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【第一章完結】魔物に転生した俺は、優しい彼女と人間に戻る旅へ出る〜たとえ合成されても、心は俺のまま〜  作者: 犬型大


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セカンドパートナー1

「まずは大きな町に向かいましょうか」


 足りていることはともかく、何が足りないのかを知ることは大事だ。

 何が足りないか。


 基本的に何もかも足りてない。

 ジェレインがいてくれたおかげで、旅の備えはひとまずできた。


 ただ旅を完遂するほど資金があるわけでもなければ、旅の知識も少ない。

 実力だってまだまだだし、実際旅行く先がどうなっているのかも分かっていない。


 あるものはやる気だろう。

 強い目的と動機。


 それが今の俺たちを動かしている。

 だが実際にやる気で腹は膨れない。


 お金、お金を手に入れる手段、細かな情報、今後の計画など、多くのことを必要とし、考えていかねばならないのだ。


「とりあえずは……もう一体、魔獣を手に入れましょう」


 旅の途中、出発したばかりではあるものの、できることはやっていく。

 そしてできることが一つある。


「どんな魔物がいいですかね?」


「‘まあ、何でもいいけどな’」


 冒険者は基本的に魔獣を連れている。

 全く連れていないという人もいないわけではないが少数派だ。


 ただ魔獣を連れている人も様々だ。

 当然魔獣一体だけという人も多い。


 合成する以上魔獣の数は減っていくもので、強い一体に集中させるという考えも普通なのだ。


「旅をするならもう一体ぐらいいた方がいいですもんね」


 だが二体連れているという人も全体から見れば多い。

 特に旅をしたり移動が多い冒険者は複数の魔獣を連れている。


 多い方が戦いで有利になるということもあるし、役割分担もできる。

 例えば夜に襲われたりしないように寝ないで警戒しなきゃいけないが、人間一人と魔獣一体だと細かく交代するか頑張って長めに起きているかで対応するしかない。


 魔獣がもう一体ぐらい増えてくれれば、もう少し余裕を持って交代することができる。

 だから旅をするならもう一体魔獣がいた方が安心なのだ。


「‘選択肢も色々あるしな’」


「小型の魔獣がいいですかね? あるいはちょっと強そうなぐらいでもウルフさんも私なら狙えますかね?」


 どんな魔物を魔獣にするか。

 きっとそれは色々な意見がある。


 完全にサブ魔獣を連れている人もいる。

 コボルトやゴブリンは弱いが、本当に弱い動物のような魔物も一定数いる。


 小さいリスや鳥なんかのような魔物だ。

 夜の警戒や偵察など限定された役割をこなすためにそうした魔物を捕まえることもある。


 あるいは普通に戦える仲間として魔獣を増やしてもいい。

 いざとなれば合成もできる


「‘うーん……難しいな’」


 考えるほどに悩ましい問題である。

 魔獣を増やすことにメリットはあるが、デメリットもある。


 大きく言えば、お金がかかる。

 食費もかかるし、宿も魔獣を見て追加料金を取るところがある。


 俺は基本的に何でも食べるけれど、偏食の魔物なんか仲間にしたら結構大変だ。

 クリアスに迷惑はかけたくないが、俺も正直コボルトの時より体の燃費は悪い。


 今はまだ資金に余裕があるけれど、変な魔物を仲間にしてお金に困ることになっても嫌だった。


「‘ともかく……ウルフは嫌かな’」


 何がいい。

 そんな意見は出てこないが、ちょっと嫌な魔物はいる。


 ふと俺は冒険者ギルドでのことを思い出す。

 おそらくメスのウルフだろう魔物に熱視線を向けられたことがある。


 魔獣同士の恋愛があるのか知らないけど、俺の中身は人間であり合成されても魔物とまぐわうつもりはない。

 全てのメスウルフが俺に熱を上げるわけじゃないだろうが、あまりメスウルフをそばに置いときたいとは思わない。


「ウルフなんてどうですか! ウルフさんと連携も取れそうですし!」


 ただ、俺の気持ちはクリアスに届いていない。

 いいアイディアでしょう! と言わんばかりにクリアスはニンマリとしているが、よくそこまで俺の嫌なところをつけるものだ。


「あれ? ……ご不満ですか?」


 尻尾がしゅんと下がって、クリアスは俺の不満をなんとなく察してくれた。

 オスならいいけど、いちいち捕まえて性別確かめるのもおかしい。


「‘いや、というか四足歩行型の魔物じゃないのがいいな’」


 そして改めて考えてみて、一つ気づいてハッとする。

 今俺、四足歩行だ。


 オスならウルフでもいいとは思ったが、ここでウルフが加入して合成することになった時に、また四足歩行の魔物である可能性が高そうだ。


「‘危ないところだった……’」


 なんだかんだと四足歩行にも慣れてきてしまった。

 手が使えない不便さも魔物である以上手を使うことも少なくて、不便さを感じることも少なかったりする。


 人間に戻ることは最終目標であるが、人として大事なものを忘れないためにも二足歩行、手を使うことも忘れずにいきたい。


「‘二足歩行の魔物、だな’」


 合成元の魔物が合成先に影響を及ぼすのかはまだ不明だけど、影響する可能性は否めない。

 二足歩行で、俺に色目を使わず、合成する時にもいいぐらいの強さの魔物。


 これがベストだ。


「うーん? 急に尻尾振ってどうしたんですか?」


「‘ぬぁ……伝わらない、か。というか伝えられる方法が……ない’」


「あっ、また尻尾下がっちゃった」


 ただベストの考えを伝える方法がない。

 ちょっとした感情が勝手に表に出る尻尾のことを俺は恨めしく思う。


 引きちぎってやろうか、こいつ。

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