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未知なる世界の歩き方  作者: リース
4章 海底都市アトラント編
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第71話 深海へ

「それにしても……リバイアサンへのお供え物はどうしましょうか?」


クラーケンを倒したはいいが、結局そこの問題は解決してなかった。


「……仕方ない、買うか」


ミサキがさらっと言うと、アクアがピクリと反応した。


「……は?」


「だから、財宝を買えばいいんだろ?市場に行けば売ってるよな?」


「……お金はあるの?」


「もちろん」


ミサキは網からギルドカードを取り出し、アクアに見せる。


アクアは何気なくギルドカードを覗き込み


「……は?」


一瞬、思考が止まった。


「……え?」


二度見する。


「…………ええええええええええええ!?」


ギルドカードに記載された金額が、アクアの常識を破壊する。


ゼロの数が……多すぎる。


「ちょっと待って!?じゃあ何!?アタシ達は何のために沈没船に行ったのよ!!」


「あー……それについては、ホントごめん」


ミサキが申し訳なさそうに頬をかく。


「どうしても行きたかったんだ、沈没船」


アクアの顔が引きつった。


「アンタねぇ……!」


「こういう人なんですよ……ミサキって……」


リーナがため息をつきながら肩をすくめる。


アクアはしばらく呆然とした後、


「もう知らない……!!」


と、ぷくっと頬を膨らませた。


***


結局沈没船では何も見つからなかったので、今度はアトラントの宝飾店へ向かうことにした。


店の中には、美しく輝く宝石や豪華な装飾品がズラリと並ぶ。


ガラスケースの中で光を反射するルビーやサファイア、豪華な金細工のネックレス……どれも目を引くものばかりだ。


「おおー……綺麗だな……」


ミサキは思わずうっとりしながらガラスケースに顔を近づける。


「で、どのくらいのを買うの?」


アクアが腕を組んで尋ねる。


「うーん……リバイアサンって結構偉いんだよな?」


「この国の守り神だしね。適当なものじゃダメよ」


「じゃあ店の人に聞いてみようか」


ミサキは店主に向き直る。


「すみません、海龍様に会うための財宝を探してるんですけど、どんなのがいいですか?」


店主は目を見開いて驚いた様子だったが、すぐにニヤリと笑った。


「ほぉ、海龍様に会うだって?そりゃあ高ければ高い方がいいさ!」


「た、高ければ高い方がいいって……」


アクアの顔が引きつる。


「じゃあ、これなんかどうだ?」


店主が奥から持ってきたのは、純金で作られた巨大な王冠。


宝石がふんだんに散りばめられ、まさに王者の風格を漂わせている。


「黄金の王冠、5000万ガルだ!」


「……たっっっか!!!」


アクアが絶叫する。


リーナも少し顔をしかめる。


「さ、さすがにこれは高すぎじゃ……?」


「でも、リバイアサンに会うためには、それなりのものを贈らないとなぁ……」


ミサキは腕を組んで考え込む。


アクアは額に手を当てた。


「普通なら尻込みする額なんだけど……あんた、まさか……」


「……まぁ、お金には余裕あるし?決めた、これを貰います」


ミサキがケロッとした顔でギルドカードを取り出すと、アクアはガクッと崩れ落ちた。


「もう……ミサキらしいと言うか、なんと言うか………」


リーナが苦笑しながら肩をすくめる。


こうして、ミサキたちは5000万ガルの黄金の王冠を購入したのだった。


***


「ついにリバイアサンに会いに行くんだな」


ミサキは高鳴る胸を抑えつつ、海中を泳ぐ。


リーナも後に続き、海底を進んでいった。


「全く……」


アクアはそんな二人を案内するように先導する。


アクアの説明によると、海底神殿はアトラントよりも深い海の底にあり、普通の人魚なら到底たどり着くことはできない場所らしい。


「……つまり、かなりの深海ってことか」


「そうよ。普通だったら鍛え抜かれた人魚の戦士たちがチームを組まなきゃならならないぐらい危険な場所だからね。

だから、しっかりついてきてよね!」


アクアのその表情にはどこか緊張も滲んでいた。


しばらく進んだその時だった。


「!?何か来る!」


ミサキが剣を構えると、無数のモンスターが飛び出してきた。


「ブラッドシザー!?」


出て来たのは鋭いハサミを持つエビ型のモンスターだった


「まとめてぶった切る!!」


ミサキは剣を一閃し、ブラッドシザーの群れに斬り込んだ。


リーナが杖を振るい、魔法を発動する。


「ホーリー・レイン!」


「ウォーター・ニードル!」


リーナの杖が輝き、光の雨がブラッドシザーたちを一掃する。


アクアの槍が輝き、水の針がブラッドシザーたちを一層する。


「ふうっ、終わったわね!」


アクアが笑顔を見せる。


「神殿に行くまでも油断できなさそうだな……」


ミサキは前を見据え、仲間たちとともにさらに先へと進んでいった。


すると今度は


「危ない!」


鋭い水弾が三人に向かって放たれる。


ミサキが剣で跳ね返すと、その先にいたのは、大きく口を開けた貝の魔物、デビルシェルだった。


岩礁に生息し、鋭く圧縮した水の弾丸を飛ばしてくる厄介な相手だ。


続いて、横から飛んできた無数の黒い影。


よく見ると、それは鋭いトゲだった。


現れたのは、ブラックニードルという巨大なウニ型モンスターだった。


無数のトゲを飛ばして攻撃してくる危険な相手である。


ミサキは即座に剣を振るい、デビルシェルを殻ごと切り裂く。


「ホーリー・ランス!」


「ウォーター・ショット!」


一方リーナとアクアは後方でブラックニードルに魔法を放つ。


眩い閃光と鋭い水圧がブラックニードルを貫いた。


何とかデビルシェルとブラックニードルのむれを追い払った三人。


しかし今度は


「……来る!」


ミサキが剣を構えた瞬間、イカ型モンスター、ソルジャーゲッソーが飛び出してきた。


非常に素早く泳ぎ、その長い触手から繰り出される攻撃は恐るべき威力を誇る。


三人はなんとか相手の触手を回避しつつ、隙を伺う。


「ホーリー・ランス!」


「ウォーター・ランス!」


二人の光魔法と水魔法の槍が、ソルジャーゲッソーに向かって放たれる。


二人の魔法は相手に直撃し、激しい衝撃と共に、ソルジャーゲッソーは崩れ落ちた。


「さて、先に進みましょう」


モンスターを撃退した三人は、更に海底の先へと進んでいった。

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