきていたのは二体だけのようだった。


 俺は振り返って、ファイヤーボールをかわしたモノを警戒する。


「‘……なんだ? ゴブリン?’」


 転んだのか、逆さの体勢で木にぶつかっていたのはゴブリン。

 しかしこちらも普通のゴブリンではない。


 ゴブリンといえば体格は人の子供のようで、肌はくすんだ緑色をしている。


「なんだちょっと……人っぽい……感じですね」


 今目の前にいるゴブリンは普通のゴブリンよりも少し体格が良い。

 普通のゴブリンが年齢が二桁にならない子供ぐらいなら、このゴブリンは二桁いっているぐらいの体格だ。


「‘服着てるしな’」


 肌も薄汚さを強く感じない。

 さらに異常なところとして服を着ている。

 

 ボロ布を身にまとったというレベルではなく、普通の服を着ている。


「‘痛い……なんだ……ひぇっ!?’」


 ツノに火をまとう俺を見て、変なゴブリンは驚きに目を見開いた。

 やはり、変なゴブリンの鳴き声が俺には言葉として聞こえている。


 さっさと倒してしまうつもりだったのだけど、あまりに予想外の出来事に倒すことをためらってしまう。


「‘おい’」


「‘うげええええっ!? 他の魔物が話しかけてきたぁ!?’」


 コイツうるさいな。

 とりあえずそれが俺の第一印象だった。


「‘殺すか’」


「‘ちょっ……ちょっとお待ちくだせえ、ウルフの旦那!’」


「‘お前に旦那と呼ばれるような筋合いないわ!’」


 俺が変なゴブリンの言葉が分かるように、変なゴブリンの方も俺の言葉が理解できているようだ。

 変なゴブリンは逆さの体勢からゴロリと回転して元に戻ると、膝をつき片手を下に突き出す。


 どこで覚えたんだ、そんなポーズ。


「えっ……な、なんですか?」


 クリアスには俺や変なゴブリンの声は聞こえていない。

 変なゴブリンが変な動きをしたものだから、クリアスは困惑した顔をしている。


「‘さて……どうしてくれようか’」


「‘ちょちょちょちょ! ちょっとそんな怖い顔しないでくださいよ! 私はどう見たってしがないゴブリン! 倒したところで何もありませんって!’」


「‘しがないゴブリンは口八丁でこの場を乗り切ろうとしないんだよ’」


 俺は思わず呆れてしまう。

 カリンは例外として、初めて話す魔物がこんなんだなんてかなり予想外だった。


 なんで言葉を分かるのか理由は知らないが、この変なゴブリンはそれなりに頭が良さそうだ。

 戦わずにこの場を収めようとしている。


 魔物の知性の方向性としては間違ってる気がするけれど、戦わないように相手を説得するという知能の高さがある。


「‘お前は何者だ?’」


 賢い魔物。

 ゴブリンから知性を感じる。


 ただ俺は別の可能性にもちょっと期待している。


「‘何者……ゴブリンですけど?’」


 変なゴブリンは俺を刺激しないように引きつった笑いを浮かべながら、手を広げてゴブリンアピールをする。

 見れば見るほどゴブリンとは少し違って見える。


 だからといってホブゴブリンよりも成長が足りない感じがしている。

 いうならブゴブリンの中途半端さ。


 ただゴブリンなのはとりあえずわかった。

 聞きたいのはそこじゃない。


「‘お前は元人間か?’」


「‘えっ?’」


 話すような知性がある魔物。

 もしかしたら元人間なのかもしれないと俺は考えていた。


 カリンのように何かの原因で魔物にされてしまったのかもしれないし、あるいは俺のような転生者という可能性もある。


「‘に、人間な訳ないじゃないですか’」


「‘……そうか’」


 変なゴブリンは苦笑いを浮かべる。

 動揺を見せたり、何か隠し事をしている様子はない。


 少し期待したのだけど、ただ賢いゴブリンなようである。


「あの……ウルフさん? どうなってるんですか?」


 いつの間にか俺も力が抜けて、ツノの火も引っ込んでいる。

 変なゴブリンはヘコヘコしてるし、なんか会話っぽいものが成立しているように見えるのだろう。


「‘うーん……これどうするべきかな?’」


 別に逃してやってもいい。

 原因までは知らないが、変なゴブリンは八本足のイノシシに追われていたようだ。


 強いなら逃げる必要はない。

 ということは変なゴブリンは弱いのだろう。


 わざわざ倒したところで利益もない。

 もうやる気も結構削がれてしまっている。

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