表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未知なる世界の歩き方  作者: リース
3章 砂漠の国エジェト編
63/161

第63話 VS王のゴーレム2

ズガァァァン!!


ミサキの体が地面に叩きつけられる。


「ぐっ……!!」


全身に衝撃が走るが、直前に防御強化を使っておいたおかげで、ダメージは最小限に抑えられた。


砂埃が舞う中、すぐに態勢を立て直す。


ゴーレムの巨大な拳が振り下ろされる。


ミサキは瞬時にスカイブーストを発動し、空へと飛び上がる。


ズドォォォォン!!


超巨大な拳の衝撃が、砂漠を伝わる。


「危なかった……」


空中からゴーレムを睨みつけるミサキ。


(さっき確かに見えたはずの核……でも、攻撃した瞬間にはもう無かった)


「……まさか、移動させたのか!?」


生物ならまだしも、砂で構成されたゴーレムなら、核を自在に動かしてもおかしくない。


「くっ……だとしたら、厄介だな……!」


再び最大魔法を放ったところで、次の攻撃を仕掛ける前に核を隠されてしまう。


(どうする……!?)


必死に逃げながら思考を巡らせる。


ミサキは荒れ狂う砂の魔法を必死で回避しながら、心の中で呟いた。


(火力が足りないなら……もっと至近距離でぶち込めばいい!)


ミサキは巨大ゴーレムに接近する。


しかし、それを察したかのように、ゴーレムは再び砂の魔法を放ってきた。


ブワァァァァァ!!


無数の砂の刃が矢のように降り注ぐ。


「くっ……!」


ミサキはそれをかいくぐりながら、ゴーレムへと接近しようとする。


だが、ゴーレムも簡単には近づかせない。


ゴォォォォォッッ!!!


今までとは桁違いの巨大な砂嵐の魔法が発動される。


「っ……!!」


目の前の視界が完全に奪われ、猛烈な風がミサキの体を押し戻す。


(このままじゃ近寄れない……なら!)


ミサキは一気に上空へと飛び上がった。


(砂嵐なら、風の中心に行けば風はないはず!)


その仮説を信じ、ミサキは砂嵐の内部へと飛び込んだ。


……ビンゴだった。


砂嵐の中心には、風が吹いていない小さな静寂の空間が広がっていた。


「今度こそ……!」


ミサキはゴーレムの腹の真正面、超至近距離で右腕を振りかざした。


紅蓮の魔力を右腕に集中させるミサキだが、その両側からゴーレムの両腕が襲い掛かる。


ゴーレムの両腕に潰されるその瞬間、ミサキは素早く後ろに下がり、右腕の魔力を開放する。


「サラマンダー・ストリーム!!!」


ドォォォォォォン!!!


灼熱の龍が爆発的に放たれ、ゴーレムを焼き尽くす。


しかし、ミサキを押しつぶそうとしたゴーレムの両腕が丁度、本体を守る壁となっていた。


ゴーレムの両腕は大きく焼け崩れたが、コアを破壊するまでには至らなかった。


「これでもダメか……!」


ミサキの顔に焦りが滲む。


「どうすれば……!」


巨大ゴーレムとの戦いは長期戦となっていた。


ミサキは何度も攻撃を仕掛けたが、決定打が見つからない。


(……くそっ、核を壊さなきゃ意味がないってのに!)


焦りながら必死に策を考えるが、疲労で頭が回らない。


その隙をゴーレムは見逃さなかった。


ズズンッッ!!


「……っ!!」


ゴーレムの巨大な拳が振り下ろされる。


一瞬反応が遅れた。


(ヤバい!!)


その瞬間


「ホーリー・シールド!!」


バシュッ!!!


目の前に光の障壁が展開され、拳を弾き飛ばした。


「……え?」


「間に合った!!」


「ミサキ、大丈夫!?」


リーナとジャンゴの声が聞こえてきた。


彼女らが、ミサキを救ったのだ。


「お前たち……街のモンスターは!?」


「全部倒しました!もう大丈夫です!」


「後はこのゴーレムを倒すだけだ!」


二人の姿を見て、ミサキの心に希望が戻る。


(二人が居るなら、なんとかなる!)


「よし、作戦を立てよう!」


三人は一瞬だけ距離を取り、作戦会議を始める。


「あのゴーレムは核を破壊しない限り、何度でも再生する……!」


「つまり、核を露出させて、一気に叩くしかないってことですね?」


「ああ、でも、奴は核を移動できる!だから私とリーナで核を露出させて、ジャンゴに仕留めてもらう!」


ミサキがそう言うと、ジャンゴが驚いたように目を見開いた。


「えっ!?僕がやるの……!?」


「ジャンゴの魔法なら、核を破壊できるはず!」


「たしかに……それなら!」


リーナも同意し、三人は覚悟を決める。


「……行くよ!!」


「「うん!!!」」


ミサキとリーナは並んで立ち、互いの手を取り合った。


「リーナ、いくぞ!」


「うん!」


二人は魔力を共鳴させる。


それは、かつて師匠のもとで修行していた時に開発した合体魔法。


「サンアンドムーン!!」


ミサキの炎の魔法とリーナの光の魔法が合わさり、二つの球体が生まれる。


片方は燃え盛る太陽のごとき紅蓮の球体。


もう片方は眩い月のように輝く白銀の球体。


「行っけぇぇぇぇ!!!」


二つの球体がゴーレムの正面へ飛び出し。


ドォォォォン!!!!


爆発が起こった。


凄まじい衝撃波が遺跡全体を揺るがし、爆炎と光がゴーレムを包み込む。


「やったか!?」


爆煙の中、ゴーレムの巨体が崩れかけていた。


そして


「核が露出した!!」


ミサキが叫ぶ。


ゴーレムの胸部に、白い宝玉のような核がむき出しになっていた。


「今だ!!ジャンゴ!!」


「行くぞっ!!」


ジャンゴはハンマーを握りしめ、全身全霊で魔力を込める。


「メガトンハンマー!!」


ジャンゴのハンマーに土が纏われ、巨大な巨大なハンマーになる。


そして、手にした大ハンマーを振りかぶる。


「これで決める!!!」


ブンッ!!!


ジャンゴはその巨大なハンマーを、巨大なゴーレムの核めがけてブン投げた。


「喰らえぇぇぇぇっ!!」


ズドォォォォン!!!!


巨大なハンマーがゴーレムの核を貫き、粉砕する。


「ギギギ……ギャアアアアアア!!!!」


ゴーレムが悲鳴を上げ、全身にヒビが入る。


次の瞬間


ドドドドドド!!!


巨大なゴーレムは、砂の塊となって崩れ落ちていった。


戦いは、終わった。


「や……やった……!」


「勝った……!!!」


ミサキ、リーナ、ジャンゴは肩で息をしながら、互いに顔を見合わせる。


そして


「「「やったぁぁぁぁ!!!!」」」


三人は全力で勝利の雄叫びを上げたのだった。

面白かった 続きが読みたい方は ブックマーク 感想 星を入れてくれると励みになります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ