第81話 VSエドワード4
「ミサキ!」
復活したミサキはエドワードを睨みつける。
「ハッ。復活したからなんだ?また俺の毒の餌食にしてやるよ!」
「私は……もう、負けない!!!」
ミサキは再びエドワードの所に飛び込んでいく。
(ミサキは復活した……でも……!)
ミサキは復活したものの、絶望的な状況は何も変わっていない。
復活したとはいえ、ミサキの状態は全快とは程遠い。
アクアとリバイアサンも、もう満身創痍だ。
自分もロバーツとの戦闘に加え、回復魔法を何度も使い、もう魔力はほとんど枯渇している。
とにかく必死に頭を回転させるリーナ。
どうすれば奴に勝つことができるのか……
「……そうだ!」
リーナが何かを思いつき、アクアとリバイアサンの所に急ぐ。
「アクア!リバイアサン!二人で超大型の渦を作れない!?」
「……大型の渦?」
「そう!超巨大な渦を作って………するんです!」
「なるほど……!できるかもしれない!」
アクアが目を輝かせる。
リバイアサンは傷を負いながらも、アクアの提案に乗ることを決めた。
「……なら、私とリバイアサンの水流操作を組み合わせれば……!」
「……よし!やったるでぇ!!」
二人はすぐに行動に移った。
一方、その間もミサキはエドワードと剣を交えていた。
「無駄だ……!」
エドワードが剣を振るい、ミサキを押し込む。
「いくら足掻いたところで……お前の体はもう限界なんだよ!」
「……っ……!」
ミサキは歯を食いしばり、何とか耐える。
その時
アクアとリバイアサンが、二人の周囲をぐるぐると泳ぎ始めた。
「なんだ……?」
エドワードが眉をひそめる。
「何をする気か知らねぇが……させるかよ!」
エドワードはすぐに毒の水流を放とうとする。
しかし
「させるか!!」
ミサキが全力でエドワードに斬りかかった。
エドワードは剣で受け止めるが、一瞬だけ動きが止まる。
「ちっ……!」
その隙を突き
「今よ!!!」
「うおおおおおお!!!」
アクアとリバイアサンが超巨大な大渦魔法を発動した。
「タイダル・オーシャン・スパイラル!!」
ゴォォォォォ!!!
凄まじい勢いの渦が発生し、周囲の海水を巻き込みながらエドワードを飲み込んでいく。
「何ッ……!?」
エドワードが慌てる間もなく、渦の中に巻き込まれる。
「うおおおおおおっ!!」
水流が猛スピードで回転し、エドワードの体を翻弄する。
「っくそ……!!」
身体が引きちぎれそうなぐらいの強力な渦潮。
「これで勝負をつける気か……!だがな……!」
死にそうになりながらもエドワードは必死で泳ぎ……渦の中心部へと移動した。
そして、不敵に笑う。
「……ハッ!大した魔法だがな……渦系の魔法ってのは、中心部が安置なんだよ!」
アクアたちを見下しながら続ける。
「これが収まったら、今度こそお前らを殺してやる!!」
渦の中心で静かに待機するエドワード。
しかし
背後から感じる殺気に、エドワードの表情が一瞬凍りつく。
ゆっくりと、嫌な予感とともに背後を振り返る。
そこにいたのはミサキだった。
右手に赤々と燃え盛る魔力を宿し、鋭い眼光でエドワードを見据えていた。
「フッ、今更お前なんかに何が……」
エドワードがそう言ったその瞬間、ハッと気づく。
「……水が、ない!?」
そう、この大渦の影響で、海底まで大きな水の空洞ができていたのだ。
通常ならありえないこの状況を生み出したのは、アクアとリバイアサンの水流操作。
彼らの連携によって、ここは水のない領域となり、まるで陸上の戦場のようになっていた。
「ここでなら……存分に……炎の魔法が使える……!!」
ミサキの右手に、灼熱の魔力がさらに集中していく。
「だが……そんなボロボロの身体で何ができる!」
エドワードも即座に右手に魔力を集め、迎撃の構えを取る。
「テメェ程度の魔法なぞ……かき消してやる!!」
「サラマンダー・ストリーム!!」
「ハイドロ・ヴェノム・サーペント!!」
炸裂する二つの大魔法。
ミサキのサラマンダー・ストリームが、燃え盛る炎の龍となって吠え猛り、エドワードのハイドロ・ヴェノム・サーペントが、毒の大蛇となって唸りを上げる。
灼熱と猛毒が激しくぶつかり合い、轟音と共に水中が揺れた。
「あああああああっ!!」
「はああああああっ!!」
ミサキは全力で炎の龍を放つが、少しずつ押し返されていく。
(くそっ……流石に力が……入らない……!)
じわじわとミサキの炎が飲み込まれていく。
「ははははは!!」
エドワードは笑う。
「やはりこの俺には敵わねぇんだよ!!」
エドワードが勝利を確信した、その時
「くたばれえええええっ!!!」
バシャアアアッ!!
大渦からアクアが飛び出してきた。
「なっ!!」
ズバァッッ!!
飛び出してきたアクアは槍を投げ、槍はエドワードの肩に突き刺さった。
「ぐあっ……!!?」
思わぬ痛みに、エドワードの集中が途切れる。
「今だミサキ!!」
アクアの叫びと同時に、ミサキの炎が勢いを増した。
「ああああああぁぁぁああ!!!」
サラマンダー・ストリームが、エドワードの魔法を一気に飲み込み、炎の龍はエドワードを丸ごと飲み込んだ。
「ぐおおおおおおおおおおっ!!!」
猛炎に包まれたエドワードは、灼熱の渦に巻かれながら空高く舞い上がっていく。
海中とは思えぬほどの激しい爆炎。
巨大な炎の龍が、そのまま天を突き破るかのように駆け上がる。
「そんな……そんな……この俺がっ!!この俺がああああああっ!!!!」
そして——
ドサァッ!!
黒こげになったエドワードが、海底に無残に落下した。
「……勝った」
ミサキは息を切らしながらも、剣を構えたままエドワードを見下ろす。
「やった……!」
リーナとアクアが歓声を上げる。
戦いの終わりを告げる静寂の中、ミサキは、深く息をつき……ぱたりとその場に倒れたのだった。
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